ユーロの流通を管理している欧州中央銀行
By Epizentrum – Own work, CC BY-SA 3.0, Link
ユーロ通貨政策を担っているのは欧州中央銀行(ECB)。本店はドイツのフランクフルトにあり、ドイツ連邦銀行をモデルに組織化されました。銀行の役員は、ユーロを導入している国の全体一致により決定されますが、ヨーロッパの大国から選出されることが多いのが実情です。
物価の安定と雇用の創出が主なミッション
欧州中央銀行は、ユーロ圏の物価を安定させる、雇用を生み出す、このふたつをミッションとしています。このミッションは、欧州連合条約のなかでも定められたもの。このミッションを遂行するため、欧州中央銀行はさまざまなことをしています。
とくに欧州中央銀行が大きな役割を果たしたのが2009年のギリシャ危機。ギリシャに対して、財務を健全化させるように通達を出すのみならず、支援するためにさまざまな手配をしました。そうすることで、ユーロの価値が下がることを抑えるのです。
欧州中央銀行の多岐に渡るユーロ圏内業務
EUに加盟している国の民間銀行の資金を預かっているのが欧州中央銀行。加盟国の銀行に融資を行うこともあります。それぞれの国にも中央銀行があり、ユーロの準備金を持っていますが、それらは欧州中央銀行に預けることが決まり。欧州中央銀行が管理したり、運用したりしています。
そのほか、ユーロ圏内の財務状況を調べることも欧州中央銀行の役割。ただし、欧州中央銀行は独立した存在のため、どこの国からも政治的な介入を受けないことになっています。そのため運営の方法が不透明という批判もありました。
2009年10月にギリシアでは政権交代が起こり、旧政権が赤字を隠していたことが発覚しました。そこで新政権が財政を健全化する計画を発表します。しかしその内容はあまりに楽観的。そこでギリシャ国債が格下げされました。それによりユーロの国債価値も下落。財政不安があるEU加入国は他にもあり、ユーロは安定している通貨とは言い切れない現実があります。そのため、これからユーロを新たに導入する国は、厳しく審査されることになるでしょう。
ユーロ導入による今後の課題
日本人のあいだでも広く知られているユーロですが、ユーロ圏に含まれる国の実情はさまざま。多様だからこそ、その都度解決しなければならない課題が数多く残されています。
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