今回は、「ジュールの功績」について解説していきます。

ジュールは、エネルギーに関する研究を行い、その分野で多くの実績を残した物理学者です。ジュールが提唱した理論は、現代で常識とされるエネルギー理論のスタート地点にあたるもので、当時としては先進的だったぞ。今回はジュールがどのような人生を送り、その中でどのような発見をしたのかということについて深掘りしていきます。ぜひこの機会に、「ジュールの功績」についての理解を深めてくれ。

塾講師として物理を高校生に教えていた経験もある通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻しており、物理学も幅広く勉強している。塾講師として物理を高校生に教えていた経験から、物理の学習において、つまずきやすい点や勘違いしやすい点も熟知している。

物理学者のジュールについて学ぼう!

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皆さんはジュールという物理学者のことをご存じでしょうか?本名はジェームズ・プレスコット・ジュールです。ジュールの名前はエネルギーを表す単位にもなっており、この単位は中学校や高校の理科の授業でも登場します。ですから、多く人がジュールという言葉を一度は目にしたことがあるはずです。

以下では、ジュールが一体どのような人物であったか彼が残した功績はどのようなものであったかその功績は現代の科学技術にどのような影響を与えたかといったことを解説していきます。解説の中では難しい用語や言葉が登場することがあるかもしれませんが、このような場合はそれらの意味を1つ1つしっかりと確認しておいてくださいね。それでは早速解説をはじめます。

ジュールの幼少期・青年時代

はじめに、ジュールがどのような人生を歩んだのかについて知りましょう。ジュールは1818年にイギリスのマンチェスターにほど近いサルフォードに生まれましたジュールは幼少期から学問に非常に興味があり、優秀な家庭教師のもとでサイエンスについて学んでいました。ジュールの家庭教師の中には、原子論を発表したことで有名なジョン・ドルトンもいましたよ。

彼の家は裕福な醸造家であり、成人後は家業を継ぎ醸造業を営むようになります。そして、その傍らジュールは自宅を改造した実験室で物理学の研究をはじめるようになったのです。しかしながら、研究が本業でないことから、ジュールの論文が世の中で認められるまでには時間がかかったようですよ

\次のページで「ジュールが残した功績」を解説!/

ジュールが残した功績

ジュールが残した功績

image by Study-Z編集部

若いころは研究の成果が認められなかったジュールですが、その後トムソンなどの学者の目にとまるようになり、一人前の物理学者になっていきます。ジュールはエネルギー分野の論文を次々と発表しており、その中にはジュールの法則熱力学第一法則に関するものジュール・トムソン効果などが含まれていました。これらの功績については、記事の後半で詳しく説明しますね。

研究成果が認められてからは、大英国科学振興協会の会長などにも抜擢され、ジュールは物理学を牽引するような存在になります。また、イギリス王立協会からはコプリ・メダルも授与されていますよ。ですが、ジュールは非常に謙虚な人物で、亡くなる前には兄に『私がやったことはどれも騒がれるようなことではないよ。』と伝えていたのです

ジュールが科学技術の発展に与えた影響

現代を生きる私たちは熱・光・電気・物体の運動などはすべてエネルギーであり、これらは相互に変換できることを理解しています。そして、これらの概念をもとに様々な科学技術が誕生していますよね。しかしながら、このような概念はジュールが生きていた時代には、ほとんど解明されていませんでした

ジュールはそのような時代に、熱や電気をエネルギーの視点で捉えるという考え方をいち早く提唱した人物だったのです。ジュールの発想は、現代のエネルギー理論のスタート地点であると言えるでしょう

物理学の単位になったジュール

エネルギーの分野で数多くの功績を残したジュールの名前は、エネルギーを表す単位として現在も使われています。ジュールという単位は、アルファベットのJで表されますよ。

ジュールという単位は、国際単位系(SI単位系)の組立単位として定められています。このような理由もあって、サイエンス関係の文献の中では頻繁にジュールの単位を目にしますよね。

ジュールの実績を詳しく学ぼう!

