今回のテーマはセレンだ!テストで出題されることは少ないが、重要な原子です。
セレンは工業的に使われることは少ないが、人体には必要不可欠な元素で、必須ミネラルに分類されている。

今回はセレンとはどんな原子で、どんなところで使われているか化学に詳しいライターリックと一緒に解説していきます。

ライター/リック

高校生で化学にハマり、大学院までずっと化学を勉強してきた化学オタク。今は化学メーカーで働きながら化学の楽しさを発信する。

セレンとはどんな原子?

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セレンは原子番号34、元素記号はSeの元素です。元素周期表を見てみる、第16族元素ですね。第16族元素はカルコゲン元素とも呼ばれています。カルコゲンとはギリシャ語で「鉱石を作る」という意味で、硫黄やセレン、テルルなど第16族元素は鉱石の主成分となることが多いため、カルコゲン元素と呼ばれているんです。

セレンは融点221℃、沸点685℃の元素。同素体がいくつか存在し、どんな構造をしているかで見た目の色が変わってきます。例えば常温で安定な六方晶系構造をしているセレンは灰色で、単斜晶系のセレンは赤色です。

テストで出題されることも、普段目にすることもほとんどありません。工業的な用途での使い道は限定されいますが、私たちの体には重要な元素なんです。後から詳しく紹介していきますね。

「月」が名前の由来

セレンの語源は「」を意味するギリシャ語「selene」からきています。セレンは1817年にスウェーデンの化学者ベルセーリウスとガーンが発見した元素で、先に発見されていたテルルと性質がよく似ていました。

テルルは「地球」を意味するラテン語のtellusにちなんで名づけられており、セレンは「地球」に対比する形で「月」を意味する「selene」から名付けられたといわれています。

「月」が名前の由来のセレンは周期表で見ると、ちょうどテルルの上に来ています。テルル(地球)の上にある元素だからセレン(月)と名づけられたのかもしれません。

セレンはここで産出されている

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ここからは、セレンがどうやって生産されているのか紹介していきますね。

セレンは単体ではなく、鉱物として産出されます。銅や銀との化合物であるセレン銀鉱セレン銅銀鉱などの鉱石があり、国別の生産量を見てみると、1位は中国、2位は日本、3位はドイツです。

実は、21世紀に入るまでは、日本が生産量世界1位でした!日本での産出は、実はセレンを産出するのが目的ではありませんでした。セレン化銀というセレンと銀の化合物からセレンを回収していますが、この鉱石の産出目的は銀を回収すること。セレンは銀を得る過程で副生成物として回収されているんです。

セレンの用途とは?

セレンの用途とは?

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ここからは、セレンの用途を紹介していきます。先ほど紹介したように、セレンは世界的にあまり生産されていません。それはつまり、「あまり使われていない」ということです。ただ、やはり用途もあるので、紹介していきますね。

\次のページで「セレンは人体に必須の成分だった!?」を解説!/

・ コピー機の感光ドラム

・カメラの受光部

・ セレン整流器

・ 人体の必須元素

セレンは、光が十分に当たると物質内の導電性が増加する、光導電性があります。つまり半導体の性質があるんです。光が当たると導電性が変わるためコピー機の感光ドラムカメラに利用されています。

しかし、現在セレンの用途は減少しています…その理由は「毒性があるから」。そのため、現在は使用が制限され、代替物質が使われるようになってきています。

セレンは人体に必須の成分だった!?

セレンは毒性があるけど、人体に必須元素なの?と不思議に思うかもしれませんが、実はそうなんです。セレンは人体の働きに重要な元素で「必須ミネラル」に分類されています。ここからは人体でのセレンの働きと、セレンの毒性について紹介していきますね。

セレンには抗酸化作用がある

GlutPeroxidase-1GP1.png
http://en.wikipedia.org/wiki/User:Jag123 - http://en.wikipedia.org/wiki/Image:GlutPeroxidase-1GP1.png, パブリック・ドメイン, リンクによる

まずは、人体でのセレンの効果を紹介していきます。セレン最大の特徴は「抗酸化作用がある」こと。抗酸化作用があるので、動脈硬化がんなどを抑える効果のある重要な元素です。なぜセレンに抗酸化作用があるのか?と思いますよね。そもそも身体が酸化してしまう原因は「活性酸素」です。この活性酸素が体内で生まれることで身体が酸化していってしまうんですね。

セレンに抗酸化作用がある理由は、グルタチオンペルオキシターゼという酵素です。グルタチオンペルオキシターゼは過酸化水素やヒドロペルオキシドという活性酸素の元になる成分を分解する能力を持っています。

グルタチオンペルオキシターゼの構成成分がセレンなんです。グルタチオンペルオキシターゼを作るにはセレンが必要で、体内でセレンを作ることはできません。なので、セレンは必須ミネラルに分類されているんです。

\次のページで「セレンには毒性がある?」を解説!/

セレンには毒性がある?

