この記事では「声を呑む」について解説する。

端的に言えば声を呑むの意味は「驚きや緊張から声が出なくなる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「声を呑む」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「声を呑む」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「声を呑む」の意味や語源・使い方を一覧でご紹介していきます。またその他「声を呑む」は分類としては日本語の慣用句であるという点も抑えておきましょう。

「声を呑む」の意味は?

「声を呑む」というキーワードを精選国語辞典・辞書・事典・故事ことわざ辞典、ネット上の無料データベースサービス「コトバンク」で用語検索してみると、次のような記載があります。こちらの引用をまず確認していきましょう。

1.極度の感動・驚き・緊張などのために声が出なくなる。また、言いかけて途中でやめる。「あまりの美しさに―・む」「うわさの当人が急に現れたのであわてて―・む」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「声を呑む」

「声を呑む」は極度の感動・驚き・緊張から声が出なくなること、または言いかけて途中でやめることを意味する慣用句です。強い感動等から声が出なくなること、言いかけた言葉を途中でやめることと、2種類の意味をもっている点に注意しましょう。どちらの意味で使われているか、文脈から読み取る必要があります。

書籍・新聞等の文章中を中心に現在も使われている言葉です。口語では基本的に使われていないため、こちらの点もあわせて覚えておきましょう。感動・驚き・緊張といった強い感情から、声を失ってしまう。「声を呑む」はこうした意味を表している言葉です。

「声を呑む」の語源は?

次に語源を確認しておきましょう。残念ながら「声を呑む」の語源は現在はっきりとはしていません。語源ははっきりとはしていないと覚えておきましょう。またあわせて「声を呑む」がいつ頃から使われだした言葉なのかという点についても確認しておきましょう。

1252年の十訓抄では「早く及第すべきよし勅定をくだされしかば、その時博士ども、声を飲みて止みにけり」 としてこの言葉が登場しています。こちらを見ると「声を呑む」は非常に古くから使われている言葉ということがわかりますね。こちらもあわせて覚えておきましょう。

\次のページで「「声を呑む」の使い方・例文」を解説!/

「声を呑む」の使い方・例文

「声を呑む」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.あまりに美しい景色に声を呑んだ。
2.祖父は声を呑んで泣き出した。
3.袋の中に入れられたものを見て、思わず声を呑んだ。

「声を呑む」は例文のように、強い感動・驚き・緊張から声がでなくなること、または言いかけた言葉を途中でやめることを表現する言葉となっています。二種類の意味をもった言葉となっているため、前後の文脈に注意してどちらの意味で使われているのか、正しく読み取っていきましょう。

美しい景色を見て息を呑み、声が出なくなる。驚くような事実を知り、はっとして声が出なくなる。また、突然感情が溢れてしまい続けようとしていた言葉を途中で止めてしまう。「声を呑む」はこうした場面で使われている言葉となっています。例文から使用場面をイメージし、自身でも使用できるようにしましょう。

「声を呑む」の類義語は?違いは?

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続いて「声を呑む」の類義語・違いについて確認していきましょう。「声を呑む」の類義語をいくつかピックアップしました。関連するよく似た表現との違いを確認することで、「声を呑む」という言葉の機能をより深く理解することができます。

その1「息を呑む」:驚きなどから一瞬息を止める

「息を呑む」は恐れ・驚きなどから一瞬息を止めることを意味する言葉です。こちらも驚きなどから動作を止めてしまうことを意味している言葉となっており、「声を呑む」と似た意味をもった類義語となっています。こちらは息を止めることを意味しており、細かい意味に違いがあるため注意しましょう。

\次のページで「その2「口を噤む(くちをつぐむ)」:口を閉じて開けない」を解説!/

その2「口を噤む(くちをつぐむ)」:口を閉じて開けない

「口を噤む」は口を閉じて開かない・話すのをやめることを意味する言葉です。こちらも話すのをやめることを意味している言葉となっており、「声を呑む」と少し似た意味をもった類義語となっています。細かい意味・用法・使用頻度などに違いがあるため、それぞれ注意して使い分けていきましょう。

その3「唖然(あぜん)」:呆れてものも言えない

「唖然」は思いがけないことに驚き、呆れてものも言えない様を表す言葉です。こちらも驚きから言葉が出なくなることを意味する言葉となっており、よく似た意味をもった類義語となっています。こちらは呆れから言葉が出なくなることを指すため、違いに注意して使用しましょう。

