今回は「写真の原理」について解説していきます。

今やスマートフォンのカメラで簡単に撮影できる写真ですが、風景や人物の様子が写真として残されるまでの原理を知っている方は決して多くはないはずです。そこで今回の記事では、馴染みのあるデジタル写真の原理はもちろんのこと、昔から存在するフィルム写真の原理まで詳しく説明することにしたぞ。ぜひ、この機会に「写真の原理」についての理解を深めてくれ。

塾講師として物理を高校生に教えていた経験もある通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻しており、物理学も幅広く勉強している。塾講師として物理を高校生に教えていた経験から、物理の学習において、つまずきやすい点や勘違いしやすい点も熟知している。

写真の原理について学ぼう!

image by iStockphoto

私たちはカメラを使うことで様々な思い出を写真に残すことができます。今日ではスマートフォンに搭載されているカメラを用いて、いとも簡単に写真の撮影ができますよね。では、カメラは私たちが見ている景色をどのように紙や画面の中に残すのでしょうか?今回の記事は、この疑問に答えるものになっています。

写真の原理を理解することで、身の回りで物理学や化学の知識がどのように活用されているのかが良くわかるでしょう記事の前半では写真の原理について詳しく説明し、その後に写真に関する技術の歴史について学びますよ

以下では、写真が出来上がるまでのメカニズムを、ある被写体を撮影する場合を例に挙げて説明しますね。それでは早速解説をはじめていきます。

被写体からカメラに光が届く

私たちが物体を目で見ることができるのは、太陽光や照明による光が物体に当たり、その反射光が目に届くからです。つまり、私たちが見ている景色の正体はすべて光なのですね。この理屈はカメラで写真を撮影するときも同じですよ。

例えば、外で景色を撮影するときには、被写体に当たった太陽光の反射光がカメラのレンズに届きます。また、暗い場所で写真を撮影するときには、フラッシュを焚いて人工的に被写体に光を当て、その反射光をレンズに届かせますよ

\次のページで「光がレンズを通り像が生じる」を解説!/

光がレンズを通り像が生じる

被写体からレンズに届いた光は、そのままレンズを通過しカメラ内部に入っていきます。レンズを通過した光は一部分に収束し、その部分に被写体の像が結ばれますよ。像をスクリーンに映すと、そこに被写体の影が現れます。

また、写真の撮影に用いられるレンズは、『写真レンズ』と呼ばれていますよ。写真レンズは、複数枚のレンズを組み合わせた特殊レンズになっていますよこのレンズは色収差が少ないものになっており、結像するときに像がぼやけにくいものとなっているのです

感光により像が残る

レンズによって結像された像の形状や色を記録すると写真の元データが得られます。この記録作業のことを感光と呼ぶのです。デジタルカメラが登場する前は、ハロゲン化銀を塗布したフィルムに像の形を感光していました。ハロゲン化銀は光化学反応を発生させるので、被写体から届く光の明暗を記録することができるのです。

一方、デジタルカメラはCCDなどの光学半導体を用いて、被写体からの反射光の明暗を記録し、被写体の色や形状を電子データに変換しています。この電子データは、SDカードなどのデジタルメディアに残されますよ。これがデジタルカメラの感光です。

現像で写真が完成

現像処理は、フィルムやデジタルメディアに記録された写真データを、紙や液晶画面などの目に見える形にする作業のことを指します。フィルムに感光された写真データは薬品を用いてハロゲン化銀を固定しますよこれを引き延ばして印刷すると写真になります。これが現像作業です。

デジタルメディアに保存された写真データは、コンピュータを用いて人間の目で見える形に変換し、液晶画面などに映します。これがデジタル画像の現像作業となりますよ。以上のような過程を経て、一枚の写真が出来上がるのです。

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写真の歴史

写真の歴史

image by Study-Z編集部

ここまでの解説を通して、写真の原理が一通り理解できたことでしょう。以下では、写真が誕生してから現在に至るまでの歴史について学んでいきます写真に関する技術がどのように発達してきたのかを知ることで、写真の原理についての理解もより深めることができますよ

このチャプターでは、『写真の発明』・『写真の普及』・『デジタル写真の誕生』という順の時間軸を追うことで、写真の歴史について述べますよ。それでは、写真の歴史についての解説を読み進めてみてください。

