
砂糖や塩は水に簡単に溶ける。物質が溶媒に溶けることは、当たり前のことと思うかもしれないが、実は「溶解」とはとても複雑な現象です。砂糖や塩は水に簡単に溶けるが、油は水には溶けない。この違いはいったいなんだ?
この違いを説明するためには、「溶媒和」と「相互作用」という言葉がとても大切なキーワードになる。
今回は物質が溶媒に溶ける現象を、溶媒和や相互作用という言葉を交えながら、化学に詳しいライターリックと一緒に解説していきます。
ライター/リック
高校生で化学にハマり、大学院までずっと化学を勉強してきた化学オタク。今は化学メーカーで働きながら化学の楽しさを発信する。
物質が溶けるとは、どういうこと?

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まずは、物質が液体に溶ける「溶解」とはどんな現象か、簡単におさらいしましょう。溶解とは、「溶質と呼ばれる固体・液体または気体が溶媒(液体)中に分散して均一系を形成する現象」です。
言葉で書くとなかなか難しいですね。ですが、溶解という現象は、日常生活の中でも目にしています。よく例として取り上げられるのが、水ですね。水も溶媒の1つです。
塩や砂糖を水に溶かすとサラッと溶けてしまいますよね。これが溶解です。この時、水を溶媒と呼び、砂糖や塩を溶質と呼びます。
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「溶解」や「溶ける」は非常に難しい言葉なんです。例えば、牛乳は水に溶解しているのか?という疑問にはどう答えましょう。牛乳はコロイド状態と呼ばれて、牛乳の成分が水に均一に分散していないため、溶解とは異なる現象です。
今回解説する溶解はあくまでも、「溶質が溶媒に溶けて均一な系を形成する場合」としています。興味のある方はコロイドの分野を調べてみてください。コロイド化学も難しくて奥が深い分野です!
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ここからは、溶ける・溶けないを決めている「溶媒和」とは何なのか、解説していきますね。溶媒和という単語をwikipediaで検索してみると、次のように書いてあります。
溶媒和とは「溶質分子もしくは溶質が電離して生じたイオンと溶媒分子とが、静電気力や水素結合などによって結びつき取り囲むことで溶質が溶媒中に拡散する現象のことである。」
出典:wikipedia:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%B6%E5%AA%92%E5%92%8C
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