この記事では焼酎とウイスキーの違いについてみていきます。何となく違うお酒だということはわかるけど、具体的にどこが違うのかはわからないという人も多いんじゃないか?違いはずばりお酒の製造工程にあるようですが、原材料など調べてみるといろいろ違いがあるみたいです。
今回はそんな焼酎とウイスキーの違いを、ざっくりした違いから確認しつつ、元BAR店長ライターの田嶋と一緒に解説していきます。

ライター/田嶋あこ

お酒と料理が大好きなライター。お酒好きが高じてバーで務めた経験も。様々なお酒を飲んできた経験を活かして、違いを詳しく解説していく。

焼酎とウイスキーのざっくりした違いは?

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焼酎とウイスキーはそのまま飲んだり何かで割ったり、様々な楽しみ方ができるお酒です。ただ普段飲まれている方でも「違うことはわかるけど何処が違うのかはわからない」という方は多いのではないでしょうか?

お酒を飲まない方だとなおさら違いがわからないですよね。そこでまず、焼酎とウイスキーのざっくりした違いを解説していきます。

糖化に使用する酵素が違う

焼酎とウイスキーの中には、原料が同じものであったり見た目が少し似ているものもあります。さらにどちらも、蒸溜酒と呼ばれるジャンルのお酒という共通点も。

焼酎とウイスキーは元になる材料を糖化させた後に発酵させ、蒸溜してから熟成させるという工程で作られているお酒です。この工程の中にある「糖化」に使う酵素の違いが大きなポイントとなります。

糖化に使う酵素
・焼酎の場合:麹
・ウイスキーの場合:麦芽

焼酎は酒税法で「発芽した穀物を使用してはならない」という決まりがあります。そのため糖化させるために麹酵素を使っているのです。

ウイスキーは発芽した穀物を使っても大丈夫なので、大麦などの麦芽酵素を使用して糖化させています。

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焼酎とウイスキーの違いを詳しく知ろう!

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焼酎とウイスキーの違いは糖化に使う酵素だけではありません。もっとよく知るために、原材料・色・貯蔵・味の4点を詳しくご紹介していきます。さっそくチェックしていきましょう。

焼酎とウイスキーの「原材料」の違い

焼酎やウイスキーは実に沢山の商品が販売されています。商品によって原材料も様々。共通しているものもあれば、それぞれのお酒ならではの原材料もあります。どんなものが使われているのかみてみましょう。

焼酎の主な原材料
・芋
・大麦(二条大麦や六条大麦)
・黒糖
・胡麻
・米
・そば など

ウイスキーの主な原材料
・大麦
・キヌア
・小麦
・米
・トウモロコシ
・ライ麦 など

こんなに色々あるとは驚きですね!それぞれ味も異なるので、味比べしてみるのも面白いと思います。

焼酎とウイスキーの「色」の違い

お酒をよく飲む方ならお気づきだとおもいますが、焼酎とウイスキーは色も異なります。焼酎は一般的に無色透明なものが多いです。

たまにほんのりとオレンジ色(または黄色)がかったものを見かけることも。ただ色がついていても焼酎の場合は淡いものがほとんどです。理由は酒造法にあります。

原材料についても規定がありましたが、焼酎は色についても「ウイスキーの5分の1から10分の1の色合い」という決まりが。この規定を超えてしまった場合、そのままの焼酎を販売することができません。

ろ過したり薄めたり、食物繊維などを混ぜてリキュール(混成酒)として売ることになります。

一方ウイスキーは琥珀色です。見るからに濃厚で美味しそうな色ですが、実はウイスキーも最初は無色透明。ウイスキーがキレイな琥珀色になるのは、お酒を熟成させるための貯蔵場所に答えがあります。

焼酎とウイスキーの「貯蔵」の違い

焼酎とウイスキーそれぞれの貯蔵場所もチェックしてみましょう。ウイスキーが琥珀色である理由は、貯蔵場所である「木の樽」が関係しています。木の樽に入れて熟成させていくと、木の樽から出た成分がお酒に混ざっていくのです。

