アルキメデスを知ってるか?古代ギリシアで活躍した人物で、数学や物理で大きな発見を残した偉大な人物です。ただ、彼のエピソードで1番有名なのは「ヘウレカ!」と叫んで風呂から飛び出し素っ裸で街を駆け回ったことでしょう。このとき彼は何を発見したのか?今回はアルキメデスの原理について物理に詳しいライターの小春と一緒に解説していきます。

ライター/小春(KOHARU)

見た目はただの主婦だが、その正体は大阪大学大学院で化学を専攻していたバリバリの理系女子。大学院卒業後はB to Bメーカーで開発を担当し、起きている現象に「なぜ?』と疑問を持つ大切さを実感した。

【大見出し1】アルキメデスってどんな人?何をしたの?

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まずは、アルキメデスがどんな人でどういった発見をしたのか、ざっくり分かりやすく解説します!

アルキメデスの人生

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アルキメデスはアルファベットでArchimedesと書きます。紀元前287年頃 ~紀元前212年頃にギリシアで活躍した科学者です。

アルキメデスは、シチリア島のシラクサ(シラキュース)という場所で裕福な家庭に生まれました。アルキメデスの父親は天文学者であり、父から数学、天文学、力学などの勉強を教わったとされています。

学問の中心地であるアレクサンドリアに留学し、ユークリッドの孫弟子として勉強しました。理論を技術的に応用して、ポンプやクレーン、プラネタリウムを発明したと言われています。

アルキメデスは、住んでいた街シラクサがローマ軍に占領されたときに亡くなりました。75歳でした。アルキメデスを刺殺したローマ兵は若く、アルキメデスのことを知らなかったと伝わっています。

アルキメデスが発見したものとは?

アルキメデスの大きな業績は2つです。順番に説明しましょう。

1つ目はてこの原理の発見です。支点(てこの棒を支える点)、力点(力を加える点)、作用点(力が働く点)の位置関係と、加える力と作用する力の関係を発見しました。

2つ目は浮力の原理の発見です。浮力の原理とは、液体の中の物体は、物体の体積と同じ重さ分の液体から力を受けることを指します。

アルキメデスの原理とは?

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アルキメデスの原理と呼ばれる原理があります。これは先ほど説明した「浮力」のことです。浮力とは、流体中にある物質に働く上向きの力のことを指します。お風呂やプールで身体が軽く感じたことはありませんか?これは浮力による現象なのです。

\次のページで「アルキメデスと「金の王冠」って?」を解説!/

アルキメデスと「金の王冠」って?

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アルキメデスの住む都市シラクサの王が、金細工師に金塊を渡し、神殿に奉納するための王冠を作らせました。金の王冠を受け取った王は、金細工師が金の一部を盗み、その重量分の銀を混ぜてごまかしたのではないか?と疑い始めます。

金細工師が金の一部を「金より軽い銀と入れ替えた」ことを証明するためには、王冠の重さと体積を調べなくてはなりません。しかし、この時代、体積を調べる方法はなく、正確な体積を計算するためには王冠をいったん溶かして立方体の形にしなければなりませんでした。

そこでシラクサの王は、アルキメデスに王冠の体積を測るよう命じました。家でお風呂に入って考えていたアルキメデスは、自分が水に浸かると自分の体積と同じ量の水が溢れることに気がつきました。「王冠と、王冠に使われたのと同じ量の金塊を水に沈め、そのとき溢れた水の量が同じならば体積(比重)が同じ」だと思い付いたのです。

この実験により、王冠に銀が混ぜられていたことが分かりました。

アルキメデスの原理は浮力の発見だった!

アルキメデスが発見した「自分が水に浸かると自分の体積と同じ量の水が溢れる」原理が、現代では浮力の原理と呼ばれています。

アルキメデスの原理を現代の物理学で表すと「物体が流体の中に沈められているとき、その物体が排除した物体の重さと同じ大きさの力が物体に上向きにかかる」原理です。この中の「流体中にある物質に働く上向きの力」のことを浮力と呼びます。

浮力とは何?

浮力とは何?

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浮力とは、簡単にいうと船が浮かんでいられる力のことです。浮力の正体は水圧と言えます。水の深いところほど水圧が高く、浅いところほど水圧が低いため、力を合計すると上向きの力の方が少し勝つので、浮力となる上向きの力が発生するのです。

物体のもつ下向きの力(重力)と、浮力がつり合っているため、船は上に飛んでいくことなく、海の中に沈むことなく浮かんでいられます。

ヨーロッパにある死海をご存知ですか?死海の塩分濃度は通常の海よりもかなり高いため、海水の密度が大きくなるのです。よって、水中の物体が受ける浮力が大きくなり、死海ではどんな人間でも浮くことができます。

アルキメデスの原理をつりあいの式で考える

最後はアルキメデスの原理をイメージではなく数式で捉えてみましょう。物理は図でイメージしたあと数式で表すと、途端にわかりやすくなりますよ。状況を正しく図示することが物理が得意になるコツです!頑張りましょう。

つりあいの式って何?

