今回は「電話の仕組み」について解説していきます。

人々が日常的に使っている電話ですが、その仕組みをご存知でしょうか?電話は身近な存在ではありますが、いざ仕組みを説明しようとしてもよくわからないという人が多いはずです。そこで今回の記事では、電話というサービスがどのような仕組みで提供されているかを徹底的に解明していくことにしたぞ。ぜひ、この機会に「電話の仕組み」についての理解を深めてくれ。

塾講師として物理を高校生に教えていた経験もある通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻しており、物理学も幅広く勉強している。塾講師として物理を高校生に教えていた経験から、物理の学習において、つまずきやすい点や勘違いしやすい点も熟知している。

電話の基本原理を学ぼう!

image by iStockphoto

今日、日本人の携帯電話所有率は80%を超えており、各家庭に設置される固定電話も含めると電話の普及率はほぼ100%であると言えるでしょう。私たちが日常的に使っている電話ですが、なぜ遠く離れた人と簡単に会話ができるのでしょうか?この記事を読み終わるころには、このような疑問はきっと晴れていますよ。

この記事では、電話の基本原理を解説した後、現在の電話サービスを支えている要素技術などについても言及します。また、これまで電話サービスがどのように進化してきたかという点も考察してみますよ

最初は、電話を通して遠くはなれた人の声を聞くことができる理由について述べますね。このチャプターでは、AさんがBさんに電話で話しかけている場面を例を挙げて、電話の基本原理を説明します。それでは早速解説をはじめていきますよ。

人の声を電気信号に変換

電話を通してAさんがBさんに話しかけるとき、実際にはAさんは受話器に向かって声を発します。このとき、Aさんの声は受話器に内蔵されているマイクによって電気の信号に変換されますよ

マイクには磁石とコイルが組み込まれています。空気中を伝搬するAさんの声の震えでコイルを揺らし、電磁誘導を発生させることで、このコイルに電流を流すのですコイルに流れる電流は声の強弱に合わせて変化し、その変化が電気信号になるのですね

\次のページで「電気信号の伝達」を解説!/

電気信号の伝達

電気信号に変換されたAさんの声は、電話回線を通じてBさんのもとに届きます。ここでは、電話回線はAさんとBさんの間を直線的に結ぶ通信線であると仮定しましょう。昔ながらの一般的な固定電話であれば、この通信線は電気を通す電線(導線)です

これが携帯電話であれば、AさんとBさんの間の通信の一部は電波が担います。また、近年普及している光電話は、光ファイバー内を伝達する光が通信の一部を担っていますよ。

電気信号を音声に戻す

電話回線を通ってBさんのもとに届いた電気信号は、Bさんの受話器によって音声信号に戻されます。このとき、受話器に内蔵されているスピーカーによって電気信号が音声信号に変換されるのです

スピーカー内部にあるコイルに電気信号を流し、コイルを電磁石として作用させます。そして、この電磁石と永久磁石が反発したり、引き寄せあったりすることで震えが生じるのですこの震えは空気中を伝播し、Bさんの耳に届きます

大規模電話回線の実現

ここまで、AさんとBさんが1対1で電話を利用する場合を考えてきました。ですが、街中の人々が電話を利用するようになれば、1対1での電話サービスは破綻します。ですから、現在の大規模な電話サービスを実現するには、いくつかの工夫が必要になるのです

そこで今回は大規模電話回線を支えている交換機(交換手)という概念について説明します。また、国際電話や離島間での電話などを支えている海底ケーブル人工衛星といった技術についても解説しますよ。

\次のページで「交換機(交換手)」を解説!/

交換機(交換手)

交換機(交換手)

image by Study-Z編集部

交換機は地域内の電話サービスの拠点となる装置です。交換機と電話ユーザーは図のようにつながっています。交換機は任意の電話ユーザー同士が通話をしたいときに、電話ユーザー同士の間で通信を確立するという役割を担いますよ。そして、私たちが使う電話番号は、交換機に誰と通信を確立して欲しいのかを使える呪文のようなものなのです。

現在の交換機は全自動で動作する優れものですが、過去にはこの作業を人が行っている時代もありました。そして、交換機がやっているような作業を行う人々は『交換手』と呼ばれていましたよ。

海底ケーブルや人工衛星

image by iStockphoto

海を隔てた大陸間で電話をするときには、音声信号が海底ケーブルを通り伝達します。現在、世界中の大陸や島々の間には海底ケーブルが張り巡らされており、その役割は電話だけでなくインターネットや送電などにも広がっていますよ。

