今回は「温室効果」について解説していきます。

「温室効果」は惑星を覆う大気が熱エネルギーを惑星内部に封じ込める現象のことで、地球温暖化の原因になりうるものです。地球温暖化問題が連日報道で取り上げられる中、温室効果という言葉を耳にしたことがある方が多いでしょう。この記事では、温室効果のメカニズムなどについて詳しく解説していく。ぜひ、この機会に「温室効果」について理解を深めてくれ。

環境工学を専攻している現役理系学生ライター通りすがりのペンギン船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。エネルギー工学、環境工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。土壌、生態系、気象、地球温暖化について学んだこともある。

温室効果について学ぼう!

image by iStockphoto

今回の記事におけるメインテーマは『温室効果』です。地球温暖化問題への注目が集まる今日、多くの方がこの言葉を耳にしたことがあるでしょう。今回は地学や物理学の視点で、温室効果について深堀りしていきます

温室効果についてほとんど知識がない方でも、この記事を読み終わるころには温室効果についてきっと自分で説明できるようになりますよ。見慣れない用語については、その意味を丁寧に説明していくので安心してくださいね。

この記事では、記事の前半部分で温室効果の基本知識について述べ、その後地球温暖化問題の議論へと入っていきますよ。それでは早速、温室効果についての解説をはじめます。

温室効果とは?

果物や野菜を育てている畑では、温室(ビニールハウス)をよく目にします。これは地面に届く太陽熱が空気中へと放出されるのを妨げる役割がありますよ。つまり、温室内に熱が封じ込められるのですね

実は地球などの惑星をとりまく大気は、畑の温室と同様に熱を惑星内に封じ込める役割を担います。まさにこの現象が温室効果なのです。地球に大気が存在しない場合、地球の平均気温はマイナス20℃程度になると言われているので、このことから温室効果の偉大さがわかりますよね。

温室効果ガスの種類

温室効果ガスの種類

image by Study-Z編集部

温室効果をもたらす気体は様々ありますが、その中でも温室効果が顕著なものを温室効果ガスと呼びます。温室効果ガスの中で最も有名なものは二酸化炭素です。地球温暖化対策の一環である脱炭素社会の「炭素」とは二酸化炭素のことですよ。

二酸化炭素以外にも、牛のげっぷに含まれるメタンや化石燃料を燃やすときに放出される窒素酸化物も温室効果ガスです。また、フロン類の一部、フッ化硫黄フッ化水素も温室効果ガスとして知られています。

温室効果のメカニズム

Keihl and Trenberth (1997)SunClimateSystem.JPG
Public Domain, Link

ここからは、温室効果という現象がなぜ生じるのかということを考察していきましょう。以下では地球を例に挙げて、温室効果のメカニズムを解説します。

温室効果について理解する際に注目すべきポイントは熱の移動です。熱がどこからやってきて、どのような要素の影響を受けて移動しているのかを考えると、温室効果の仕組みをを説明できるようになりますよ。

地球に太陽放射が届く

地球に届く熱エネルギーの大半は太陽からやってきます。太陽から放出されるエネルギーは太陽放射と呼ばれ、その正体は電磁波(短波放射)になっているのです。

ちなみに、地球に入射する太陽のエネルギーは平均で約342[W/m2]となることが知られていますよ。そして、地球に入射する太陽放射の半分近くのエネルギーは地面に吸収されることが知られています

\次のページで「地球から熱が放出される」を解説!/

地球から熱が放出される

地球の地面は太陽エネルギーを吸収し温められます。しかしながら、このエネルギーは永久的に地球内部に留められることはなく、再び宇宙に向かって放出されるのです

地球から宇宙に放出されるエネルギーの正体は赤外放射(長波放射)になっています。赤外放射も電磁波の一種ですが、太陽放射のときよりも、波長が大きくなっていますよ。波長が大きくなるということは、エネルギー密度が小さくなるということです。

温室効果ガスが再放射で熱を地球に戻す

地球から放出される赤外放射エネルギーはすべて宇宙に放出されるように思われますが、実際はそのようにはなりません地球からの赤外放射の一部は、大気中の温室効果ガスが吸収してしまいます。そして、温室効果ガスはそのエネルギーを再放射し、地表面へとエネルギーを跳ね返すのです

これがまさに温室効果なのですね。そして、温室効果ガスは数多くの気体の中でも赤外放射との相性が良く、赤外線を非常に吸収しやすいものになっていますよ

地球温暖化問題について理解を深めよう!

記事の前半部分では、温室効果とは一体何かということについて説明してきました。その知識を活かして、ここからは温室効果と関係の深い地球温暖化問題について考えてみましょう

地球温暖化問題は人類が直面する課題の中でも深刻なものであると考えられており、現在世界各国が対策をはじめていますよね

地球温暖化が人々に与える影響

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地球温暖化によって引き起こされる気候変動は、異常気象の発生原因になると考えられています。例えば、海水の温度上昇によって台風が大型化することなどが懸念されていますよ。また、異常気象は農業や漁業にも影響を与えるため、食糧問題も発生するという主張も存在しているのです。

加えて、温暖化により病気を媒介する生物の生息域が広がることで、新しい病気が流行することが懸念されています。特に、蚊を媒介することで感染するマラリアの流行が警戒されているのです。以上が、地球温暖化が人々に与える影響の例となります。

地球温暖化の対策とは?

