慣性の法則を数式で表す
運動方程式ma=Fにおいて、F=0であるならば、mがどのような値であれ加速度aはゼロとなります。(a、Fはベクトル)
加速度が0ということは、外的な要因がない限り速度が変わらないということです。車の運転をしたことがあるならば「平坦な道でアクセルを全く同じ量だけ踏み込んでいる状態」といえば想像しやすいでしょう。高校生以下ならば車の運転経験はないでしょうから、ゲームで移動方向へスティックを倒し続けている時といえば分かるでしょうか。これが加速度ゼロのイメージです。
現実には、空気抵抗や地面との摩擦がありますから、加速度ゼロで速度一定で運動し続けるのは難しくはあります。
慣性の力と見かけの力
止まっている電車が発車したとき、電車が動く方向と逆方向に引っ張られるような力を感じたことはありませんか?これは「静止しようとしている」人間に対して慣性力と呼ばれる力が働いている、と表現されますが、慣性力はあくまでも見かけの力です。
見かけの力について考えるには、観測者がどこにいるかを考えなくてはなりません。電車の例で言うと、電車の車内にいるか、駅のホームなど電車の外側にいるか、の違いです。観測者が電車の外側にいる場合、電車の加速による力と慣性力は釣り合っているため、電車全体の力としては慣性力はないと同じですね。
エレベーターでも慣性を感じることができる
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エレベーターに乗っているとき、下向きに移動すると身体が浮いたような感覚を味わったことがあると思います。これもまた慣性の力です。エレベーターが停まった状態から下向きに運動し始めるときを考えます。
停止時には人間の重力(mg)に対して働いていた上向の垂直抗力(N。大きさはmgと同じ)が、エレベーターが下向きに運動することにより小さくなっていきますね。下向きに加速している場合、上向きに慣性力が働きます。垂直抗力は、受ける力とつり合う大きさで働くものなので、慣性力が働くと、垂直抗力の大きさはmg-(慣性力)となるでしょう。
床から受ける力が小さくなるので、人間が感じる床からの力が小さくなるのです。言い換えれば、垂直抗力が急に小さくなるため、エレベーターが急に下向きに動くとふわっと浮遊感を感じます。
先ほどの例は、「エレベーターの中に観測者がいる」としてつりあいの式で説明しましたが、観測者がエレベーターの外にいるとして運動方程式で表すこともできますよ。
慣性の法則を発見した人物は誰?
慣性の法則を発見したのは、ガリレオ・ガリレイだと言われています。ですが、慣性の法則を発展させ、運動法則としたのはまた別の人物です。
慣性の発見以降の物理学の歴史を簡単にご紹介します。
発見したのはガリレオ・ガリレイ
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慣性の法則を発見した人物は、ガリレオ・ガリレイだと言われています。ガリレオの名前は現代でも科学をテーマにした小説や映画に使われるほど有名で、科学に興味がない人でも一度は聞いたことがある人物の一人でしょう。
ガリレオは1564年にイタリアのピサで生まれた人物で、近代科学の父とも呼ばれています。ガリレオは、1638年に出版した「新科学対話」(正式な署名は「機械学と位置運動についての二つの新しい科学に関する論議と数学的証明」)で、世界で初めて慣性の存在について言及しました。しかし、ガリレオは慣性の運動を円運動だと間違って捉えていたのです。
ニュートンが運動の三法則としてまとめた
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アイザック・ニュートンが運動の三法則をまとめる以前には、ティコ・ブラーエ、ケプラー、ガリレオ・ガリレイたちが物体の運動について研究していました。
ニュートンは万有引力を発見しただけでなく、慣性運動が直線運動であることも発見しました。運動法則は以下のようにまとめられます。
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