4.トカゲの毒が薬のヒントに!?漢方薬になるのはヤモリの方
実はトカゲとヤモリは、薬としても利用されることがあります。
現代において、トカゲそのものは薬の材料としては用いられていません。しかし、アメリカドクトカゲの持つ毒の成分をヒントに糖尿病治療薬が開発され、日本でも医療用医薬品として使用されています。
ヤモリの一種であるオオヤモリ(学名:トッケイヤモリ)を乾燥させたものは、滋養強壮作用があるとして、古来より蛤蚧(ゴウカイ)という名で生薬として用いられてきました。
4-1.糖尿病の薬のヒントに!アメリカドクトカゲの毒
乾燥地帯に住むアメリカドクトカゲは、常に空腹な反面、獲物を見つけたときには大量の食事をとります。しかし人間とは異なり、血糖値は食事の前後でほとんど変わらないそう。
この生態からヒントを得て、アメリカドクトカゲの口腔内の毒液から、エキセンジン-4(Exendin-4)と呼ばれる物質が発見されました。この物質は人間のインスリン分泌を促すホルモンと構造が似ていますが、体内の分解酵素に分解されにくいのです。
その特徴を生かして合成されたエキセナチドという薬が、2型糖尿病の注射薬として使用されています。
4-2.滋養強壮に!漢方薬としてのヤモリ、蛤蚧(ゴウカイ)
オオヤモリ(トッケイヤモリ)の内臓を取って身を開き、オス・メスを一対にして竹串に四肢を結んで広げ、あぶって乾燥させたものを蛤蚧(ゴウカイ)と呼びます。特に、中国やシンガポールの富裕層を中心に珍重されているそう。
古くから咳止めや強壮薬として利用されてきましたが、現在も健康食品として、酒に漬けて薬酒に用いることがあります。漢方処方としては、滋養強壮薬の海馬補腎丸(かいまほじんがん)などに配合されますが、強い薬効はなく補助的な役割です。
トカゲとヤモリ、見分けのポイントは活動場所と体のつくり
共に爬虫類であるトカゲとヤモリ。昼の地面を素早く走るトカゲと、夜に家の壁などに取りつくヤモリは、それぞれの生活に合わせた足のつくりからも見分けられます。
トカゲにはまぶたが有り、ヤモリには無いというのもポイントですね。