熟成していくうちにウイスキーは無色透明から美しい琥珀色になっていきます。また味は奥深さが増して香りも豊かに。貯蔵場所にもちゃんと理由があるということです。

焼酎はあまり色がついてはダメという決まりがあるので、基本的にお酒に影響が出ない容器で熟成されます。甕(かめ)・ステンレス容器・ホーロー容器が主な貯蔵場所です。

ただ全てがそうではなく、規定を超えないレベルで木製の蒸溜器や木の樽を使った焼酎も存在します。無色透明の焼酎とはまた違う風味を楽しめるので、気になる方はチェックしてみるのもいいでしょう。

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焼酎とウイスキーの「味」の違い

酵素や貯蔵場所が違うため焼酎やウイスキーは味が異なります。また原材料によっても風味はかなり違うものに。まずは代表的な焼酎3種の味をご紹介していきます。

焼酎の味
・芋焼酎
味:甘め
クセ:強め
さつまいもやジャガイモを原材料とした芋焼酎は、芋ならではの独特な香りがする。味は甘いめなものが多い。香りが強いため飲んだときにガツンとお酒を感じるが、まろやかなため喉に刺激があるようなものは少ない印象。ハマるとクセになるお酒だけど、苦手な人は苦手。

・米焼酎
味:甘め
クセ:あまりなし
コクとほんのりした甘みが魅力。原材料には国産米である「ヒノヒカリ」などがよく使われている。「コシヒカリ」などのブランド米が使われている商品も。香りにもあまりクセがなく、比較的に飲みやすい。沖縄県のお酒として有名な泡盛も実は米のお酒。ただ泡盛はタイ米が使われていたり麹も違うため、一般的な米焼酎よりクセが強い場合が多いので注意。

麦焼酎の味
味:さっぱりとして爽やか
クセ:ほとんどなし
3種の中で1番飲みやすいと言われているお酒。風味にクセがなく、お茶などで割って飲んでも味が複雑にならない。焼酎をストレートで飲むのが苦手な方や、初めてお酒を飲む方にもおすすめ。

次はウイスキーの味についてです。ウイスキーは1つの蒸溜所で作られたものだけでなく、他の蒸溜所で作られたもブレンドして作られたものなどがあります。

そのため焼酎のように種類によって味を言い表すのが難しいです。かなりざっくりとした感想にはなりますが、ウイスキーは熟成期間が長いものほどまろやかで深みのある味がします。

個人的な意見になりますが全体的にクセは強めです。フルーティーだったりスモーキーな香りがしたり、ピリッとしたスパイシーさがあったり。焼酎にはない複雑な風味がします。

代表的なのはスコッチウイスキーですが、その他にもアメリカンウイスキーやジャパニーズウイスキーなど、様々な国で作られているのも特徴の1つです。

ハイボールはどっちのお酒を割った飲み物?

ハイボールと聞いてどんなお酒を想像しますか?居酒屋などに必ずあると言ってもいいほど人気がありますが、焼酎とウイスキーのどっちを割ったものか、ふとわからなくなる事もあるかと思います。

ハイボールとは一体どんなお酒なのかを一緒に確認していきましょう。

ウイスキーを割った飲み物という認識が主流

居酒屋やバーなどでハイボールを注文すると、ウイスキーをソーダで割った飲み物が出てくることが多いです。ただその認識が主流なだけであって、焼酎をソーダで割ったハイボールも存在します。

そもそもハイボールとは、スピリッツ(蒸溜酒)やリキュールをソーダで割った飲み物を指す名前なのです。焼酎をソーダで割った飲み物をハイボールと呼んでも間違いではないと言えるでしょう。

実際に昭和20年代の日本の下町で「焼酎ハイボール」というお酒が誕生しています。当時は今より焼酎が飲みづらかったこともあり、どうにか飲みやすくできないかとソーダで割ってみたようです。

この焼酎ハイボールという名前は略して「チューハイ」と呼ばれることもありました。そのため現在は、ウイスキーのソーダ割を「ハイボール」と、焼酎のソーダ割を「チューハイ」と分けて呼ぶことが多くなっています。

大まかに言うとどちらを使ってもハイボールとは言えるけど、お店でハイボールと言って注文したら、ウイスキーを割った方が出てくることがほとんどと覚えておいてください。

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日本酒やブランデーは何が違うの?

