心拍・血圧の調節機構
内臓反射の具体例として、心拍・血圧の調節について見ていきましょう。循環器系の内臓反射は、内臓−内臓反射でしたね。
圧受容器が情報をキャッチ!
首の血管である頸動脈や心臓の近くに存在する大動脈には、圧受容器と呼ばれる血圧のセンサーが存在しています。血管内の圧力が高まるとこの圧受容器が反応。「血圧が高い」という情報が、自律神経を介して延髄にまで伝えられます。延髄には複雑で統合的な調節機構が備わっていましたよね。実際、延髄に到達した血圧の情報は統合的に処理され、遠心路へ適切な信号を出せるよう準備されます。
自律神経が心拍・血圧を調節!
延髄で統合的に処理された血圧の情報は、遠心性の自律神経へ。血圧が高い場合、血圧を下げる方向に内臓を調節しなければなりませんが、その方法として、心臓と血管の機能調節があげられます。延髄から心臓に向かって抑制性の自律神経が、延髄から血管に向かって興奮性の自律神経が出ていますが、これらのオンとオフを調節する形で血圧を調節しているのです。自律神経が2極性に調節をおこなっているということが、ここからもわかりますね。
起立性低血圧とは?
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立ち上がって、急にふらつきや目眩を感じたことはありますか?急に立ち上がると、体の上の方では血圧が下がります。正常であれば、この血圧の急降下に対し内臓反射がはたらき血圧が適切な値に修正されますが、自律神経などの異常により内臓反射が正常に機能しないと血圧が修正されません。特に、頭の血圧が下がると脳の血流が不十分となりふらつきの原因に。これが起立性低血圧です。
内臓反射は、自律神経による内臓機能を調節するための反射!
今回は内臓反射について扱いました。内臓反射はあまり聞くことのないワードですが、実は人体を考える上で頻発のシステムです。自律神経について勉強すると、さらに理解が深まりますよ。
また、どのような医学分野についても同じことが言えますが、人体の仕組みを理解する上で正常と異常の比較は重要です。正常を理解した上で異常を勉強すると、正常を勉強したのみでは気づかなかった点も見つかり理解が深まります。時間のある方は、ぜひ疾患についても勉強して見てください。
この記事が皆さんのお役に立てれば幸いです。