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地球温暖化対策は、アプローチの方法の違いから、緩和策適応策に大別されます。緩和策というアプローチは、地球温暖化の原因である温室効果ガスの総量を減らし、温暖化を緩和するような行動を起こすというものです。緩和策の例としては、『温室効果ガスの排出量を削減すること』、『植林などにより光合成を促進させ、二酸化炭素の吸収量の増加させること』などがあります。

一方で、適応策というアプローチは、温暖化する環境に人類が適応できるような行動を起こすというものになりますよ。異常気象に耐えることができるダムや堤防の整備、流行が想定される病気の治療技術の確立などが適応策に該当します。

温室効果について学ぶ意義

昨今話題の地球温暖化問題について理解するためには、温室効果に関する知識が不可欠です。この記事では、地球を例に挙げて、温室効果という現象の定義やメカニズムについて詳しく説明しました。このような知識を身につけることで、地球温暖化についてもより本質的に議論ができるようになるでしょう。

地球温暖化に関する話題に触れる機会が多いので、以上のような知識を身につけておいて損をすることはきっとないはずです。ぜひ、この記事を読んで、温室効果について詳しく学んでみてくださいね。

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化学原子・元素地学地球大気・海洋宇宙熱力学物理理科

地球温暖化の原因である温室効果とは?そのメカニズムを徹底解明!現役理系学生ライターが5分でわかりやすく解説

今回は「温室効果」について解説していきます。

「温室効果」は惑星を覆う大気が熱エネルギーを惑星内部に封じ込める現象のことで、地球温暖化の原因になりうるものです。地球温暖化問題が連日報道で取り上げられる中、温室効果という言葉を耳にしたことがある方が多いでしょう。この記事では、温室効果のメカニズムなどについて詳しく解説していく。ぜひ、この機会に「温室効果」について理解を深めてくれ。

環境工学を専攻している現役理系学生ライター通りすがりのペンギン船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。エネルギー工学、環境工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。土壌、生態系、気象、地球温暖化について学んだこともある。

温室効果について学ぼう!

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今回の記事におけるメインテーマは『温室効果』です。地球温暖化問題への注目が集まる今日、多くの方がこの言葉を耳にしたことがあるでしょう。今回は地学や物理学の視点で、温室効果について深堀りしていきます

温室効果についてほとんど知識がない方でも、この記事を読み終わるころには温室効果についてきっと自分で説明できるようになりますよ。見慣れない用語については、その意味を丁寧に説明していくので安心してくださいね。

この記事では、記事の前半部分で温室効果の基本知識について述べ、その後地球温暖化問題の議論へと入っていきますよ。それでは早速、温室効果についての解説をはじめます。

温室効果とは?

果物や野菜を育てている畑では、温室(ビニールハウス)をよく目にします。これは地面に届く太陽熱が空気中へと放出されるのを妨げる役割がありますよ。つまり、温室内に熱が封じ込められるのですね

実は地球などの惑星をとりまく大気は、畑の温室と同様に熱を惑星内に封じ込める役割を担います。まさにこの現象が温室効果なのです。地球に大気が存在しない場合、地球の平均気温はマイナス20℃程度になると言われているので、このことから温室効果の偉大さがわかりますよね。

温室効果ガスの種類

温室効果ガスの種類

image by Study-Z編集部

温室効果をもたらす気体は様々ありますが、その中でも温室効果が顕著なものを温室効果ガスと呼びます。温室効果ガスの中で最も有名なものは二酸化炭素です。地球温暖化対策の一環である脱炭素社会の「炭素」とは二酸化炭素のことですよ。

二酸化炭素以外にも、牛のげっぷに含まれるメタンや化石燃料を燃やすときに放出される窒素酸化物も温室効果ガスです。また、フロン類の一部、フッ化硫黄フッ化水素も温室効果ガスとして知られています。

温室効果のメカニズム

Keihl and Trenberth (1997)SunClimateSystem.JPG
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ここからは、温室効果という現象がなぜ生じるのかということを考察していきましょう。以下では地球を例に挙げて、温室効果のメカニズムを解説します。

温室効果について理解する際に注目すべきポイントは熱の移動です。熱がどこからやってきて、どのような要素の影響を受けて移動しているのかを考えると、温室効果の仕組みをを説明できるようになりますよ。

地球に太陽放射が届く

地球に届く熱エネルギーの大半は太陽からやってきます。太陽から放出されるエネルギーは太陽放射と呼ばれ、その正体は電磁波(短波放射)になっているのです。

ちなみに、地球に入射する太陽のエネルギーは平均で約342[W/m2]となることが知られていますよ。そして、地球に入射する太陽放射の半分近くのエネルギーは地面に吸収されることが知られています

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