
キセノンはどのように精製される?

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キセノンの原料は、人々が生きていく上でなくてはならない空気です。しかし、空気中から単独では精製されません。工業ガスとして利用される液体酸素や液体窒素を製造するための空気分離プラントの副産物から精製されます。
ここで、一般的な空気分離プラントである複式精留塔で仕組みを学んでいきましょう。まず、原料である空気を精留塔の下段へ送ります。沸点が低い窒素は上へ、沸点が高い酸素は液化し下部に溜まっていきますね。この液体酸素は上段へ移動され、さらに蒸留が行われます。キセノンは酸素より沸点が高いため、この液体酸素の中に濃縮されているのです。
キセノンの化合物
キセノンは電子配置から、他の希ガスに比べてイオン化エネルギーが大きいことは理解できたでしょうか?では、具体的にどのように反応するのか解説していきます。
キセノンのハロゲン化物
キセノンは、ハロゲンであるフッ素と反応します。キセノンとフッ素の混合気体をニッケル管内で加熱、または紫外線や放射線を当てることで、二フッ化キセノン(XeF₂)が生成されるのです。加圧条件下で加熱すると六フッ化キセノン(XeF₆)、加熱したものを急冷すると四フッ化キセノン(XeF₄)が生成されるなど、条件によってフッ素の数が変わります。
中でも、XeF₄やXeF₆は強力なフッ素化剤です。XeF₄は、ベンゼンなどの芳香族化合物の水素をフッ素化でき、XeF₆は石英(SiO₂)と反応してSiF₄を生成することができます。
キセノンの酸化物
キセノンのフッ化物は、どれも水で簡単に加水分解されます。
例えば六フッ化キセノン(XeF₆)は、水と反応して三酸化キセノン(XeO₃)が生成されるのです。ちなみにXeO₃は、有機物と接すると爆発してしまうので、扱いは注意しなければいけません。
また、六フッ化キセノン(XeF₆)と石英(SiO₂)の反応では、四フッ化酸化キセノン(XeOF₄)が生成されます。
六フッ化キセノン(XeF₆)の加水分解
XeF₆+H₂O → XeOF₄+2HF
XeOF₄+H₂O → XeO₂F₂+2HF
XeO₂F₂+H₂O → XeO₃+2HF
キセノンの利用例を4つ紹介!
キセノンという名前は普段あまり耳にすることはないと思いますが、意外とわたしたちの生活の中で利用されているのです。
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