ここまで、ジュールの人生や功績を通史として説明していきました。以下では、ジュールの残した実績の中でも注目度が高いと言える3つの理論について解説していきます。具体的には、ジュールの法則熱力学第一法則ジュール・トムソン効果について述べますね。

これらの理論について知ることで、ジュールという人物の凄さをより深く理解できるようになりますよ。ぜひ最後まで記事を読んでみてくださいね。

\次のページで「ジュールの法則」を解説!/

ジュールの法則

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ジュールは、水の中の導線に電流を流すと水の温度が上昇することに注目し、電流の大きさと発生する熱エネルギーの量的関係を調べました。実験の結果、電流I電気抵抗R発生する熱量Qの間に、Q=RI2という関係があることをジュールは結論付けたのです。

まさに、この式がジュールの法則となっています。また、この式自体がエネルギーの単位であるジュール(J)の定義にもなっていますよ

熱力学第一法則

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熱力学第一法則はエネルギー保存則の1つであり、熱力学の理論を支える重要な法則の1つです。ジュールは熱力学第一法則の発見に直接関与したわけではありません。しかしながら、その法則の提唱者であるマイヤーや法則の検証を行ったヘルムホルツと共に、熱力学第一法則の発見に大きな貢献をした人物としてジュールは認められています

熱力学第一法則は、原則としてエネルギーは生まれることも消滅することもないということを主張するものです。そして、この考え方は現代においても通用するものになっていますよ。

ジュール・トムソン効果

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ジュール・トムソン効果は、気体の膨張に関する理論です。多孔質物質を満たした細管で接続された2室に圧力が等しくなるように気体を満たし、気体分子を片方の室からもう一方の室へゆっくりと移動させると2室間で温度差が生じることが知られています。これがジュール・トムソン効果ですよ。

ジュール・トムソン効果を応用することで、気体を液化させることができますこの技術は液体窒素や液化天然ガス(LNG)を製造する際に使用されていますよ。日本国内の火力発電の中には、液化天然ガスを燃料とするものも多数存在しますよね。

ジュールの功績について学ぼう!

ジュールはエネルギー分野の研究者としては、第一人者と言える人物です。彼はジュールの法則・熱力学第一法則・ジュール・トムソン効果といった理論の発見に大きく寄与しており、これらが近代および現代の科学技術に与えた影響は計り知れないほどですよ。

また、ジュールの偉大さはその名前がエネルギーを表す単位になっていることからも伺い知れますよね。そして、この記事ではジュールいう人物がどのような生き方をしたのかについても触れました。ぜひこの機会に、ジュールの功績について学んでみてくださいね。

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3分で簡単物理学者ジュールの功績!エネルギーの研究で偉業を成し遂げた人物を理系学生ライターが徹底わかりやすく解説

今回は、「ジュールの功績」について解説していきます。

ジュールは、エネルギーに関する研究を行い、その分野で多くの実績を残した物理学者です。ジュールが提唱した理論は、現代で常識とされるエネルギー理論のスタート地点にあたるもので、当時としては先進的だったぞ。今回はジュールがどのような人生を送り、その中でどのような発見をしたのかということについて深掘りしていきます。ぜひこの機会に、「ジュールの功績」についての理解を深めてくれ。

塾講師として物理を高校生に教えていた経験もある通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻しており、物理学も幅広く勉強している。塾講師として物理を高校生に教えていた経験から、物理の学習において、つまずきやすい点や勘違いしやすい点も熟知している。

物理学者のジュールについて学ぼう!

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皆さんはジュールという物理学者のことをご存じでしょうか?本名はジェームズ・プレスコット・ジュールです。ジュールの名前はエネルギーを表す単位にもなっており、この単位は中学校や高校の理科の授業でも登場します。ですから、多く人がジュールという言葉を一度は目にしたことがあるはずです。

以下では、ジュールが一体どのような人物であったか彼が残した功績はどのようなものであったかその功績は現代の科学技術にどのような影響を与えたかといったことを解説していきます。解説の中では難しい用語や言葉が登場することがあるかもしれませんが、このような場合はそれらの意味を1つ1つしっかりと確認しておいてくださいね。それでは早速解説をはじめます。

ジュールの幼少期・青年時代

はじめに、ジュールがどのような人生を歩んだのかについて知りましょう。ジュールは1818年にイギリスのマンチェスターにほど近いサルフォードに生まれましたジュールは幼少期から学問に非常に興味があり、優秀な家庭教師のもとでサイエンスについて学んでいました。ジュールの家庭教師の中には、原子論を発表したことで有名なジョン・ドルトンもいましたよ。

彼の家は裕福な醸造家であり、成人後は家業を継ぎ醸造業を営むようになります。そして、その傍らジュールは自宅を改造した実験室で物理学の研究をはじめるようになったのです。しかしながら、研究が本業でないことから、ジュールの論文が世の中で認められるまでには時間がかかったようですよ

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