その4「言葉を失う」:衝撃から発言できなくなる

「言葉を失う」は衝撃・感動から発言できなくなることを意味する言葉です。こちらも衝撃的な出来事・感動などから言葉が出なくなることを意味している言葉となっており、「声を呑む」とよく似た意味をもった類義語となっています。細かい意味・用法にそれぞれ違いがあるため注意しましょう。

その5「言葉を呑む」:感動や驚きのあまり言うのをやめる

「言葉を呑む」はなにか言おうとして感動・驚きのあまり急に言うのをやめることを意味する言葉です。こちらも感動や驚きから言いかけていた言葉を途中でやめることを意味する言葉となっており、「声を呑む」と似た意味をもった類義語となっています。特に話を途中でやめることを意味しているため注意しましょう。

「声を呑む」の対義語は?

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つづいて「声を呑む」の対義語についても確認していきましょう。「声を呑む」には明確に対義語とされている語はありません。しかしその意味から連想してみると次の単語が思い浮かびます。

「絶叫」:声の限りに叫ぶ

「絶叫」は声の限りに叫ぶことを意味している言葉です。「声を呑む」が驚きや緊張等から声が出なくなることを意味していた言葉であったのに対し、こちらは驚きなどから声の限りに叫ぶことを意味している言葉となっています。対義語として、こちらの単語についてもあわせて覚えておきましょう。

\次のページで「「声を呑む」を使いこなそう」を解説!/

「声を呑む」を使いこなそう

この記事では「声を呑む」の意味・使い方・類語などを説明しました。「声を呑む」は極度の感動・驚き・緊張などから声が出なくなること、または言いかけて途中でやめることを意味する慣用句です。二種類の意味をもった言葉のため、前後の文脈に注意して意味を読み取っていきましょう。

また類義語には「息を呑む」、「口を噤む」、「唖然」、「言葉を失う」、「言葉を呑む」などがありました。それぞれ少しづつニュアンスが違うため、細かい意味や使われる場面を確認しつつ、使い分けていきましょう。今回の記事が皆さんの参考になっていれば幸いです。

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【慣用句】「声を呑む」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「声を呑む」について解説する。

端的に言えば声を呑むの意味は「驚きや緊張から声が出なくなる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「声を呑む」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「声を呑む」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「声を呑む」の意味や語源・使い方を一覧でご紹介していきます。またその他「声を呑む」は分類としては日本語の慣用句であるという点も抑えておきましょう。

「声を呑む」の意味は?

「声を呑む」というキーワードを精選国語辞典・辞書・事典・故事ことわざ辞典、ネット上の無料データベースサービス「コトバンク」で用語検索してみると、次のような記載があります。こちらの引用をまず確認していきましょう。

1.極度の感動・驚き・緊張などのために声が出なくなる。また、言いかけて途中でやめる。「あまりの美しさに―・む」「うわさの当人が急に現れたのであわてて―・む」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「声を呑む」

「声を呑む」は極度の感動・驚き・緊張から声が出なくなること、または言いかけて途中でやめることを意味する慣用句です。強い感動等から声が出なくなること、言いかけた言葉を途中でやめることと、2種類の意味をもっている点に注意しましょう。どちらの意味で使われているか、文脈から読み取る必要があります。

書籍・新聞等の文章中を中心に現在も使われている言葉です。口語では基本的に使われていないため、こちらの点もあわせて覚えておきましょう。感動・驚き・緊張といった強い感情から、声を失ってしまう。「声を呑む」はこうした意味を表している言葉です。

「声を呑む」の語源は?

次に語源を確認しておきましょう。残念ながら「声を呑む」の語源は現在はっきりとはしていません。語源ははっきりとはしていないと覚えておきましょう。またあわせて「声を呑む」がいつ頃から使われだした言葉なのかという点についても確認しておきましょう。

1252年の十訓抄では「早く及第すべきよし勅定をくだされしかば、その時博士ども、声を飲みて止みにけり」 としてこの言葉が登場しています。こちらを見ると「声を呑む」は非常に古くから使われている言葉ということがわかりますね。こちらもあわせて覚えておきましょう。

\次のページで「「声を呑む」の使い方・例文」を解説!/

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