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DNAの構造を明らかにした「モーリス・ウィルキンス」その生涯や功績を現役の研究者がわかりやすく解説

ニ重らせん構造のメリットは?

DNAが二重らせん構造をとるメリットは3つあります。

一つ目はコンパクトになることでより多くの遺伝子情報を収納できるようになることです。らせん構造にすることで、一本の長い鎖として存在するよりも、空間的に短くなり、体積も小さくなります。

二つ目は安定性が上がることです。立体的な二重らせん構造を取ることで物理的な強度が上がり、変異や破損が起こりにくくなります。

三つ目は修復しやすくなることです。DNAは相補的な二本の鎖で構成されていることで、どちらかの一部に破損や変異が起きても、正常なもう片方を利用して修復することができます。

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DNAは二重らせん構造をとることで多くの遺伝情報を収容できるようになり、安定性が高まることがわかったな!

次ではウィルキンスが何故、ノーベル賞を受容できたのかを見ていこう!

ウィルキンスが受賞したノーベル賞について

image by iStockphoto

ウィルキンスはワトソンとクリックとともに、DNAが二重らせん構造をとることを発見したことでノーベル生理学・医学賞を受賞しました。ワトソンとクリックはモデルを提唱しましたが、実験的なことは行っていません。ウィルキンスとフランクリンが行った、DNAのX線結晶回折が大きな役割を果たしたとされています。

ウィルキンスとフランクリンは何をしたの?

ウィルキンスとフランクリンはDNAのX線結晶回折データの一部をワトソンとクリックに提供しました。自分たちのデータや仮説にこのデータの解釈を加えることで、二重らせん構造を発表したのがワトソンとクリックです。

しかし、この時のデータ提供については諸説あり、ウィルキンスがフランクリンと険悪な関係に陥ったためにX線結晶回折の写真をこっそりとワトソンとクリック見せたのではないかと言われています。ウィルキンス自身はあくまでフランクリンのデータを閲覧する権限が自分にあり、フランクリンもそれを認めていた、と釈明しているので真相はわかりません。

ワトソンとクリックは何をしたの?

ワトソンとクリックが行ったのはデータや仮説をもとに構築したDNAの構造モデルの提唱です。実験的なことはほとんど行っていません。この成果はワトソンとクリックの名で、1953年4月25日に発行された『ネイチャー』171巻1356号に『デオキシリボ核酸の分子構造』というタイトルで掲載されました。

フランクリンがノーベル賞を取れなかったのは何故?

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MRC Laboratory of Molecular Biology – From the personal collection of Jenifer Glynn., CC 表示-継承 4.0, リンクによる

ノーベル賞は亡くなっている人物には与えられない、またひとつの分野の受賞者は、最大3人までである。といった決まりがあります。ウィルキンスらがノーベル賞を受賞したのは1962年でした。フランクリンは1958年に37歳で卵巣癌と巣状肺炎により死去していたため、その対象にはならなかったのです。一説には実験のため大量のX線を浴びたことが癌の原因だったのではないかと言われています。

今でこそ、二重らせん構造の発見におけるフランクリンの功績への評価は大きいです。しかし、当時の状況を考えると仮にフランクリンが生きていたとしても、ノーベル賞の受賞メンバーに加わるのは難しかったのではないかと思います。

\次のページで「ニ重らせん構造は遺伝子を保存するための重要なメカニズム」を解説!/

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