今回は「メントスガイザー」をテーマに学んでいきます。

諸君は「メントスガイザー」という言葉を聞いたことがあるか?この現象を見たことがあるという人は多いかもしれないが、それがどのような原理で起きているのかを説明できる人は少ないでしょう。そこで、メントスガイザーとは何か、その原理から注意点までを詳しく理解していこう。

高校・大学にて化学も専攻していた農学部卒ライター園(その)と一緒に解説していきます。

ライター/園(その)

数学は苦手だけれど、生物と化学が得意な国立大学農学部卒業の元リケジョ。動物の中でも特に犬が好きで、趣味は愛犬をモフること。分かりやすく面白い情報を発信していく。

メントスガイザーとは

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メントスガイザーとは、コーラにメントスを入れたときに勢いよく泡が噴き出してくる現象のことです。この現象はメントスコーラとも呼ばれていますが、2006年にメントスの発売元であるVan Melle社のアメリカ法人によって名づけられた「メントスガイザー」を正式名称としてこの記事では紹介していきます。

メントスガイザーの原理

メントスガイザーの原理を一言で言うと、“炭酸飲料であるコーラの中にメントスが落とされることによって、水分子の表面張力の低下が起き、コーラ中の二酸化炭素がたくさんの泡となって一気に空気中に出て行く”というものです。

「これだけ聞いてもよく分からないよ」という方のために、次の章で一つずつポイントを解説していきますね。

炭酸飲料における表面張力

コーラにメントスを入れたときに勢いよく出てくる泡の正体は、コーラ中の二酸化炭素でした。実は、ペットボトルのフタを開けたときなどに見られるシュワシュワの泡も二酸化炭素なんですよ。ではなぜ、炭酸飲料はシュワシュワと泡が出てくるのでしょうか?まずは炭酸飲料についてサラッと理解しましょう。

\次のページで「炭酸飲料とは」を解説!/

炭酸飲料とは

炭酸飲料は、液体に圧力をかけて無理やり二酸化炭素を溶け込ませるように作られます。無理やりということは、二酸化炭素は普通の状態では液体に溶けないということです。つまり、炭酸飲料中の二酸化炭素は、常に液体から気体になって出ていこうとしています。そのため、炭酸飲料の入ったペットボトルのフタを少しでも開けると、プシュッという音とともに気体となった二酸化炭素も外に出て行くのです。

とはいえ炭酸飲料を飲むとき、1度ペットボトルのフタを開けても、ある程度の時間はシュワシュワが継続していますよね?次は、その要因となっている表面張力についても理解していきます。

表面張力とは

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表面張力とはどのような力のことなのでしょうか?コトバンクにおいて以下のように示されています。

通常、液体の表面でその表面積を小さくするように働く力をいう。

出典:“表面張力”.コトバンク.(参照2022/3/19).

では、少し分かりづらい“表面積を小さくする”について考えてみましょう。例えば、あなたは今冬の寒空の下屋外にいるとします。そんな時あなたは、グッと力を入れて腕を組んだり、体を小さくしたりしないでしょうか?それは、あなたの体が空気に接している面積をできるだけ小さくして体を冷やさないようにしているからなのです。このように液体の表面で表面積を小さくするためには、水分子どうしがグッとまとまる強い力が働きます。この力が表面張力です。

コーラ中の水分子の表面張力

コーラ中の二酸化炭素分子が気泡となって液体中にできると、その分液体の表面積(液体が気体と接する面積)が増えてしまいますよね?そのため、液体中の水分子の表面張力は、二酸化炭素分子が気泡にならないように、気泡になって空気中に出て行かないように強い力で働くのです。

\次のページで「メントスガイザーにおける表面張力を弱める3つの要因」を解説!/

メントスガイザーにおける表面張力を弱める3つの要因

メントスカイザーにおける表面張力を弱める、つまりコーラ中の二酸化炭素が泡となって外に出て行きやすくなるには、メントスに関する3つの特徴が関係しています。

メントスに関する3つの特徴

1. メントスが落ちた刺激

2. メントスに含まれる成分

3. メントス表面の構造

1. メントスが落ちた刺激

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メントスがコーラに落とされ、コーラ中の水分子が衝撃を受けることで表面張力は低下。よって、二酸化炭素は泡となって空気中に出て行きます。

