今回は中性植物について説明していきます。中性直物について説明していく上で、花芽形成を軸に話していく。花を毎年咲かせる植物はその季節になるとちゃんと花を咲かせるよな。花を決まった季節に咲かせるためには季節を先読みする必要がある。どうやって季節を先読みしているか、そのことを生物に詳しいライターmimosa(ミモザ)と一緒に解説していきます。

ライター/mimosa

幼いころから地方の自然豊かな環境で育ってきたので、自然が大好き。もともと文系出身で、独学で生物学、分子生物学、微生物学を勉強し、現在医学系研究所の研究アシスタントとして理系の世界へ飛び込んだ。理科が苦手な方へも興味を持ってもらうべくわかりやすい説明を心掛けている。

中性植物とは

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中性植物の「中性」とは何を表していると思いますか。他にどんな種類があると思いますか。酸性、アルカリ性が浮かんだ方は私だけではなかったはず。中性は、中日植物とも呼ばれています。この「日」とは、日長のことを表していますよ。

花芽形成の準備

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植物は適切な環境に置かれないと花は咲きませんし、ただ水をあげるだけでは花は咲きません。成長すると花になる芽(花芽)の形成は、日の長さと温度が重要になってきますよ。

まずは、花芽形成について見ていきましょうね。

なぜ開花の季節が決まっているのか

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植物はなんのために花を咲かせるか。受粉して花が散ったら、その後に種ができる。その種が地に落ちて発芽する。ご存じのように、次の世代の子孫をつくるために必要ですね。被子植物において花は有性生殖で欠かせないものです。

そしてなぜ、花によって季節が決まっているのか。種が作られるためには、他の個体の花粉による受粉(他家受粉)を行います。(自家受粉する花もありますが。)そのためにはもちろん同じ種類の花が同じ時期に咲いておくことが第一で、また花粉を運んでくれる昆虫などの存在がかかせません。そのため、花粉を運んでくれる昆虫の活動の時期に合わせなければなりませんね。

よって、植物は季節を先読みしなければならないのです。では、何を手掛かりにするのか。

日の長さと温度を基に季節を先読みしているのですよ。

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光周性

光周性

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光周性とは、日長や光の強さの変化が動物の行動に影響することです。例えば、渡り鳥の移動の時期、繁殖のタイミング、昆虫の蛹になるタイミングも光周性の影響を受けているのですよ。

これは植物にも関係あることです。どのような日長条件によって花が咲くのか分類されるのが、短日植物と長日植物。短日植物は1日のうちの日長がある長さよりも短い場合に花芽形成が促され、長日植物は、1日のうちの日長がある長さよりも長い場合に花芽形成が促されます。

では、中性植物はどうなるのか。中性植物は短日、長日植物のように日長の影響をほとんど受けず花芽形成をするのです。中性植物には四季咲き二季咲きの植物が多いですよ。

日長を感知する物質

日長を感知する物質

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葉で感知して花芽形成のための物質ができているということですが、物質の正体はタンパク質光受容体タンパク質で光の明暗を感知しています。

また、植物の細胞内には、生物時計(概日時計)という、時間を測る仕組みも持っています。これは、「松果体」の記事でも触れましたが、バクテリアを含むあらゆる生物に備わっていますよ。

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温度

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日長が長日植物、短日植物において季節を先読みするのに大切であると説明しましたが、日長と並ぶくらい大切な要素である温度について見ていきましょうね。

低温の経験

秋に種を蒔いて春から夏にかけて花を咲かせる長日植物は、冬至から夏至を経験し越冬します。暖かい時期に花を咲かせるから、暖かい気温が必須かと思われますが、長期にわたる(1か月~数か月)低温が必須です。しっかり冬を経験して春を経験しないと花芽が形成されないのです。このことを春化と言いますよ。

温度を感知する物質はまだわかっていない

日長は、地球の公転が一定している限り安定していますね。ですが、気温は年によって違いますね。日長を感知する光センターの役割を果たす、光受容体たんぱく質の正体は研究で明らかになりつつありますが、植物が温度を感知するタンパク質はまだ見つかっていません。

花芽形成に関係するホルモン

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中性植物について理解できましたか。では、最後にどの被子植物にも当てはまること、花芽形成のホルモンについてお話しますね。植物にはまだわかっていないこともあるので、そのことも説明していきますね。

