「トマトは透光率が1%下がったら、収穫量が1%落ちる」という1%理論を知ってるか?適切な農業用フィルムを選ぶことは、コストだけでなく収穫量を上げるためにも重要なんです。今日は農業用フィルムの中から、農ビや農POの違いを化学に詳しいライター小春と一緒に解説していきます。
ライター/小春(KOHARU)
見た目はただの主婦だが、その正体は大阪大学大学院で化学を専攻していたバリバリの理系女子。大学院卒業後はB to Bメーカーで開発を担当し、起きている現象に「なぜ?』と疑問を持つ大切さを実感した。
1分で分かる農ビと農POの違いとは?
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農ビも農POも農業用フィルムです。農ビと農POの違いはフィルムの素材で、農ビは塩化ビニル、農POではポリオレフィン系の高分子が使われています。
農ビには伸縮性があり、作業性に優れていますので、トンネル栽培で使用されることが多いです。農POは農ビに比べると硬めの素材で、耐久性や保温性に優れていて、主にハウスの外張りに使われます。
価格にも違いがあり、農POの方が農ビよりも若干安いです。農業に使うならば、値段よりも性能の違いを重視して選びましょう。
農ビとは?簡単に説明!
農ビはポリ塩化ビニル(PVC)を主原料とした農業用フィルムです。保温性が高いほか、防塵・防霧など機能性を付加した製品が多く販売されています。
他にも農ビは平行光線透過率が高いため、果樹の色付きも良好です。適度な伸びがあるので張りやすく、作業性に優れています。
農POとは?簡単に説明!
農POは、ポリオレフィン系の原料を主原料にした農業用フィルムです。2層、3層、5層といった複層の製品が発売されています。農POは、層ごとに原料・素材を変えることで、意図的に保温性や強度など機能性を持たせたフィルムを開発できるのです。
農ビと比べて軽く強度が高く、裂けにくい特徴があります。その代わり、フィルムの伸びは農POよりも少ないです。
農ビと農POの用途の違い
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ビニールハウスやトンネル栽培など、用途に応じて違うフィルムを使用するのが一般的です。水稲育苗時のみ展張し、終わったら屋根をはがす、といった場合は農ビ、ハウスの外張りや内張りに一年中貼りっぱなしにしたい場合は農POを使うのがおすすめとされています。
農ビと農POは構成している原料が違うので、廃棄の方法も違うことに気をつけてください。使用済み農業フィルムの捨て方は法律で定められています。お住まいの地方自治体の指示に従って正しく捨てましょう。
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