みんなは海王星についてどれだけ知っている?海王星は太陽系の一番外側にある惑星ですが、水星や金星なんかと比べるとなじみがない人も多いでしょう。海王星という名前にふさわしい、青くてきれいな星です。肉眼では見えないため、水星や火星などに比べると発見されたのは遅く、1846年のことです。
今回はそんな海王星の特徴を解説する。担当は化学系科学館職員のたかはしふみかです。
ライター/たかはし ふみか
高校は化学部、大学は工学部化学系の科学館職員。理科教育をしたくて理系に進んだので科学館の仕事が大好き。休みの日はよく職場でプラネタリウムを見ている。
海王星と太陽系の惑星
太陽系には8つの惑星(恒星の周りをまわる天体)があります。太陽から近い順に水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星です。海王星は太陽系の第8惑星で、太陽系で最も外側を公転しています。その位置はなんと太陽から45億㎞以上も離れた場所です。ちなみに太陽に一番近い水星までの平均5790万㎞、地球が1億4960万km離れているということでいかに宇宙が広いかわかりますね。
こちらの記事もおすすめ
太陽系の惑星を順番に並べると?一番大きい惑星はどれ?科学館職員が惑星についてわかりやすく解説
image by Study-Z編集部
1846年に発見された海王星は1930年に冥王星が発見されるまで、太陽系で最も外側にある惑星でした。冥王星の発見により外側から2番目に遠い惑星となった海王星。ところで冥王星は楕円形の軌道で公転しています。そのため、冥王星・海王星と太陽の位置関係が変わる時があるのです。というわけで1979年から海王星が約50年ぶりに最も太陽から遠い惑星となりました。そして1999年に順番が入れ替わりまた冥王星が最も遠い惑星となったのです。しかし、2006年に国際天文連合で惑星の定義制定が行われ冥王星は準惑星となりその結果、海王星は正式に太陽系から最も遠い惑星となりました。
こちらの記事もおすすめ
太陽系外縁天体って何?最初に発見されたのは冥王星?科学館職員がわかりやすく解説
海王星とは?その歴史を紹介
Justin Cowart – https://www.flickr.com/photos/132160802@N06/29347980845/, パブリック・ドメイン, リンクによる
海王星発見にはどんな歴史があるのでしょうか。
海王星は肉眼で見ることはできず、計算によってその存在が予想されて発見された惑星です。フランスの天文学者ユルバン・ルヴェリエの予測に基づき1846年9月23日にベルリン天文台で観測が行われヨハン・ゴットフリート・ガレがその存在を確認しました。
正確に存在を確認したのは上記の通りですがそれ以前にも実は海王星が確認されていたと言われています。1612年にガリレオ・ガリレイは海王星を観測していたものの、太陽系の惑星ではなく恒星だと思ったそうです。この勘違いがなければ、ガリレオ・ガリレイが海王星の発見者となっていたかもしれません\。
海王星についてはこちらの記事もおすすめです。
こちらの記事もおすすめ
「天王星」と「海王星」について理系ライターが丁寧にわかりやすく解説
海王星の名前
アーニョロ・ブロンズィーノ – The Yorck Project (2002年) 10.000 Meisterwerke der Malerei (DVD-ROM), distributed by DIRECTMEDIA Publishing GmbH. ISBN: 3936122202., パブリック・ドメイン, リンクによる
海王星( Neptune)の由来はローマ神話のネプトゥーヌス(ギリシャ神話のポセイドーン)です。ネプトゥーヌスは海と地震の神で、その手にはつ三叉槍(トロリアイナ)が持たれています。海王星の惑星記号「♆」の由来はこの三叉槍です。この三又槍によって津波や地震を引き起こしたと言われています。
ポセイドーンは古代ギリシア神話のオリュンポス十二神のひとりであり、神々の王ゼウスの弟です。海を治める神の名前が付いた惑星に海王星という名前はぴったりですね。
ピーテル・パウル・ルーベンス – 1. Kunsthistorisches Museum Wien, Bilddatenbank. 2. 不明 3. GalleriX, パブリック・ドメイン, リンクによる
ポセイドンの愛人はメドゥーサ。メドゥーサと言えば髪の毛は蛇、その目を見ると石になるという恐ろしい怪物ですがもともとは美しい娘でした。ポセイドンは妻である身でありながらメドゥーサと関係を持ったのです。しかもその場所は処女神アテナの宮殿。激怒したアテナによってメドゥーサは醜い姿に変えられてしまいます。ちなみにメドゥーサが命と引き換えに産んだのが天馬ペガソスです。
海王星とボイジャー2号
NASA/JPL – http://solarsystem.nasa.gov/multimedia/display.cfm?IM_ID=2194 (file), パブリック・ドメイン, リンクによる
ボイジャー2号は1977年にNASA(アメリカ航空宇宙局)が打ち上げた無人宇宙探査機です。ボイジャー2号は1989年8月25日に海王星に最接近しました。海王星を訪れた探査機はこのボイジャー2号のみです。
ボイジャー2号の任務はこの海王星の探査で終了しましたが、今も稼働し続けています。なんと40年以上も宇宙を飛んでいるのです。そして2018年末までに太陽から178億㎞の場所にまで到達しています。
質量・直系・密度
海王星は太陽系で3番目に質量が大きい惑星で、その核は岩石や鉄・ニッケルなどの金属です。そしてその核を水やアンモニア、メタンの氷がその核を包み込んでいます。海王星の質量は1.02 ×1026 ㎏。ちなみに我々が暮らす地球は5.97×1024㎏、一番大きな惑星木星は1.90×1027㎏、小さな惑星水星は3.30×1023㎏です。では直径はどうでしょうか。海王星は太陽系で4番目に大きく直系49,244km、地球(12,756㎞)の4倍より少し小さめの惑星です。
次は密度を見てみましょう。海王星の密度は1.64g/cm3。地球が5.51g/cm3なのでだいぶ密度は小さいですね。海王星は地球よりずっと質量がありますが、直径も大きいので密度は小さくなっています。それでもガス惑星の中では最も密度が大きい惑星なのです。
自転・公転の時間
自転とは惑星の軸(自転軸)を中心に1周することです。地球は24時間をかけて1周し、これが1日になります。一方公転とは、太陽の周囲を一周することです。地球は365日かけて太陽の周りを1周し、これが1年ですね。
海王星の自転周期は16.1時間。地球よりも自転スピードが速いのですね。一方、海王星は164.8年かけて太陽の周りを公転しています。つまり、海王星の1年は地球の164.8年に相当するということなのですね。
\次のページで「海王星の衛星」を解説!/