この記事では「命を捧げる」について解説する。

端的に言えば「命を捧げる」の意味は「死ぬ覚悟で尽くす」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「命を捧げる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「命を捧げる」の意味をわかりやすく伝える。

「命を捧げる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「命を捧げる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「命を捧げる」の意味は?

「命を捧げる」には、次のような意味があります。

大切なもののために命を差し出す。また、死ぬ覚悟で尽くす。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「命を捧げる

「命を捧げる」は「いのちをささげる」と読み、何か大切な物事や人間のために命を差し出す際、又は死を覚悟しながら尽くす際に使用する言葉です。ビジネスシーンでも日常生活でも、口語で使用する場合は前者のような場面にはなかなか出くわしませんから、後者の意味のことが多いでしょう。

「命を捧げる」の語源は?

次に「命を捧げる」の語源を確認しておきましょう。「命を捧げる」の語源は明確ではありませんが、2つの単語がくっついた慣用句ですから、それぞれの意味を確認してみます。

まず「命」は文字通り「生物が生きていくためのもとの力となるもの。生命。」のことですね。次に「捧げる」は「自分の持つすべてを惜しみなくある対象につぎこむ。」という意味です。

そのため「命を捧げる」を丁寧に言い回すと「生命を惜しみなくある対象につぎこむ」であり、転じて「命を差し出す」又は「命を差し出す覚悟で尽くす」となることがわかりますね。

「命を捧げる」の使い方・例文

「命を捧げる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「命を捧げる」の類義語は?違いは?」を解説!/

1. あの相手に命を捧げるシーン、西洋的な描き方だけれど、なんだか愛を感じてとっても感動しちゃった。

2. あなたはこのままでは受験に失敗するわ。とりあえず点を取りやすい国語に命を捧げて勉強することね。

3. 日本政府からのお知らせが届いたよ。実質的なクビの宣告みたいだが、チャンスを信じて命を捧げて頑張ろうと思う。

例文1は実際の「生命」を捧げることを、例文2と3は何かの物事に対して「死を覚悟しながら頑張る」ことを「命を捧げる」が表現していることがわかりますね。例文2は「受験の失敗」、例文3は「クビ」を「死」と捉えているとも言えるでしょう。

「命を捧げる」の類義語は?違いは?

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それでは次に、「命を捧げる」の類義語を3つほどピックアップしましたので、見ていきましょう。

1. 「骨身を惜しまず」

今回最初にご紹介する類義語が「骨身を惜しまず」(ほねみをおしまず)です。念のため国語辞書にて意味を確認しておきましょう。

苦労をいとわず。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「骨身を惜しまず

このように「骨身を惜しまず」は「命を捧げる」と比較すると、何かの物事や誰かのために頑張るという点では共通していますが、「命を捧げる」の方が「死」を覚悟している故により強い意思や奉仕を表現していると言えるでしょう。

\次のページで「2. 「身を削る」」を解説!/

2. 「身を削る」

次にご紹介する類義語が「身を削る」(みをけずる)です。こちらも意味を確認しておきます。

大変な苦労をしたり、ひどく心を痛めたりする。骨身を削る。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「身を削る

「身を削る」も「命を捧げる」と近い意味を有していますが、「命を捧げる」が何かの物事や誰かのために頑張るというニュアンスを持っていたのに対し、「身を削る」はどちらかというと自らの苦労や痛みに焦点を当てた慣用句と言えるでしょう。「誰かのために身を削る」という使い方であれば「命を捧げる」により近くなりますね。

3. 「奉仕」

今回最後にご紹介する類義語が「奉仕」(ほうし)です。こちらも意味を確認しておきます。

1. 神仏・主君・師などに、つつしんでつかえること。

2. 利害を離れて国家や社会などのために尽くすこと。

3. 商人が品物を安く売ること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「奉仕

「命を捧げる」の類義語としては2の意味ですね。「利害を離れて尽くす」という点では共通していますが、「奉仕」は国家や社会といった対象に限定している点が違いと言えます。

「命を捧げる」の対義語は?

さて、同義語の次は対義語(反対語)を見ていきましょう。

\次のページで「「骨惜しみ」」を解説!/

「骨惜しみ」

「命を捧げる」の対義語としては「骨惜しみ」(ほねおしみ)が挙げられるでしょう。「苦労するのを嫌がって、怠けること。」という意味ですから、対義関係にあることがわかりますね。

「命を捧げる」の英訳は?

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最後に、「命を捧げる」を英訳するとどうなるかを見ていきましょう。

「not spare oneself」

「命を捧げる」を英語で言い回す場合は、「not spare oneself」が挙げられるでしょう。「spare」が「取っておく」「節約する」という意味ですから、その否定形として「骨身を惜しまず」や「努力をいとわない」となります。「spare no effort」も同じように使用可能ですよ。以下に例文を見てみます。

・Since your score is not increasing, don't be sidetracked and pull out your dictionary with determination and without sparing yourself. If you don't do that, you won't learn anything.

点数が伸びていないのだから、横着していないで命を捧げる覚悟で辞典を引きなさいよ。そうしないと身につかないでしょ。

・I'm having a hard time deciding on a menu. What should I do when we open next week? If I don't spare myself and do my best, I'm sure I'll fail.

メニューがなかなか決められず困っているんだ。来週オープンなのにどうしよう、命を捧げて頑張らないと絶対失敗する。

・The opponent in the final is a strong school. We know that their bodies are tired from the consecutive games they have played so far, but they will spare no effort to achieve their long-cherished goal.

決勝の相手は強豪校だ。これまでの連戦で体が疲れていることは知っているが、悲願を達成するためには命を捧げて力を振り絞ろう。

「命を捧げる」を使いこなそう

この記事では「命を捧げる」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単に復習しておきましょう。

「命を捧げる」は何か大切な物事や人間のために命を差し出す際、又は死を覚悟しながら尽くす際に使用する言葉でした。なかなか人生の中で「命を捧げる」場面には出くわさないかもしれませんが、いざそのような時だと感じた際には全力で頑張れるよう、普段から準備や根回しをしておく必要がありますね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「命を捧げる」の意味や使い方は?例文や類語を元校閲者がわかりやすく解説!

この記事では「命を捧げる」について解説する。

端的に言えば「命を捧げる」の意味は「死ぬ覚悟で尽くす」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「命を捧げる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「命を捧げる」の意味をわかりやすく伝える。

「命を捧げる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「命を捧げる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「命を捧げる」の意味は?

「命を捧げる」には、次のような意味があります。

大切なもののために命を差し出す。また、死ぬ覚悟で尽くす。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「命を捧げる

「命を捧げる」は「いのちをささげる」と読み、何か大切な物事や人間のために命を差し出す際、又は死を覚悟しながら尽くす際に使用する言葉です。ビジネスシーンでも日常生活でも、口語で使用する場合は前者のような場面にはなかなか出くわしませんから、後者の意味のことが多いでしょう。

「命を捧げる」の語源は?

次に「命を捧げる」の語源を確認しておきましょう。「命を捧げる」の語源は明確ではありませんが、2つの単語がくっついた慣用句ですから、それぞれの意味を確認してみます。

まず「命」は文字通り「生物が生きていくためのもとの力となるもの。生命。」のことですね。次に「捧げる」は「自分の持つすべてを惜しみなくある対象につぎこむ。」という意味です。

そのため「命を捧げる」を丁寧に言い回すと「生命を惜しみなくある対象につぎこむ」であり、転じて「命を差し出す」又は「命を差し出す覚悟で尽くす」となることがわかりますね。

「命を捧げる」の使い方・例文

「命を捧げる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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