この記事では「手ぐすね引く」について解説する。

端的に言えば手ぐすね引くの意味は「準備して機会を待つ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「手ぐすね引く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「手ぐすね引く」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「手ぐすね引く」の意味や語源・使い方を一覧でご紹介していきます。またその他「手ぐすね引く」は分類としては日本語の慣用句であるという点も抑えておきましょう。

「手ぐすね引く」の意味は?

「手ぐすね引く」というキーワードを辞典・辞書・事典、ネット上の無料データベースサービス「コトバンク」で用語検索してみると、次のような記載があります。こちらの引用をまず確認していきましょう。

1.十分用意して待ちかまえる。準備して機会を待つ。「—・いて待ち受ける」
2.滑りをとめて弓返りを防ぐため、弓手に薬練を塗る。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「手薬練引く」

「手ぐすね引く」は滑りをとめ弓返りを防ぐために弓手に薬練を塗ること、また転じて十分用意して待ち構えることを意味する言葉です。「手ぐすねを引いて待つ」といった言い回しで使われることが多く、準備をしっかり整え機会を待つ様子を表現します。また漢字では「手薬練引く」と書く点も覚えておきましょう。

「手ぐすね引く」は古風な表現ですが、現在でも書籍・新聞等の文章中を中心として時折使われています。口語としては基本的に使われていない言葉となっているため、注意しましょう。この機会に「手ぐすね引く」の意味・用法をしっかりと覚え、自身の語彙力を高めていきましょう。

「手ぐすね引く」の語源は?

次に「手ぐすね引く」の語源を確認しておきましょう。手ぐすね引くの「薬練(くすね)」とは、松脂を油で煮て練ったもので、粘着力が強く、これを利用して弓を用いる際に弦に塗ることで補強を行います。「手ぐすね引く」は、元々はこの薬練を弓に塗っておき、戦に備えることを意味していました。

この意味がその後広がり、「手ぐすね引く」は、十分に準備し機会を待つことを意味する慣用句となります。現在は主にこうした、しっかりと準備を整え機会を待つ意味でよく用いられていますね。「手ぐすね引く」の語源から、意味・用法について、より正確に理解していきましょう。

\次のページで「「手ぐすね引く」の使い方・例文」を解説!/

「手ぐすね引く」の使い方・例文

「手ぐすね引く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.家に帰ると、家の前で新聞記者たちが手ぐすね引いて待っていた。
2.城に攻め入ろうとする敵軍を、さあ来いと手ぐすね引いて待つ。
3.私の給料日にすぐ金を借りにきたところを見ると、彼はこの日を手ぐすね引いて待っていたらしい。

「手ぐすね引く」は例文のように、誰かが十分な準備をし機会を待っていたことを表して使われています。準備をし、今か今かと機会を待ちわびている。「手ぐすね引く」はこうした様子を指して、使われている言葉となっています。「手ぐすね引いて待つ」といった言い回しで使われることが多いですね。

「手ぐすね引く」は主に書籍・新聞等において使われている言葉です。口語ではあまり使われていないという点についても注意しましょう。また自分の行為について表現するよりも、他人が準備をして待ち構えている場面で使われることが多い言葉です。実際の使用場面をイメージし、覚えておきましょう。

「手ぐすね引く」の類義語は?違いは?

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続いて「手ぐすね引く」の類義語・違いについて確認していきましょう。「手ぐすね引く」の類義語をいくつかピックアップしました。関連するよく似た表現との違いを確認することで、「手ぐすね引く」という言葉の機能をより深く理解することができます。

その1「待ち受ける」

「待ち受ける」は来ることを予期して待つこと・心構えをして待つことを意味する言葉です。こちらも準備して待つことを意味している言葉となっており、「手ぐすね引く」と似た意味をもった類義語となっています。こちらは弓に関する意味がない点など、細かい点に違いがあるため注意しましょう。

\次のページで「その2「爪を研ぐ」」を解説!/

その2「爪を研ぐ」

「爪を研ぐ」は用意怠りなく機会を狙うことを意味する言葉です。こちらも用意し機会を狙うことを意味している言葉となっており、「手ぐすね引く」と似た意味をもった類義語となっています。細かい意味・用法に違いがある点に注意して、それぞれ使い分けていきましょう。

その3「満を持す(まんをじす)」

「満を持す」は弓を十分引き絞り構えること、また転じて準備を十分にして時機を待つことを意味する言葉です。こちらも弓を構え待つことから転じて、準備し機会を待つことを意味している言葉となっており、「手ぐすね引く」と非常によく似た意味をもった類義語となっています。こちらも覚えておきましょう。

