今回は「ルーの法則」をテーマに学んでいきます。

突然ですが諸君は、「ダイエットをしたい」「筋肉をつけたい」と思ったことはないでしょうか?そして、どうせやるなら効率的な方法でトレーニングをしたいでしょう。そんなときに知っておいてほしいのがヴィルヘルム・ルーによって提唱された「ルーの法則」です。ルーの法則とは何か、それをもとにしたトレーニングの原理・原則についても具体例を見ながら学習していこう。

高校・大学にて生物を専攻していた農学部卒ライター園(その)と一緒に解説していきます。

ライター/園(その)

数学は苦手だけれど、生物と化学が得意な国立大学農学部卒業の元リケジョ。動物の中でも特に犬が好きで、趣味は愛犬をモフること。分かりやすく面白い情報を発信していく。

ルーの法則

ルーの法則

image by Study-Z編集部

ルーの法則とは、ドイツの発生学者ヴィルヘルム・ルーによって提唱されました。これは、ヒトの器官の機能についての基本となる法則のことです。トレーニングと関連して説明するうえでは、分かりやすいように器官の部分を筋肉に置き換えて説明されています。以下の3つがあるのでそれぞれ見ていきましょう。

ルーの法則

1. 動作性肥大の原則

2. 不活動性萎縮の原則

3. 長期にわたる機能向上制限による器官の特殊な活動能力減退の原則

1. 動作性肥大の原則

動作性肥大の原則とは、筋肉は使うと大きくなるという原則です。トレーニングによって筋肉を使うと筋肉の元となる筋繊維が切れてしまいます。そうすると、次に同じ負荷がかかっても耐えられるように、筋繊維を前より強く太く修復するのです。

2. 不活動性萎縮の原則

不活動性萎縮の原則とは、筋肉は使わないと萎縮するという原則です。骨折をしてギブスをしたり、病気で長期間寝たきりになったりすると手や足の筋肉が細くなったと感じたこがあるかもしれません。これは、筋肉が使われなかったことで筋繊維が細くなったからです。

地球には重力があるので、私たちは立っているだけでも筋肉を使っています。しかし、宇宙飛行士は無重力状態でいるため筋肉を使いません。そうすると筋力が落ちてしまうので筋トレをするそうです。

\次のページで「3. 長期にわたる機能向上制限による器官の特殊な活動能力減退の原則」を解説!/

3. 長期にわたる機能向上制限による器官の特殊な活動能力減退の原則

これは、長期的に筋肉が修復される前に筋肉が壊されることが行われて障害を起こすという原則です。

この例としてスポーツ障害があげられます。これは、筋肉の修復を待たずに過度の負担がかかり続けることで起こる障害です。

トレーニングの四大原理

トレーニングの四大原理とは、上記で見てきたルーの法則をより詳しく解説したものです。トレーニングによる筋肉への影響を示しています

トレーニングの四大原理

・過負荷性

・特異性

・可塑性

・適時性

過負荷性

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過負荷性とは、日常生活でかかっている負荷以上の負荷を身体(筋肉)にかけると機能が向上するということです。数十年間歩いているあなたは、足の筋肉はムキムキに発達しましたか?基本はそんなことないと思います。つまり、トレーニングで筋肉をつけたければ、一定以上の強い負荷をかけることが大切です。

\次のページで「特異性」を解説!/

特異性

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特異性とは、トレーニングで鍛えた筋肉だけ効果が表れるということです。腕を鍛えたのに足も鍛えられるということはありません。言い換えると、鍛えたい筋肉をピンポイントに鍛えることも可能だということです。スポーツ競技をしている人は、どこを鍛えたら競技に生かせるのかを考えてトレーニングをしてみてください。

可塑性

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可塑性とは、せっかくトレーニングで筋肉をつけても、やめてしまったら徐々に筋力が落ちていくということです。よって、トレーニングを継続しなければ筋肉を発達させる、または維持することができません。

また、筋力が低下するスピードは、トレーニング期間が長い人に比べて短い人の方が速いそうです。

適時性

適時性とは、効果が得やすい時期に合わせたトレーニングを行うということです。身体が小さいときにハードな筋トレをしてしまうと、身体の成長を阻害してしまうかもしれません。そのため、小学生のうちは、身体の正しい動かし方などをマスターするように心がけた方がよいでしょう。