写真の発明

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写真が発明されるはるか前から、風景などを紙の上に正確に書き写す試みは行われており、それは最も古いものであると古代中国春秋時代までにさかのぼります。また、16世紀ごろにはデッサンをするときにレンズ付きの補助器具を用いるようになりました。そして、19世紀になって感光技術が確立し、カメラを用いた写真撮影が可能になったのです

日本では江戸時代後期にカメラが海外から入ってくるようになりました。1857年には日本人の技術だけを用いて、写真の撮影をすることに成功しています。このとき、被写体となったのが薩摩藩(鹿児島県)の藩主である島津斉彬だとされていますよ。

\次のページで「写真の普及」を解説!/

写真の普及

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カメラが発明されてから、風景や人物の記録をする際には積極的に写真を用いるようになりました。歴史の教科書を見ると、その様子がよくわかりますよね。

日本では、高度経済成長期に突入した頃の時期から、家庭用のフィルムカメラが徐々に普及してきました。これにより、家族写真などが手軽に撮影できるようになったのですね。その後、使い捨てカメラチェキの登場により、写真撮影のハードルはさらに下がっていくことになります。

デジタル写真の誕生

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2000年代になると、記録媒体をデジタルメディアとしたデジタル写真が実用化されます。デジタル写真は現像に特別な技術が必要ありません。それゆえ、コンピューターさえあれば家庭でも簡単に写真の撮影から印刷までを行うことができるようになりました。

その後、携帯電話にもカメラが搭載され、電子メールを介して写真をやり取りできるようになりました。今ではスマートフォンにカメラが搭載されているのは当たり前であり、SNSを通じて世界中の人とデジタル写真が共有されるようになっていますよね。19世紀に写真が発明されてから約200年で、これほどの進化をとげたことには驚きです。

写真の原理について学ぶ意義

写真は私たちにとって非常に身近な存在ですが、その原理について考えたことがある方は多くはないでしょう。そして、写真の原理を知っていたところで意味はないと思う方もおられるかもしれません。しかしながら、本当に綺麗な写真を撮影するためには写真の原理を知っておく必要があります。

この記事では、写真の原理を基礎から丁寧に解説しました。写真好きの方はもちろん、そうではない方もこの機会にぜひ雑学として、写真の原理について学んでみてくださいね。

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化学無機物質物理理科生活と物質電磁気学・光学・天文学

3分で簡単写真の原理!フィルム写真からデジタル写真まで現役理系学生ライターが徹底わかりやすく解説

今回は「写真の原理」について解説していきます。

今やスマートフォンのカメラで簡単に撮影できる写真ですが、風景や人物の様子が写真として残されるまでの原理を知っている方は決して多くはないはずです。そこで今回の記事では、馴染みのあるデジタル写真の原理はもちろんのこと、昔から存在するフィルム写真の原理まで詳しく説明することにしたぞ。ぜひ、この機会に「写真の原理」についての理解を深めてくれ。

塾講師として物理を高校生に教えていた経験もある通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻しており、物理学も幅広く勉強している。塾講師として物理を高校生に教えていた経験から、物理の学習において、つまずきやすい点や勘違いしやすい点も熟知している。

写真の原理について学ぼう!

image by iStockphoto

私たちはカメラを使うことで様々な思い出を写真に残すことができます。今日ではスマートフォンに搭載されているカメラを用いて、いとも簡単に写真の撮影ができますよね。では、カメラは私たちが見ている景色をどのように紙や画面の中に残すのでしょうか?今回の記事は、この疑問に答えるものになっています。

写真の原理を理解することで、身の回りで物理学や化学の知識がどのように活用されているのかが良くわかるでしょう記事の前半では写真の原理について詳しく説明し、その後に写真に関する技術の歴史について学びますよ

以下では、写真が出来上がるまでのメカニズムを、ある被写体を撮影する場合を例に挙げて説明しますね。それでは早速解説をはじめていきます。

被写体からカメラに光が届く

私たちが物体を目で見ることができるのは、太陽光や照明による光が物体に当たり、その反射光が目に届くからです。つまり、私たちが見ている景色の正体はすべて光なのですね。この理屈はカメラで写真を撮影するときも同じですよ。

例えば、外で景色を撮影するときには、被写体に当たった太陽光の反射光がカメラのレンズに届きます。また、暗い場所で写真を撮影するときには、フラッシュを焚いて人工的に被写体に光を当て、その反射光をレンズに届かせますよ

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