
アイントホーフェンの心電図の仕組み

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医療ドラマで一度は見たことがあると思う心電図。でも心電図が具体的に何を測っているのかを知る人は少ないのではないでしょうか。細かい部分を説明しようとするとややこしくなってしまうので、できるだけシンプルに解説していきます。(かなり簡略化しているので、厳密にいえば正確ではない部分もあるかもしれませんがご了承ください!)
心電図の電極

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まず、心電図を得るためには胸や四肢にに電極を取り付ける必要があり、それぞれの電極から得た変化を比較して、心臓内の電気信号がどこからどこへ移動しているのかを把握します。
心電図で表されるのは電気信号のプラス/マイナスとその方向
By Rick Manning – Based on ECG Vector.jpg by MoodyGroove, CC BY-SA 3.0, Link
続いて、先程の電極でどうやって心電図を記録しているのかを見ていきましょう。
上の図を見てください。+が書いてある丸が電極で、矢印はプラスの電気信号を表しています。
もしプラスの電気信号が電極に向かって移動した場合、心電図のグラフは上に振れ、そしてプラスの電気信号が電極から遠ざかるように移動した場合は、心電図のグラフは下に振れるのです。
逆にマイナスの電気信号もあります。その場合心電図の振れは逆方向に。つまりマイナスの信号が電極に向かって移動した場合、心電図のグラフは下に振れ、そしてマイナスの信号が電極から遠ざかるように移動した場合は、心電図のグラフは上に振れます。
心電図のP波、QRS波、T波
Created by Agateller (Anthony Atkielski), converted to svg by atom. – SinusRhythmLabels.png, パブリック・ドメイン, リンクによる
正常な人の心電図では一回の鼓動ごとに上記のような波が記録されます。最初の小さな上振れの波をP波、真ん中の大きな波をQRS波、そして最後の小さな波がT波と呼ばれていますね。
波形と電気信号の関係

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先程の3つの波は心筋の収縮、弛緩と関係しています。詳しく見ていきましょう。
最初の波、P波は心臓の上の部屋、心房の収縮に対応しています。この時心臓内ではプラスの信号が心房のおおよそ上から下へと流れるので、電極に向かってプラスの信号が移動していることになり、最初の小さな上振れの波ができますね。
次の大きなQRS波は心室(心臓の下の部屋)の収縮。この時に心室の上から下へプラスの電気信号が電極に向かって流れるため波形は大きな上振れとなります。
そして最後にT波ですが、こちらは心室の弛緩と対応。心室が弛緩するときは下から上へとマイナスの信号が流れますが、これが心電図では上振れとして表示されるのです。
正常な波形と比較することで、心臓のどの部分に異常があるかわかる
このように波形と心臓の電気信号は連動しているので、波形に異常があればおおよそ心臓のどの部分がうまく機能していないかが分かります。例えばP波が通常より大きい場合は心房への負担を疑ったり、という具合にですね。
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