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フロリゲン

短日および長日植物が、日長を感知して知ることがわかりましたが、では、どこで感知しているでしょうか。答えは、葉です。葉で日長を感知して、花芽が形成されるのは、茎の先端部で、シュート頂分裂組織という箇所になります。茎のことをシュートと言うのですよ。

葉で日長を感知して花をつくるホルモンが分泌され、シュート頂分裂組織まで運ばれて花芽形成がなされると考えられています。そのホルモンをフロリゲンと言います。

花を構成する器官

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花をよく観察すると、様々な器官から構成されていることに気づくかと思います。これらはどのようにしてつくられていくのかみてみましょう。

花芽形成に関わる植物ホルモンのフロリゲンがシュート頂分裂組織に到達すると、これまで葉をつくっていた代わりに、花芽を形成し始めますよ。このことから、花は、シュート(茎)が変形したものと考えられています。

花を構成する器官は、外側から、がく片、花弁(花びら)、雄ずい、心皮(雌ずい)の4つ。これらは葉が変形したと考えられているのですよ。

花の器官はどうやってつくられるか

花の器官はどうやってつくられるか

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図3のように、それぞれの器官がある部位を4つに分けてみました。一番外側に位置する部位を領域1、一番内側が領域4です。先ほど説明したがく片、花弁、雄ずい、雌ずいは4つの同心円状に輪生します。それぞれの領域で働いている遺伝子が異なっていると研究ではわかっていますよ。

それらの遺伝子がもつおのおのの遺伝情報が読みだされて(転写)、それらのタンパク質がつくられる、タンパク質が機能を果たして、様々な器官がつくられていくのです。

図の領域1にはがく片、領域2は花弁、領域3に雄ずい、領域4に心皮がそれぞれつくられますが、それには、3種類の機能遺伝子が関係しているのです。

花の形はどうやって決まるのか

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被子植物には様々な形の花がありますね。花芽の中で4種類の器官の並び方がどのようにして決まるのかは研究で明らかになりつつありますが、花の形がどうやって決まるのかはわかっていません。

例えば、写真のシロイヌナズナの花びらは、しゃもじのような独特の形をしていますが、この形がどのようにつくられ、なぜその形なのかはわかっていません。

日長の影響を受けない中性植物

被子植物が花を咲かせるには、日長と温度の影響を受けます。短日植物、長日植物、中性植物の3つのタイプに分けられましたね。短日植物は、日長が短くなると花芽を形成長日植物は日長が長くなると花芽を形成します。中性植物は、花芽の形成において日長の影響はほとんど受けませんでしたね。日長は日に当たる時間というよりも暗闇の時間が、温度においては気温が上がるよりも下がる方が重要でしたね。様々な植物ホルモンがある中で、花芽形成ではフロリゲンという植物ホルモンが関係しました。花のつくりも何気なく当たり前のように思っていても、まだなぜそうなるのか詳しくわかっていないこともあるのです。今後研究で明らかになっていくことが楽しみですね。

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理科生物

3分で簡単「中性植物」!花芽形成とは何?植物が花を咲かせる仕組みを理系ライターが詳しくわかりやすく解説

光周性

光周性

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光周性とは、日長や光の強さの変化が動物の行動に影響することです。例えば、渡り鳥の移動の時期、繁殖のタイミング、昆虫の蛹になるタイミングも光周性の影響を受けているのですよ。

これは植物にも関係あることです。どのような日長条件によって花が咲くのか分類されるのが、短日植物と長日植物。短日植物は1日のうちの日長がある長さよりも短い場合に花芽形成が促され、長日植物は、1日のうちの日長がある長さよりも長い場合に花芽形成が促されます。

では、中性植物はどうなるのか。中性植物は短日、長日植物のように日長の影響をほとんど受けず花芽形成をするのです。中性植物には四季咲き二季咲きの植物が多いですよ。

日長を感知する物質

日長を感知する物質

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葉で感知して花芽形成のための物質ができているということですが、物質の正体はタンパク質光受容体タンパク質で光の明暗を感知しています。

また、植物の細胞内には、生物時計(概日時計)という、時間を測る仕組みも持っています。これは、「松果体」の記事でも触れましたが、バクテリアを含むあらゆる生物に備わっていますよ。

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