トレーニングの五原則

トレーニングの五原則とは、トレーニングをするときの気を付けるべきルールと言えます。

トレーニングの五原則

・全面性

・漸新性

・意識性

・反復性

・個別性

全面性

全面性とは、「全身をバランスよくトレーニングしましょう」ということです。例えば、ジャンプをする競技では足を鍛えた方がよいと思ってしまいませんか?しかし、ジャンプをするためには上半身(特に腕の振り)も使っています。また、競技中に倒れないように立つという行為をしているだけでも足以外の筋肉を使っているのです。つまり、見えないところで働いている筋肉がたくさんあるということですね。よって、全身をバランスよく鍛えることは、相乗効果でパフォーマンスを向上させ、ケガや痛みの予防にも使がります。

\次のページで「漸進性」を解説!/

漸進性

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漸進性とは、「トレーニングの強度・量・難易度などは徐々に上げていきましょう」ということです。何もトレーニングしていない人が100キロのバーベルを持ち上げようとしたら、いつもとは比べ物にならないくらいの負荷が身体にかかりケガをしてしまうかもしれません。

意識性

意識性とは、「目的を理解したうえでトレーニングをしましょう」ということです。そのトレーニングはどこを鍛えているのか、何のためにやるのかなどを考えながらトレーニングをするとより効果が高まります。

反復性

反復性とは、「トレーニングを継続的に行いましょう」ということです。プロもやっているトレーニングを数回やっただけで、同じ効果が得られるわけではありませんよね?トレーニングを長期間繰り返し行うことで、やっと効果が得られるようになります。

個別性

個別性とは、「一人一人に合わせたトレーニングをしましょう」ということです。性別・年齢・生活環境・経験値・目的などなどすべてがまったく同じヒトはいないでしょう。自分だけのトレーニングはより効率的に目的を達成させると考えられます。逆に、自分に合っていないトレーニングをすればモチベーション低下につながるでしょう。

「ルーの法則」やトレーニングの原則をもとにトレーニングをしよう

近年、若者の運動不足が問題となっているようですが、筋肉量は20代がピークで年を取るにつれて低下していきます。しかし、トレーニングを長期間続けていれば、可塑性の原理から低下するスピードは遅くなるでしょう。

今回「ルーの法則」やトレーニングの原則について理解したあなた。早速、目的をもって自分にあったトレーニングをしてみましょう。そして、時には休憩も入れながらトレーニングを継続してみてください。

イラスト使用元:いらすとや

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体の仕組み・器官理科生物趣味

ルーの法則とは?トレーニングの原理・原則とともに農学部卒ライターが5分で徹底わかりやすく解説!

今回は「ルーの法則」をテーマに学んでいきます。

突然ですが諸君は、「ダイエットをしたい」「筋肉をつけたい」と思ったことはないでしょうか?そして、どうせやるなら効率的な方法でトレーニングをしたいでしょう。そんなときに知っておいてほしいのがヴィルヘルム・ルーによって提唱された「ルーの法則」です。ルーの法則とは何か、それをもとにしたトレーニングの原理・原則についても具体例を見ながら学習していこう。

高校・大学にて生物を専攻していた農学部卒ライター園(その)と一緒に解説していきます。

ライター/園(その)

数学は苦手だけれど、生物と化学が得意な国立大学農学部卒業の元リケジョ。動物の中でも特に犬が好きで、趣味は愛犬をモフること。分かりやすく面白い情報を発信していく。

ルーの法則

ルーの法則

image by Study-Z編集部

ルーの法則とは、ドイツの発生学者ヴィルヘルム・ルーによって提唱されました。これは、ヒトの器官の機能についての基本となる法則のことです。トレーニングと関連して説明するうえでは、分かりやすいように器官の部分を筋肉に置き換えて説明されています。以下の3つがあるのでそれぞれ見ていきましょう。

ルーの法則

1. 動作性肥大の原則

2. 不活動性萎縮の原則

3. 長期にわたる機能向上制限による器官の特殊な活動能力減退の原則

1. 動作性肥大の原則

動作性肥大の原則とは、筋肉は使うと大きくなるという原則です。トレーニングによって筋肉を使うと筋肉の元となる筋繊維が切れてしまいます。そうすると、次に同じ負荷がかかっても耐えられるように、筋繊維を前より強く太く修復するのです。

2. 不活動性萎縮の原則

不活動性萎縮の原則とは、筋肉は使わないと萎縮するという原則です。骨折をしてギブスをしたり、病気で長期間寝たきりになったりすると手や足の筋肉が細くなったと感じたこがあるかもしれません。これは、筋肉が使われなかったことで筋繊維が細くなったからです。

地球には重力があるので、私たちは立っているだけでも筋肉を使っています。しかし、宇宙飛行士は無重力状態でいるため筋肉を使いません。そうすると筋力が落ちてしまうので筋トレをするそうです。

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