その4「待伏せる(まちぶせる)」

「待伏せる」は不意を襲うため目指す相手の来るのを隠れて待つことを意味する言葉です。こちらも相手が来ることを待つことを意味している言葉となっており、「手ぐすね引く」とよく似た意味をもった類義語となっています。細かい意味・用法に違いがあるため、注意して使い分けていきましょう。

その5「網を張る(あみをはる)」

「網を張る」は犯人を捕まえたり目的の人物を捕らえるために手配して待ち構えることを意味する言葉です。こちらも準備して待ち構えることを意味している言葉となっており、「手ぐすね引く」と似た意味をもった類義語となっています。細かい意味・使用頻度に違いがあるため、注意して使い分けていきましょう。

「手ぐすね引く」の対義語は?

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つづいて「手ぐすね引く」の対義語についても確認していきましょう。「手ぐすね引く」には明確に対義語とされている語はありません。しかしその意味から連想してみると次の単語が思い浮かびます。

「不用意」

「不用意」は用意していないこと・準備が整っていないことを意味する言葉です。「手ぐすね引く」が十分に準備し機会を待つことを意味しているのに対し、こちらはそうした準備が整っていないことを意味しています。「手ぐすね引く」の対義語として、こちらもあわせて覚えておきましょう。

\次のページで「「手ぐすね引く」を使いこなそう」を解説!/

「手ぐすね引く」を使いこなそう

この記事では「手ぐすね引く」の意味・使い方・類語などを説明しました。「手ぐすね引く」は滑りをとめ弓返りを防ぐため弓手に薬練を塗ること、また転じて十分準備して機会を待つことを意味している慣用句です。漢字では「手薬練引く」と書くため、こちらもあわせて覚えておきましょう。

また類義語には「待ち受ける」、「爪を研ぐ」、「満を持す」、「待伏せる」、「網を張る」などがありました。それぞれ少しづつニュアンスが違うため、細かい意味や使われる場面を確認しつつ、使い分けていきましょう。今回の記事が皆さんの参考になっていれば幸いです。

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【慣用句】「手ぐすね引く」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「手ぐすね引く」について解説する。

端的に言えば手ぐすね引くの意味は「準備して機会を待つ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「手ぐすね引く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「手ぐすね引く」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「手ぐすね引く」の意味や語源・使い方を一覧でご紹介していきます。またその他「手ぐすね引く」は分類としては日本語の慣用句であるという点も抑えておきましょう。

「手ぐすね引く」の意味は?

「手ぐすね引く」というキーワードを辞典・辞書・事典、ネット上の無料データベースサービス「コトバンク」で用語検索してみると、次のような記載があります。こちらの引用をまず確認していきましょう。

1.十分用意して待ちかまえる。準備して機会を待つ。「—・いて待ち受ける」
2.滑りをとめて弓返りを防ぐため、弓手に薬練を塗る。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「手薬練引く」

「手ぐすね引く」は滑りをとめ弓返りを防ぐために弓手に薬練を塗ること、また転じて十分用意して待ち構えることを意味する言葉です。「手ぐすねを引いて待つ」といった言い回しで使われることが多く、準備をしっかり整え機会を待つ様子を表現します。また漢字では「手薬練引く」と書く点も覚えておきましょう。

「手ぐすね引く」は古風な表現ですが、現在でも書籍・新聞等の文章中を中心として時折使われています。口語としては基本的に使われていない言葉となっているため、注意しましょう。この機会に「手ぐすね引く」の意味・用法をしっかりと覚え、自身の語彙力を高めていきましょう。

「手ぐすね引く」の語源は?

次に「手ぐすね引く」の語源を確認しておきましょう。手ぐすね引くの「薬練(くすね)」とは、松脂を油で煮て練ったもので、粘着力が強く、これを利用して弓を用いる際に弦に塗ることで補強を行います。「手ぐすね引く」は、元々はこの薬練を弓に塗っておき、戦に備えることを意味していました。

この意味がその後広がり、「手ぐすね引く」は、十分に準備し機会を待つことを意味する慣用句となります。現在は主にこうした、しっかりと準備を整え機会を待つ意味でよく用いられていますね。「手ぐすね引く」の語源から、意味・用法について、より正確に理解していきましょう。

\次のページで「「手ぐすね引く」の使い方・例文」を解説!/

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