ライター/ポスドクランナー
大学院で運動やや生物学について学び、生理学に精通している。現在も研究者として活動を続ける傍ら、市民ランナーとしても多くのマラソン大会に出場している現役のランナー。
タンパク質の「変性」ってなに?原理を解説!
image by iStockphoto
タンパク質の「変性」の言葉の意味は読んで字のごとく、タンパク質の性質が変化してしまうことです。
タンパク質はいくつものアミノ酸からなりますが、直線的に連結した状態で存在するのではなく、折りたたまれたり、複合体を形成したりと複雑な立体構造を取った状態で存在することで安定化し、その機能を発揮しています。熱や酸・アルカリ、物理的な障害を受けるとこの高次構造が保てなくなってしまうので、その性質が変ってしまうのです。
こちらの記事もおすすめ
【タンパク質の性質】タンパク質の構造とその特徴を生物専攻ライターが5分でわかりやすく解説!<第2回>
タンパク質は変性するとどうなるの?
image by Study-Z編集部
タンパク質は変性するとその立体構造が崩れ、物理的・化学的性質が失われてしまいます。そのため、多くの場合は失活と呼ばれるタンパク質が持つ本来の生理活性が失われた状態になるのです。
タンパク質が活性を失う以外にも性質が変ってしまったりします。例えば、お肉を冷凍保存していると味が落ちて美味しくなくってしまったことはありませんか?これは冷凍した際にお肉のタンパク質の構造が壊れてしまうことで起きているのです。
原因はなに?
タンパク質の変性が起こる原因としては加熱、凍結・融解、超音波、圧力、激しい攪拌などの物理的要因や、酸・アルカリ、尿素、有機溶媒、界面活性剤、重金属溶液などの化学的要因が挙げられます。これらによってタンパク質の水素結合や疎水相互作用が壊れることでその高次構造が壊れ、タンパク質が凝集したり、水に溶けやすくなったりするのです。
\次のページで「変性したものは元に戻るの?」を解説!/