2. メントスに含まれる成分

メントスに含まれるアラビアガムやゼラチン。これは、界面活性剤の役割を果たしていて、表面張力を低下させる働きがあります。界面活性剤については以下の図で詳しく見ていきましょう。

image by Study-Z編集部

図のように、界面活性剤には水になじみやすい親水基と水になじみにくい疎水基があり、2つの異なる物質の境目で2つの物質をなじませることができます

界面活性剤と表面張力の関係を警官と泥棒の関係を例に見ていきましょう。まず、警官を水分子、泥棒を二酸化炭素分子、牢屋を表面張力、牢屋のカギを界面活性剤とします。警官は捕まえた泥棒を牢屋に入れて、牢屋から泥棒を逃がさないようにしていますよね?しかし、警官が泥棒と意気投合して仲良くなると、警官は牢屋を開け泥棒が逃げやすいようにしてしまいました。そうすると、ずっと外に出たかった泥棒はもちろん外に逃げ出します。

つまり、界面活性剤の働き(親水基が水分子と、疎水基が二酸化炭素分子とくっつくこと)によって表面張力が弱まると二酸化炭素分子が外に出て行くということです。

\次のページで「3. メントス表面の構造」を解説!/

3. メントス表面の構造

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メントスの表面には小さな凸凹があり、これが表面張力を低下させます。しかし、この理由には以下の2通りの考え方があるようです。

・表面の凸凹に二酸化炭素分子がすっぽりはまると、そのはまった部分は水分子と接さなくなり表面張力が低下。

・表面の凹凸に二酸化炭素分子がぶつかった衝撃で表面張力が低下。

正しいやり方と注意点

メントスガイザーはとても簡単にその反応を見ることができます。ですが、気を付けるべきポイントがいくつかあるので、これまで学習してきたことをふまえてメントスガイザーの正しいやり方と注意点について学習しましょう。

メントスガイザーのやり方

1. メントス1個、ペットボトルのコーラ1本を用意。

2. コーラの中にメントスを落とす。

メントスガイザーのやり方はたったこれだけです。しかし、この時頭に入れておくべきことは、この現象が急激に起こるということ。たくさんの二酸化炭素ができるので、メントスを入れた後にペットボトルのフタを閉めてしまうと、ペットボトル内で二酸化炭素がいっぱいになり爆発する恐れがあります。また、勢いよくコーラが吹き出てくるので、人に迷惑をかけないように家の庭やお風呂場などで行うことがおすすめです。

さらに、中国では実際に事故があったこともあり、自分の体内でやることは絶対に避けてください。外に出て行こうとする泡で鼻や耳がいっぱいになると窒息してしまうかもしれません。

正しく行い楽しく理解しよう

夏休みの自由研究として取りかかりやすいメントスガイザー。そのメカニズムはまだまだ解明されていないことが多いようなので、この記事を読んで気になったあなた。コーラ以外の炭酸飲料やメントス以外のものをいろいろ組み合わせて実験をしてみると面白い結果が得られるかもしれません。その時には、紹介した注意点に気をつけて正しい方法でおこなってくださいね。

イラスト使用元:いらすとや

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化学理科食べ物・飲み物

メントスガイザーとは?原理から注意することまで農学部卒ライターが5分で徹底わかりやすく解説!

今回は「メントスガイザー」をテーマに学んでいきます。

諸君は「メントスガイザー」という言葉を聞いたことがあるか?この現象を見たことがあるという人は多いかもしれないが、それがどのような原理で起きているのかを説明できる人は少ないでしょう。そこで、メントスガイザーとは何か、その原理から注意点までを詳しく理解していこう。

高校・大学にて化学も専攻していた農学部卒ライター園(その)と一緒に解説していきます。

ライター/園(その)

数学は苦手だけれど、生物と化学が得意な国立大学農学部卒業の元リケジョ。動物の中でも特に犬が好きで、趣味は愛犬をモフること。分かりやすく面白い情報を発信していく。

メントスガイザーとは

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メントスガイザーとは、コーラにメントスを入れたときに勢いよく泡が噴き出してくる現象のことです。この現象はメントスコーラとも呼ばれていますが、2006年にメントスの発売元であるVan Melle社のアメリカ法人によって名づけられた「メントスガイザー」を正式名称としてこの記事では紹介していきます。

メントスガイザーの原理

メントスガイザーの原理を一言で言うと、“炭酸飲料であるコーラの中にメントスが落とされることによって、水分子の表面張力の低下が起き、コーラ中の二酸化炭素がたくさんの泡となって一気に空気中に出て行く”というものです。

「これだけ聞いてもよく分からないよ」という方のために、次の章で一つずつポイントを解説していきますね。

炭酸飲料における表面張力

コーラにメントスを入れたときに勢いよく出てくる泡の正体は、コーラ中の二酸化炭素でした。実は、ペットボトルのフタを開けたときなどに見られるシュワシュワの泡も二酸化炭素なんですよ。ではなぜ、炭酸飲料はシュワシュワと泡が出てくるのでしょうか?まずは炭酸飲料についてサラッと理解しましょう。

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