

ライター/ポスドクランナー
大学院で免疫について研究し、現在も研究者として活動を続け多くの研究成果を出すべく日々奮闘している。
ブースター効果とは何かざっくりと解説!

image by iStockphoto
ブースター効果はワクチン接種の時によく耳にする言葉です。
ブースターとは、「増幅器」のことで、自然感染やワクチン接種で既に免疫が得られている状態で再感染したり、ワクチンの追加接種をすることで、より早く強い、免疫が得られる効果のことをブースター効果と言い、追加免疫効果とも呼ばれます。
ブースター接種は免疫の効果を高めるためのワクチン接種のことです。これにより、本来ある免疫機能をさらに向上させることができます。
ブースター効果はいつから発揮される?
ブースター効果はワクチン接種後すぐに発揮されます。
初めてのワクチン接種と異なり、ブースター効果を期待したブースター接種では既に体内に免疫(抗体)がある状態でワクチン接種を行うので速やかに抗体が産生され始めるからです。抗体の産生量がピークに達した時が最も効果が高く、抗体量の減少に伴ってその効果は減少します。
複数回行うワクチン接種があるのは、一度のワクチン接種では抗体の産生量が不十分であり、ブースター接種によってその効果を高める必要があるからです。
ブースター効果のメカニズムについて詳しく解説!
ヒトの免疫システムは先天的に備わっている自然免疫(先天性免疫)と獲得免疫(後天性免疫)の2種類に分けられます。
一般的に馴染みが深いのは獲得免疫です。私たちが普段行っている予防接種(ワクチン摂取)では、弱毒化あるいは不活化した抗原(ワクチン)を体内に入れることで、抗体をあらかじめ体内に作らせます。
ブースター効果ではブースター接種などで抗原を複数回、体内に投与することで、獲得免疫を活性化し、大量かつ強力な抗体を作らせるのを目的としているのです。
獲得免疫について解説

image by Study-Z編集部
獲得免疫では外敵(抗原)が侵入すると、免疫の司令塔であるリンパ球の一種のT細胞がB細胞に対して、抗原に対応する抗体を産生するようにシグナルを送ります。抗体は抗原と結合し、それをマクロファージなどが細胞内に取り込んで分解することで外敵は体内から排除されるのです。
私たちの免疫機能には免疫学的記憶(免疫記憶)という機能が備わっています。免疫機能を担うT細胞やB細胞などの免疫細胞は、一度侵入した抗原を記憶しており、記憶にある抗原が再度侵入したときは、素早く、大量に、強力な抗体をつくり出すことができ、症状の悪化を防げるのです。
ワクチン接種(予防接種)は免疫記憶の機能を利用しています。
\次のページで「自然免疫について解説」を解説!/