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ここからはセレンの毒性をチェックしていきます。セレンに毒性があるのは事実で、過剰摂取には注意が必要です。セレンの摂りすぎが続くと、爪の変形や脱毛、下痢、末梢神経障害などが起きてしまう恐れがあります。

厚生労働省が定める、1日のセレン摂取基準を見てみると、18歳以上の男性の推奨量が30μg、18歳以上の女性の推奨量が20μg。そして上限量が男性が400μg~450μg、女性が350μgです。あまりイメージできないかもしれませんが、実はセレンは過剰摂取の傾向がある成分の一つなんです!次はセレンが含まれている食品を見てみましょう。

セレンが含まれている食べ物は?

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ここからは、セレンが多く含まれている食品を紹介していきますね。セレンは主にマグロやカツオなどの魚介類卵黄などに豊富に含まれています。

先ほど、セレンの推奨摂取量は男性が1日30μg、女性は1日20μgと紹介しましたが、実は、マグロの赤身100gには約110μgのセレンが含まれているんです。そのため、日本の食生活でセレンが不足することはまずありえません、摂取不足を心配する必要はないですね。ちなみに、日本人のセレンの平均摂取量は1日当たり100μgとされています。

人体に重要!摂りすぎ注意なセレンに注目!

今回はセレンをテーマに紹介しました。

セレンは工業的には使われている場面が減少している元素ですが、人体にとっては重要な元素です。抗酸化作用がある酵素を作るために必須で、老化対策にも有効なので、ぜひ摂っていきたいですよね。ただし、上限摂取量を超えたセレンを取り続けるとやはり危険なので、摂取量の上限は守っていきましょう。

テストでは出題されることはほとんどない元素ですが、ぜひチェックしてみてください!

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化学理科

セレンとは?工業的な用途と人体への影響を理系ライターが詳しくわかりやすく解説!



今回のテーマはセレンだ!テストで出題されることは少ないが、重要な原子です。
セレンは工業的に使われることは少ないが、人体には必要不可欠な元素で、必須ミネラルに分類されている。

今回はセレンとはどんな原子で、どんなところで使われているか化学に詳しいライターリックと一緒に解説していきます。

ライター/リック

高校生で化学にハマり、大学院までずっと化学を勉強してきた化学オタク。今は化学メーカーで働きながら化学の楽しさを発信する。

セレンとはどんな原子?

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セレンは原子番号34、元素記号はSeの元素です。元素周期表を見てみる、第16族元素ですね。第16族元素はカルコゲン元素とも呼ばれています。カルコゲンとはギリシャ語で「鉱石を作る」という意味で、硫黄やセレン、テルルなど第16族元素は鉱石の主成分となることが多いため、カルコゲン元素と呼ばれているんです。

セレンは融点221℃、沸点685℃の元素。同素体がいくつか存在し、どんな構造をしているかで見た目の色が変わってきます。例えば常温で安定な六方晶系構造をしているセレンは灰色で、単斜晶系のセレンは赤色です。

テストで出題されることも、普段目にすることもほとんどありません。工業的な用途での使い道は限定されいますが、私たちの体には重要な元素なんです。後から詳しく紹介していきますね。

「月」が名前の由来

セレンの語源は「」を意味するギリシャ語「selene」からきています。セレンは1817年にスウェーデンの化学者ベルセーリウスとガーンが発見した元素で、先に発見されていたテルルと性質がよく似ていました。

テルルは「地球」を意味するラテン語のtellusにちなんで名づけられており、セレンは「地球」に対比する形で「月」を意味する「selene」から名付けられたといわれています。

「月」が名前の由来のセレンは周期表で見ると、ちょうどテルルの上に来ています。テルル(地球)の上にある元素だからセレン(月)と名づけられたのかもしれません。

セレンはここで産出されている

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ここからは、セレンがどうやって生産されているのか紹介していきますね。

セレンは単体ではなく、鉱物として産出されます。銅や銀との化合物であるセレン銀鉱セレン銅銀鉱などの鉱石があり、国別の生産量を見てみると、1位は中国、2位は日本、3位はドイツです。

実は、21世紀に入るまでは、日本が生産量世界1位でした!日本での産出は、実はセレンを産出するのが目的ではありませんでした。セレン化銀というセレンと銀の化合物からセレンを回収していますが、この鉱石の産出目的は銀を回収すること。セレンは銀を得る過程で副生成物として回収されているんです。

セレンの用途とは?

セレンの用途とは?

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ここからは、セレンの用途を紹介していきます。先ほど紹介したように、セレンは世界的にあまり生産されていません。それはつまり、「あまり使われていない」ということです。ただ、やはり用途もあるので、紹介していきますね。

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