物体に対して複数の力がかかっていても物体が動いていない場合、これらの力はつり合っている、と言えるでしょう。ちなみにどれか1つでも力が強まったり弱まったりすると、力の均衡が崩れ、運動が始まります。これがF=maで表される運動方程式です。

つり合う力は2つでも3つでもそれ以上でも構いません。重要なことは「それぞれの方向ごとに力がつり合っていること」です。

\次のページで「アルキメデスの原理をつりあいの式で表すとmg= ρVg」を解説!/

アルキメデスの原理をつりあいの式で表すとmg= ρVg

アルキメデスの原理をつりあいの式で表すとmg= ρVg

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水中に完全に物体が沈んでいるときと、一部が空気中に出ているときで、つりあいの式は変わってきます。ですが「物体が流体の中に沈められているとき、その物体が排除した物体の重さと同じ大きさの力が物体に上向きにかかる」原理は同じなので、基本を押さえれば簡単です。困ったときは体積を底面積×高さとして考えると分かりやすいですよ。

流体の密度をρ、流体に使っている分の物体の体積をV(V')とします。

水中に完全に沈んでいるとき
下向きの力:mg
上向きの力:ρVg

一部が水中から出ているとき
下向きの力:mg
上向きの力:ρV'g

簡単に浮力を体験できる実験を紹介!

では最後に、簡単に浮力を体験できる実験を紹介しましょう。100円ショップなどで「簡易キッチンスケール」「水に浮かぶおもちゃ」を用意してください。

1. 水を受ける容器と、おもちゃを沈める容器を用意し、それぞれ重さを測っておきます。
2. 水を受ける容器に、おもちゃを沈める容器を置き、水をいっぱいに入れます。
3. おもちゃを水に浮かべ、キッチンスケールでの上部でおもちゃを押さえ、完全に沈んだときのメモリを読みます。写真に撮ってもいいですね。
4. おもちゃが完全に沈むまでに溢れた水の量の重さを測ります。
5. 3と4の値を比較します。

実験の手順3で、おもちゃを押すときに手で感じた力が浮力です。小さいもの、長細いもの、大きいもの、いろんなもので浮力の大小を比べてみましょう。底面積、高さ、重さ、浮力と関係のあるのはどれでしょうか?浮力について分かってきたら、実験をする前から答えが分かるかも知れませんね。

アルキメデスは浮力を始めとした現代の力学の基礎を発見した人物

アルキメデスの偉大な功績のうち「アルキメデスの原理」についてご紹介しきました。身近な力の1つである浮力の発見のエピソードは、物理に詳しくない方でも知ってるほど有名ですよね。
浮力はつりあいの式で簡単に理解できます。受験に出てくることもありますので、よく復習しておきましょう。

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物理理科

アルキメデスは何をした人?生涯や発見・アルキメデスの原理・浮力についても阪大院卒ライターがわかりやすく解説!

アルキメデスを知ってるか?古代ギリシアで活躍した人物で、数学や物理で大きな発見を残した偉大な人物です。ただ、彼のエピソードで1番有名なのは「ヘウレカ!」と叫んで風呂から飛び出し素っ裸で街を駆け回ったことでしょう。このとき彼は何を発見したのか?今回はアルキメデスの原理について物理に詳しいライターの小春と一緒に解説していきます。

ライター/小春(KOHARU)

見た目はただの主婦だが、その正体は大阪大学大学院で化学を専攻していたバリバリの理系女子。大学院卒業後はB to Bメーカーで開発を担当し、起きている現象に「なぜ?』と疑問を持つ大切さを実感した。

【大見出し1】アルキメデスってどんな人?何をしたの?

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まずは、アルキメデスがどんな人でどういった発見をしたのか、ざっくり分かりやすく解説します!

アルキメデスの人生

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アルキメデスはアルファベットでArchimedesと書きます。紀元前287年頃 ~紀元前212年頃にギリシアで活躍した科学者です。

アルキメデスは、シチリア島のシラクサ(シラキュース)という場所で裕福な家庭に生まれました。アルキメデスの父親は天文学者であり、父から数学、天文学、力学などの勉強を教わったとされています。

学問の中心地であるアレクサンドリアに留学し、ユークリッドの孫弟子として勉強しました。理論を技術的に応用して、ポンプやクレーン、プラネタリウムを発明したと言われています。

アルキメデスは、住んでいた街シラクサがローマ軍に占領されたときに亡くなりました。75歳でした。アルキメデスを刺殺したローマ兵は若く、アルキメデスのことを知らなかったと伝わっています。

アルキメデスが発見したものとは?

アルキメデスの大きな業績は2つです。順番に説明しましょう。

1つ目はてこの原理の発見です。支点(てこの棒を支える点)、力点(力を加える点)、作用点(力が働く点)の位置関係と、加える力と作用する力の関係を発見しました。

2つ目は浮力の原理の発見です。浮力の原理とは、液体の中の物体は、物体の体積と同じ重さ分の液体から力を受けることを指します。

アルキメデスの原理とは?

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アルキメデスの原理と呼ばれる原理があります。これは先ほど説明した「浮力」のことです。浮力とは、流体中にある物質に働く上向きの力のことを指します。お風呂やプールで身体が軽く感じたことはありませんか?これは浮力による現象なのです。

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