また、人工衛星を通じて電話サービスを提供する『衛星電話』も存在します。衛星電話は地上インフラの影響をほとんど受けないため、災害時の連絡手段として活躍していますよ

電話サービスの進化

19世紀に電話が発明されてから現代に至るまで、電話サービスは数々の進化を経て、より便利なものになってきました。以下では、電話サービスの進化の中でもインパクトが大きかった出来事である『携帯電話の登場』と『IP電話の登場』について述べます。

これらの技術が、どのように実現されており、従来の固定電話サービスと比べてどのような利点があるのかといった点に注目して、記事を読み進めてみてくださいね

\次のページで「携帯電話の登場」を解説!/

携帯電話の登場

image by iStockphoto

携帯電話は持ち運び可能な小型電話で、移動中や外出先でも通話が可能なことが特徴です。携帯電話は、街中に設置された基地局と電波を介して接続することで電話回線を確立します

LTE5Gという言葉は基地局と携帯電話の間の通信規格の種類を表していますよ。また、携帯電話には電話機能だけでなく、メール機能インターネット機能も組み込まれており、多様なサービスを利用者に提供するができますよね。

IP電話の登場

image by iStockphoto

IP電話は従来の電話回線ではなく、インターネット回線を介して話者同士の音声を伝えるサービスになりますチャットアプリやSNSアプリに搭載されている音声通話サービスは、IP電話の仕組みを採用していますよ

IP電話の最大のメリットは契約コストが小さいことです。一方で、IP電話のデメリットは従来の固定電話の間で通話をすることができないことにあります。このようになってしまうのは、インターネット回線と電話回線は互いに接続されていないからです。

電話の仕組みについて学ぶ意義

電話サービスは現代を生きる私たちにとって必要不可欠なインフラの1つですが、その仕組みを知っている利用者は多くはありません。子供たちに、「どうして電話で遠くの人とお話ができるの?」と聞かれて、答えられる大人は何人いるでしょうか?

今回の記事では、電話の基本原理に加えて、大規模な電話回線を支える技術や電話サービスの進化について詳しく説明しました。電話は身近な存在なのですから、ぜひその仕組みを雑学として身につけてみてくださいね。

" /> 3分で簡単電話の仕組み!遠く離れた人と通話ができる理由とは?現役理系学生ライターが徹底わかりやすく解説! – Study-Z
物理理科電磁気学・光学・天文学

3分で簡単電話の仕組み!遠く離れた人と通話ができる理由とは?現役理系学生ライターが徹底わかりやすく解説!

今回は「電話の仕組み」について解説していきます。

人々が日常的に使っている電話ですが、その仕組みをご存知でしょうか?電話は身近な存在ではありますが、いざ仕組みを説明しようとしてもよくわからないという人が多いはずです。そこで今回の記事では、電話というサービスがどのような仕組みで提供されているかを徹底的に解明していくことにしたぞ。ぜひ、この機会に「電話の仕組み」についての理解を深めてくれ。

塾講師として物理を高校生に教えていた経験もある通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻しており、物理学も幅広く勉強している。塾講師として物理を高校生に教えていた経験から、物理の学習において、つまずきやすい点や勘違いしやすい点も熟知している。

電話の基本原理を学ぼう!

image by iStockphoto

今日、日本人の携帯電話所有率は80%を超えており、各家庭に設置される固定電話も含めると電話の普及率はほぼ100%であると言えるでしょう。私たちが日常的に使っている電話ですが、なぜ遠く離れた人と簡単に会話ができるのでしょうか?この記事を読み終わるころには、このような疑問はきっと晴れていますよ。

この記事では、電話の基本原理を解説した後、現在の電話サービスを支えている要素技術などについても言及します。また、これまで電話サービスがどのように進化してきたかという点も考察してみますよ

最初は、電話を通して遠くはなれた人の声を聞くことができる理由について述べますね。このチャプターでは、AさんがBさんに電話で話しかけている場面を例を挙げて、電話の基本原理を説明します。それでは早速解説をはじめていきますよ。

人の声を電気信号に変換

電話を通してAさんがBさんに話しかけるとき、実際にはAさんは受話器に向かって声を発します。このとき、Aさんの声は受話器に内蔵されているマイクによって電気の信号に変換されますよ

マイクには磁石とコイルが組み込まれています。空気中を伝搬するAさんの声の震えでコイルを揺らし、電磁誘導を発生させることで、このコイルに電流を流すのですコイルに流れる電流は声の強弱に合わせて変化し、その変化が電気信号になるのですね

\次のページで「電気信号の伝達」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: