ヨーロッパの歴史世界史

ヨーロッパ諸国の経済的発展を支える「EU」とは?歴史・仕組み・課題などを元大学教員が5分でわかりやすく解説

よぉ、桜木建二だ。EUの正式名称は欧州連合(European Union)。経済的そして政治的に結びついた連合で、ヨーロッパなどの27か国が加盟しています。EUに加盟することもメリットは、共通の法制度が適応されるため、お金や人の移動がより自由になること。

そんなEUがヨーロッパ諸国の発展にどのように影響しているのか、世界史に詳しいライターひこすけと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/ひこすけ

アメリカの歴史と文化を専門とする元大学教員。近年、ロシアのウクライナ進攻をうけて、ヨーロッパの連携の在り方について議論されている。そこで、EUがどのような役割を担うのか気になり、調べてみることにした。

EUとはどのような制度?

image by PIXTA / 84671048

テレビのニュースなどで話題になることが多いEU。とくに有名なのが共通の通貨であるユーロでしょう。ただ、名称はよく聞くものの、実際はどのような連合なのか、把握しきれていないと思います。そこでEUについて概要をまとめました。

多様なヨーロッパ諸国をひとつにまとめるEU

ヨーロッパはさまざまな背景がある国から構成されています。歴史的にも衝突することが多く、戦争に発展することも多々ありました。そこで、多様な国々をひとつにまとめ、ヨーロッパ全体として発展していこうと考えます。このような趣旨のもと設立されたのがEUです。

EUを構成するのはヨーロッパの27か国。国境を取り去ってみると、総面積は4,233,255.3平方キロメートルに及びます。すべての人口はなんと約4億4700万ほど。加盟国は、同意した場合に限り、共通の法制度のもと行動することができます。

EUによりヨーロッパは法律と経済が共通化

通常、それぞれの国が、独自の法制度や通貨などの経済制度を持っているもの。しかしながら、EUに加盟するとそれらが共通化され、ひとつにまとまった共同体として行動できます。なかでもEUに加盟することで大きく変化するのが市場。EU域内は単一の市場と見なされ、通貨も共通の「ユーロ」が使用できるからです。

国境を超えて輸出や輸入をすると税金がかかるのが通常。しかしEU域内は単一の市場のため税金は課されません。また、仕事や旅行で移動することも簡単になります。自由な移動を支えているのが法制度。自由な移動を保障するために、貿易、農業、漁業、地域開発などの法律を策定するなど、政策をEUのなかで共通化を進めてきました。

ユーロとは、EU加盟国のうち19か国で導入されている通貨です。EUは現在24か国。つまり、すべてがユーロを採用しているわけではありません。また、加盟国ではないものの、相手国がユーロを導入したことを理由に、法定通貨とした国もあります。

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ヨーロッパは、経済的に発展している国は多いが、それぞれの国の規模はそれほど大きくない。そのため、それぞれで活動すると、大国であるアメリカやロシアに対抗することは難しい。そこで、バラバラに動くよりまとまったほうがいい、そういう判断になったのだろう。

EUが確立するまでの経緯

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By DiliffOwn work, CC BY-SA 3.0, Link

これまで歴史的に、ヨーロッパを統合する動きはありましたが、それが本格化するのは第二次世界戦後。ヨーロッパ国内の戦争の歴史の反省、そしてソ連による反共の波に対抗することが、当初の趣旨でした。

EUの設立を推進したのはアメリカ

ヨーロッパを統合する動きは、必ずしもヨーロッパ諸国の主導で行われたわけではありません。アメリカが、1948年に設立された統合ヨーロッパのためのアメリカ委員会を通じて、資金等のバックアップをしてきました。

ソ連との対立が深まるアメリカにとって、ヨーロッパの共産化の波を食い止めることは不可欠です。そこでアメリカは、ヨーロッパ諸国を防波堤にして、ソ連の影響力の拡大を抑え込もうと考えました。

\次のページで「経済分野で段階的にEUが形作られる」を解説!/

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