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日本酒やブランデーも焼酎などと同じくらいメジャーなお酒です。しかし焼酎と日本酒・ウイスキーとブランデーは見た目が似ているので、正直違いがわからないと言う方もいらっしゃると思います。それぞれどう違うのかもみていきましょう。

焼酎と日本酒:製造方法が違う

焼酎と日本酒は、原材料や見た目だけではなかなか見分けづらいお酒ですよね。この2種の違いは製造方法にあります。焼酎は蒸溜酒ですが、日本酒は醸造酒(じょうぞうしゅ)というジャンルのお酒です。

蒸溜酒である焼酎は、一度加熱して蒸気になったものを冷やし再度液体に戻すという方法で作られています。醸造酒である日本酒は加熱しません。原材料をアルコール発酵させる方法で作られます。焼酎と日本酒は全く別のお酒です。

ウイスキーとブランデー:原材料が違う

見た目が似ているだけでなく、ウイスキーとブランデーはどちらも蒸溜酒です。大きな違いは使う材料にあります。ウイスキーは麦などの穀物が使われますが、ブランデーは果物から作られたお酒が原材料なのです。

例えばブドウで作った果実酒であるワインなど。その他にリンゴやサクランボのお酒が使われることもあります。

ブランデーはストレートで飲むのが基本ですが、氷を入れてロックにしたりカクテルにしても美味しいですよ。また飲み物としてだけでなく、よくお菓子などの香りづけにも使われています。

ブランデーとウイスキーも似ているようで全く違うお酒と言えるでしょう。

焼酎とウイスキーは使う酵素や製造方法が違う

同じ蒸溜酒に分類される焼酎とウイスキーですが、糖化に使う酵素や製造方法に違いがあります。焼酎は麹を使って糖化し、甕やステンレスなどで熟成させて作られたお酒です。

ウイスキーは発芽した麦を使って糖化し、木の樽に入れて熟成させています。このような違いから全く違うお酒になるのです。

焼酎やウイスキーは様々な種類や風味の商品が販売されているので、お気に入りを探すのも面白いですよ!あまり飲みすぎると体に悪いので、ほどほどに楽しみながら自分史上最高の1本を見つけてみてはいかがでしょうか。

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雑学食べ物・飲み物

焼酎とウイスキーの違いは色だけ?原材料や製造方法など元BAR店長が詳しくわかりやすく解説

この記事では焼酎とウイスキーの違いについてみていきます。何となく違うお酒だということはわかるけど、具体的にどこが違うのかはわからないという人も多いんじゃないか?違いはずばりお酒の製造工程にあるようですが、原材料など調べてみるといろいろ違いがあるみたいです。
今回はそんな焼酎とウイスキーの違いを、ざっくりした違いから確認しつつ、元BAR店長ライターの田嶋と一緒に解説していきます。

ライター/田嶋あこ

お酒と料理が大好きなライター。お酒好きが高じてバーで務めた経験も。様々なお酒を飲んできた経験を活かして、違いを詳しく解説していく。

焼酎とウイスキーのざっくりした違いは?

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焼酎とウイスキーはそのまま飲んだり何かで割ったり、様々な楽しみ方ができるお酒です。ただ普段飲まれている方でも「違うことはわかるけど何処が違うのかはわからない」という方は多いのではないでしょうか?

お酒を飲まない方だとなおさら違いがわからないですよね。そこでまず、焼酎とウイスキーのざっくりした違いを解説していきます。

糖化に使用する酵素が違う

焼酎とウイスキーの中には、原料が同じものであったり見た目が少し似ているものもあります。さらにどちらも、蒸溜酒と呼ばれるジャンルのお酒という共通点も。

焼酎とウイスキーは元になる材料を糖化させた後に発酵させ、蒸溜してから熟成させるという工程で作られているお酒です。この工程の中にある「糖化」に使う酵素の違いが大きなポイントとなります。

糖化に使う酵素
・焼酎の場合:麹
・ウイスキーの場合:麦芽

焼酎は酒税法で「発芽した穀物を使用してはならない」という決まりがあります。そのため糖化させるために麹酵素を使っているのです。

ウイスキーは発芽した穀物を使っても大丈夫なので、大麦などの麦芽酵素を使用して糖化させています。

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