「動物プランクトン」について見ていこう。動物プランクトンは目には見えないが、生活には欠かせない言うなれば縁の下の力持ちだ!そんな動物プランクトンについて大学で生物学を学び、現在も研究者として活躍するライターポスドクランナーと一緒に解説していきます。
ライター/ポスドクランナー
大学で生物学を学び、現在も研究者として活動を続け多くの研究成果を出すべく日々奮闘している。
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プランクトン(Plankton、浮遊生物)と呼ばれる生き物は、水中や水面といった漂泳区を漂って生活する漂泳生物のうち、水流に逆えるに足る遊泳能力を持たない生物の総称です。遊泳能力を持たない、あるいは持っていたとしても水流に逆らえないほど弱いので漂って生活しています。比較的小型の生物であり、ミドリムシやゾウリムシ、ケイソウや小型甲殻類、クラゲ、魚類の幼生など、様々な様々です。
動物プランクトンはプランクトンのうち、光合成をおこなわず、摂食によってエネルギーを得ているものを指します。光合成を行うプランクトンは植物プランクトンです。
地球上には15万種類以上の動物プランクトンが存在するのではないかと言われています。
(Photo: Paul Hebert) - Functional Genomics Thickens the Biological Plot. Gewin V, PLoS Biology Vol. 3/6/2005, e219. doi:10.1371/journal.pbio.0030219, CC 表示 2.5, リンクによる
よく知られたプランクトンであるミジンコは動物プランクトンです。ミジンコは微小な甲殻類で、中型種で体長1.5-3.5mm、大型では5.0mmにもなります。世界的に生息しており、日本でも全土に分布、浅い池沼に生息するプランクトンです。メダカの飼育用のエサにも用いられたりもしています。
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ゾウリムシも有名なプランクトンですが、ゾウリムシも動物プランクトンです。ゾウリムシは顕微鏡下で草履(ぞうり)のような形に見える繊毛虫に属するプランクトンになります。水田や沼や池など、淡水の止水域が生息地です。
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ミドリムシはユーグレナとも呼ばれる長さ0.05mm~0.1mm程度の微細藻類に属するよく知られたプランクトンです。
ミドリムシが動物プランクトンなのか植物プランクトンの判断は難しく、答えはありません。それはミドリムシが両方の特徴を有するプランクトンだからです。ミドリムシは鞭毛を使い、自らの意思で動くこともできますし、葉緑体をもつため光合成で栄養分を作り出すことができます。なので、ミドリムシは動物プランクトンであり、植物プランクトンなのです。
ミドリムシを食べることは健康に良いと言われています。これはミドリムシの体内にはビタミン、ミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸や必須アミノ酸などの人間が生きていくために必要な栄養素の大半が含まれているからです。
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陸上、水中にかかわらず、生物はほかの生物を食べたり、食べられたりする関係でつながっており、これを食物連鎖といいます。
植物プランクトンや海藻がいて、それを食べるのが動物プランクトン。動物プランクトンを食べるのが小魚。小魚を食べるのがさらに大型の魚。といったように食物連鎖でつながっています。
一般的に生物は自分が生きていくために、体重のおよそ10倍のエサが必要です。そのため、バランスのとれた生態系では食べられるものの数が食べるものの数よりも10倍大きくなっており、きれいなピラミッドを形成しています。この生態系のバランスを保つことが非常に大事です。
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動物プランクトンは植物プランクトンをエサとして食べて生活しています。
大型の藻類や植物プランクトンを食べるのは甲殻類のオキアミ類やカイアシ類などです。原生生物のように非常に小さい動物プランクトンは、さらに小さい藻類やバクテリアをエサにしています。
動物プランクトンは主に小型の魚に食べられます。
基本的に直接プランクトンを食べるのは、生まれてからすぐのうまく泳げない子供の時期の魚や、イワシやサンマなどのエラでプランクトンを濾過して食べるような種類の魚です。エラに備わっている「鰓耙(さいは)」と呼ばれる、ザルのような器官を使ってプランクトンを濾しとるようにして食べます。
大型の海洋生物の中には動物プランクトンを食べるものがいて、ジンベイザメやシロナガスクジラなど濾過食性をとる生物はその代表例です。濾過食性であることで少ない労力でエサを得ることができるのと、動物プランクトンを食べるようにすることでエサにありつける可能性を高めていると言われています。これは、動物プランクトンが海洋の生態系の下位に位置しているのでその量が多いからです。
動物プランクトンは植物プランクトンを食べて生活しています。なので、動物プランクトンは生産者ではなく、消費者です。
水の中では海藻や植物プランクトンなどが生産者です。植物プランクトンは光合成を行 って、自ら栄養分を作っているので他の生物を捕食する必要がありません。地上の植物の生育には肥料が欠かせないですが、植物プランクトンは水の底にいるバクテリアが生物の死骸やふんなどを分解して作り出した養分を肥料の代わりとして利用しています。
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赤潮とは、海水中で植物性プランクトンが異常に増殖して、海の色が変わる現象のことをいいます。春から秋にかけて起こりやすく、海水が富栄養化した状態(通常よりも栄養成分が増えすきた状態)のときに、太陽の光をたくさん浴びて植物プランクトンが大量発生している状態です。
赤潮が発生すると動物プランクトンや魚は死滅ししやすくなります。これは、増えすぎた植物プランクトンの影響で海水中の酸素濃度を低下したり、魚のエラに付着して窒息させたり、藻類に毒素を発生させたりするためです。
富栄養化の主な原因には地球温暖化や、排水として流れ出る人間が使った洗剤や農薬、肥料などに含まれている窒素やリンが挙げられます。これらはヒトの生活に起因するものですので、日々の生活から各人が気をつけるのが大事です。
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動物プランクトンは目には見えないですが水の中の生態系の維持に大事な生物です。私達が美味しく魚を食べることができるのは彼らのおかげでもあります。私たちは美味しく魚を食べ続けれるように環境に配慮した生活を送って行くのが大事ですね。
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