
バルサルバ反射とは?仕組みや具体例、病気との関連について現役の研究者がわかりやすく解説!


解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/ポスドクランナー
大学院で運動や生物学について学び、生理学や体の仕組みに精通している。現在も研究者として活動を続ける傍ら、市民ランナーとしても多くのマラソン大会に出場している現役のランナー。
バルサルバ反射について詳しく解説!

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バルサルバ反射(ヴァルサルヴァ反射と表すこともある)とは反射反応の一つで、何かをきっかけにして筋肉の緊張(硬直)が起こることです。
バルサルバ反射が起こると呼吸や発声、正常な運動や、心拍、血圧などの自律神経の活動に病的な症状を引き起こすことがあると言われています。バルサルバ反射は反射反応になるので自発的に行うことはできません。バルサルバ法やバルサルバ手技は、医療の現場でも用いられたりもする方法ですが、バルサルバ反射で見られるような筋肉の緊張を自発的(意図的)に起こすことです。
バルサルバ反射の具体例1:吃音(きつおん)

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バルサルバ反射の具体例の一つに吃音(きつおん)があります。
吃音はどもりとも言うことがありますが、緊張したときに、突然と声が出せなくなったり、正常な発音や発声ができなくなる現象です。一部の吃音はバルサルバ反射が原因であると言われています。これは緊張などによってバルサルバ反射が起こり、声帯などの声を出す筋肉が硬直してしまうためです。
バルサルバ反射の具体例2:立ちすくみ

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立ちすくみもバルサルバ反射の例です。
立ちすくみはびっくりした時や恐怖の時などに自分の意志に反して足が動かなく現象ですが、これはバルサルバ反射によって足の筋肉が硬直してしまうためだと考えられています。
例えば、高いところから下を見下ろしたときにあまりの高さに恐怖して足が動かかなくなり、立ちすくんだことはありませんか?この時、バルサルバ反射によって足の筋肉が硬直してしまっているのです。バンジージャンプのジャンプ前に恐怖のあまり、立ちすくんで跳べなくなってしまうのも同じような現象になります。

なるほど。バルサルバ反射は筋肉の緊張が反射的に起こることなのか!しかし、医療でも使われたりしているバルサルバ法とはどう異なるのだろうか?バルサルバ法は自発的に使えるものらしいが普段の生活のどんな場面で使えるのだろうか?次では、バルサルバ法について具体例を挙げながら解説していこう!
自発的に起こすことできるバルサルバ法について解説!

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バルサルバ法(ヴァルサルヴァ法)はバルサルバ反射とは異なり、自発的に起こすものです。
息を止めて、力むこと(いきむ)で迷走神経を刺激し、腹腔内圧を高めることで、直腸筋、腹筋、声帯、口唇などが筋緊張を起こし、普段より筋力が発揮できる現象のことを言います。バルサルバ法は医療の現場でも使われますが、咄嗟の時の火事場の馬鹿力なんかもバルサルバ法の例です。
バルサルバ法の名前はこの手法を医療のために使用していたイタリアの解剖学者、アントニオ・マリア・ヴァルサルヴァに由来し、バルサルバ手技とも呼ばれたりもします。