

ユーロが導入される背景、経済効果、現在の課題について、世界史に詳しいライターひこすけと一緒に解説していくぞ。
- ユーロとはどのような通貨?
- ユーロが導入されているのは欧州連合(EU)
- ユーロが構想されたのは第二次世界大戦後
- ユーロが導入されるまでの経緯
- ユーロという名称が決定されるまで
- 特定の肖像画を使わないユーロ紙幣
- ヨーロッパでユーロが導入されるメリット・デメリット
- ユーロのメリットはヨーロッパの経済の活性化
- ユーロのデメリットは経済格差に対する対応
- ユーロの流通を管理している欧州中央銀行
- 物価の安定と雇用の創出が主なミッション
- 欧州中央銀行の多岐に渡るユーロ圏内業務
- ユーロ導入による今後の課題
- ドルには及ばないユーロの現実
- 政治的にまとめることが難しいユーロ圏
- 政治的なまとまりもユーロ発展の鍵
この記事の目次

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/ひこすけ
アメリカの歴史や文化を専門とする元大学教員。海外旅行や海外出張する際、手に取ることが多いのがユーロ。ヨーロッパ旅行のときはとても便利ですが、どうしてユーロが使われるようになったのが気になり、まとめてみた。
ユーロとはどのような通貨?

ユーロは、欧州連合(EU)に加盟している国で、公式に使用されている通貨のこと。加盟国ではないものの、EUに加盟している相手国がある小国が、公式通貨として採用しているケースもあります。
ユーロが導入されているのは欧州連合(EU)
ユーロを公式通貨として導入しているのはEUに加盟している国々です。EUとは、ヨーロッパの国々をひとつにまとめる政治的・経済的な連合。統合を推進するための施策のひとつとしてユーロが構想されました。ただ、すべての国が採用しているわけではなく、27か国中19か国にとどまっています。
世界の大国というと、アメリカやロシアのイメージが強いと思いますが、EUとして考えると、かなりの規模に。そのためユーロも、アメリカドルに続いて、世界でもっとも使われている基軸通貨となりました。また、取引高も世界2位を誇っています。
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ユーロの導入は、EUをさらに統合させる取り組みと不可欠に結びついています。1993年に欧州連合条約(マーストリヒト条約)が発行。そこで、経済通貨の統合、外交と安全保障の共通化、内務の協力が目標として定められました。ユーロは、この3つの目標のひとつ、経済通貨の統合に該当。段階を踏みながら通貨統合の準備が行われ、1999年に最終段階。各国の通貨が廃止され、共通の通貨であるユーロが導入されました。
ユーロが構想されたのは第二次世界大戦後
第一次世界大戦、第二次世界大戦と、ふたつの世界大戦の影響により、ヨーロッパはたびたび経済的な危機にさらされてきました。これらの世界大戦は、ヨーロッパ諸国同士の衝突が引き金になって引き起こされた一面もあります。
そこでヨーロッパ諸国の足並みをそろえ、共に発展していくことが不可欠と考えられ、共通の通貨であるユーロが構想されました。貨幣を共通化することで、ヨーロッパ諸国内の通商がスムーズになり、モノやカネの移動が自由になると考えられました。
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実は、ユーロの導入を引っ張ったのはアメリカ。1965年、アメリカ国務省で開かれた会談のなかで、欧州通貨統合の方針が決定されたようだ。アメリカは、ヨーロッパをまとめることで力をつけ、ソ連そしてロシアの拡大を防ごうとしたのだろう。ただ、当初は反対意見も多く、何度も頓挫しかかったと言われている。
ユーロが導入されるまでの経緯

ユーロが構想されたのは1960年代までさかのぼりますが、実際に導入されるまでには1990年代まで待つことになります。ヨーロッパ諸国は、さまざまな歴史や文化、価値観を持つ国から構成。そのため合意が成立するのに時間がかかったからです。
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