フロリゲン
短日および長日植物が、日長を感知して知ることがわかりましたが、では、どこで感知しているでしょうか。答えは、葉です。葉で日長を感知して、花芽が形成されるのは、茎の先端部で、シュート頂分裂組織という箇所になります。茎のことをシュートと言うのですよ。
葉で日長を感知して花をつくるホルモンが分泌され、シュート頂分裂組織まで運ばれて花芽形成がなされると考えられています。そのホルモンをフロリゲンと言います。
花を構成する器官
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花をよく観察すると、様々な器官から構成されていることに気づくかと思います。これらはどのようにしてつくられていくのかみてみましょう。
花芽形成に関わる植物ホルモンのフロリゲンがシュート頂分裂組織に到達すると、これまで葉をつくっていた代わりに、花芽を形成し始めますよ。このことから、花は、シュート(茎)が変形したものと考えられています。
花を構成する器官は、外側から、がく片、花弁(花びら)、雄ずい、心皮(雌ずい)の4つ。これらは葉が変形したと考えられているのですよ。
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花の器官はどうやってつくられるか
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図3のように、それぞれの器官がある部位を4つに分けてみました。一番外側に位置する部位を領域1、一番内側が領域4です。先ほど説明したがく片、花弁、雄ずい、雌ずいは4つの同心円状に輪生します。それぞれの領域で働いている遺伝子が異なっていると研究ではわかっていますよ。
それらの遺伝子がもつおのおのの遺伝情報が読みだされて(転写)、それらのタンパク質がつくられる、タンパク質が機能を果たして、様々な器官がつくられていくのです。
図の領域1にはがく片、領域2は花弁、領域3に雄ずい、領域4に心皮がそれぞれつくられますが、それには、3種類の機能遺伝子が関係しているのです。
花の形はどうやって決まるのか
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被子植物には様々な形の花がありますね。花芽の中で4種類の器官の並び方がどのようにして決まるのかは研究で明らかになりつつありますが、花の形がどうやって決まるのかはわかっていません。
例えば、写真のシロイヌナズナの花びらは、しゃもじのような独特の形をしていますが、この形がどのようにつくられ、なぜその形なのかはわかっていません。
日長の影響を受けない中性植物
被子植物が花を咲かせるには、日長と温度の影響を受けます。短日植物、長日植物、中性植物の3つのタイプに分けられましたね。短日植物は、日長が短くなると花芽を形成、長日植物は日長が長くなると花芽を形成します。中性植物は、花芽の形成において日長の影響はほとんど受けませんでしたね。日長は日に当たる時間というよりも暗闇の時間が、温度においては気温が上がるよりも下がる方が重要でしたね。様々な植物ホルモンがある中で、花芽形成ではフロリゲンという植物ホルモンが関係しました。花のつくりも何気なく当たり前のように思っていても、まだなぜそうなるのか詳しくわかっていないこともあるのです。今後研究で明らかになっていくことが楽しみですね。