
他の生物から栄養分などを搾取する動物を寄生虫と呼ぶのは多くの方がご存じだと思うが、その生態について詳しく調べたことはあるでしょうか。一部の寄生虫は一つの宿主だけではなく、二つ以上の宿主を行き来して繁殖する種類もいる。その場合、宿主は「中間宿主」と「終宿主」に分類できるんです。
今回はこのうちの「中間宿主」について詳しく見ていきます。説明してくれるのは生物学オリンピックメダリストのNoctilucaです。

ライター/Noctiluca
高校時代に生物学の面白さに気づき、のちに国際生物学オリンピックで金メダルを受賞。現在は自分の「好き」を突き詰めるため、医学生として勉強中。
中間宿主の前に…寄生虫の生態について
中間宿主について見ていく前に、寄生虫の簡単な特徴を見ていきましょう。
寄生虫とは栄養やサービスを他の生物から持続的に搾取する動物の事
寄生虫(寄生動物とも)は宿主と呼ばれる別の動物の体表や体内に住み込み、その動物が摂取した栄養分などを一方的に奪って生活する動物のことを言います。
寄生者が宿主の体表にいるものを「外部寄生」、宿主の体内にいるものは「内部寄生」。さらに寄生者が細胞の中にいるものは「細胞内寄生」などと呼んで区別することができます。
宿主への影響
寄生動物は多くの場合、栄養分を一方的に奪うだけで宿主を死に至らしめることは少ないです。これは宿主が死んでしまうと寄生虫自身にも不利益が及んでしまうからですね。世代を経るごとに寄生虫が宿主に与える被害は少なくなっていく傾向が見られるのです。
ですが一部の動物では、幼虫の成長の過程で宿主を殺してしまう寄生動物も存在します。例えば寄生バチというハチの種類では、宿主(ほかの昆虫の幼虫など)に卵を産み付け、卵から孵った幼虫は宿主の体組織を食べて成長。最終的に幼虫が宿主を食い尽くしてしまうことが多く、このような寄生の形態を「捕食寄生」と呼びます。
多くの寄生生物はいくつかの宿主を行き来する
多くの場合寄生虫は一種類の宿主だけにはとどまらず、複数の動物に寄生できる能力を持ちます。これによって繫殖の機会が増えるのはもちろん、多様性を増やす意味も持ちますね。
中間宿主の定義は?
寄生虫の大まかな特徴を学んだところで、今回のテーマの中間宿主について見ていきます。
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