この記事では「三界の首枷」について解説する。

端的に言えば三界の首枷の意味は「現在、過去、未来において自由を束縛する物事のこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で7年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「三界の首枷」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な7年目のライター、eastflower。「三界の首枷」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「三界の首枷」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「三界の首枷」(さんかいのかせ)の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「三界の首枷」の意味は?

それでは、まず「三界の首枷」の辞書の意味を見ていきましょう。

1 過去・現在・未来にわたり自由を束縛するもの。また、現世の苦悩のもととなるもの。恩愛の情の類。
2 《「子は三界の首枷」という諺から》子供。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「三界の首枷」

「三界の首枷」(さんかいのくびかせ)の中の「三界」(さんかい)とは、仏教のことばで主に二つの意味で使われる言葉です。ひとつめは、人は「輪廻転生」(りんねてんしょう)していく中で、三つの迷いの世界、具体的には、「欲界」(よくかい)、「色界」(しきかい)、無色界(むしょくかい)という「迷いの世界」を体験するという意味になります。もうひとつは、「過去・現在・未来の自由を束縛するもの」という意味です。一方、「三界の首枷」の「首枷」(くびかせ)とは、「罪人の首や手足にはめて自由を拘束するための刑具(けいぐ)のこと」でしたが、転じて、人間の行動を拘束する邪魔なものの例として使われるようになりました。

ですから、「三界の首枷」は辞書で説明されているとおり、「過去・現在・未来にわたり自由を束縛するもの」という意味なのです。「三界の首枷」を含む言葉でもっともよく使われることわざに「子は三界の首枷」(こはさんかいのくびかせ)があります。「子どもはやっかいな存在だ」という認識は昔からあった認識なのかもしれませんね。

「三界の首枷」の語源は?

「三界の首枷」の「三界」とは仏教用語で、仏教が日本に伝来して以来、過去・現在・未来の自由を束縛するものとして理解されてきました。「首枷」の方も起源は古く、奈良時代に書かれた『日本書紀』の中にも首枷の言葉は登場します。その後も首枷は自由を拘束するための刑具(けいぐ)として明治時代まで実際に使われてきたのです。

\次のページで「「三界の首枷」の使い方・例文」を解説!/

「三界の首枷」の使い方・例文

「三界の首枷」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. 子は三界の首枷とはよく言ったものだと思う。やはり子どもはかわいい。育てるのには苦労するが、毎年、欠かさず運動会を見に行ったものだ。就職して結婚して家を出て行ってしまったが、それでも娘のことを思い出すと今も楽しいものだ。

2. ゆるくて、和気あいあいの職場に見えてもやはり組織というのは怖い一面を持っているのも事実だ。私にもたった一度だけ犯した不正があったが、10年経っても思い出すと暗い気持ちになる。まあ、なんと円満退職はしたもののいつ表沙汰(おもてざた)になるのかが不安だ。三界の首枷というけれど、まさに過去に犯した罪に対する罰に現在も怯え、将来に対しても不安を感じている。かといって誰かに話すわけにもいかないんだ。

「三界の首枷」は「子」とセットになって「子は三界の首枷」として使われる場合がほとんどですが、例文では、「子は三界の首枷」と「子ども」以外で使った場合の例文も紹介させていただきました。

「三界の首枷」の類義語は?違いは?

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それでは、「三界の首枷」の類義語を見ていきましょう。

「子宝脛が細る」

「三界の首枷」とは、「過去・現在・未来に渡って首を抑えつけられたように一生苦労するやっかいな存在のこと」でしたが、それでは、「人は具体的にどのような対象に一生苦労するのでしょうか?」。「三界の首枷」は、「子は三界の首枷」(こはさんかいのくびかさ)と言い換えられる場合も多く、一生苦労するやっかいな存在とは、「子ども」のことを言う場合が多いのです。小さくても成長してからも、成人した後も親にとって子どもは、もっとも大切な存在のひとつで絶えず子どものことを助けようと苦労するものですよね。「子は三界の首枷」の類義語のひとつに「子宝脛が細る」(こだからすねがほそる)があります。「脛」(すね)とは、直立する人間の体を支える体の重要な部分です。「子宝脛が細る」は、「子どもは宝のように大切なものだが脛が細くなるほど苦労させられる厄介な存在だ」という意味になります。

\次のページで「「三界の首枷」の対義語は?」を解説!/

「三界の首枷」の対義語は?

次に「三界の首枷」の対義語を見ていきましょう。

 

「千の蔵より子は宝」

「三界の首枷」は多くの場合、子どもという存在に対して使われる言葉でしたね。確かに子どもを育てて独立してからは暖かく見守り、ときには助け船を出すのが親の役目だと言えるかもしれません。子どもを育てるのには莫大な労力がかかると嘆く人もいます。反対の意味となるのかどうかはわかりませんが、生涯、首を抑えられるような思いをして大変な苦労をしたとしても、それでも、なお子どもは何よりも大切だという意味を持つ慣用句もありますね。「千の蔵より子は宝」(せんのくらよりこはたから」です。千の蔵を持つよりも子どもの方が大切だという思いは、家庭を持って子どもができて初めてわかる気持ちなのかもしれませんね。

「三界の首枷」の英訳は?

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次に「三界の首枷」の英訳を見ていきましょう。

「A child is the existence which everlastingly gives his parents hardship and burden」

「三界の首枷」は、過去・現在・未来にわたり自由を束縛するものという意味でしたが、「自由を束縛するもの」をそのまま英訳した場合、「Something to restrict freedom」ということができるでしょう。ここでは、「子は三界の首枷」を英訳してみましょう。「子は三界の首枷」とは親にとって子どもは、いくつになっても、また、どこへ行っても首にかけられた枷のように一生苦労する厄介な存在でありという意味でしたね。そのまま直訳すると「A child is the existence which everlastingly gives his parents hardship and burden.」となります。「こどもは親に苦難と負担を与え続ける存在だ」としてみました。「Hardship」(hάɚdʃìp)は、「苦難」や「辛苦」、「Burden」(bˈɚːdn)は、「負担」や「重荷」のことです。和英辞典で、「三界の首枷」を引いてみると、「A child is an everlasting responsibility to parents」(子とものすることは親に責任のかかるものだ)なども紹介されていますね。

「三界の首枷」を使いこなそう

この記事では、「三界の首枷」(さんかいのくびかせ)の意味や使い方についてみてきました。「三界の首枷」とは、過去・現在・未来にわたり自由を束縛し苦悩させられるものでしたね。その代表的なもののひとつが「子ども」の存在でした。「子ども」が立派に成長するまでに、また成長してからも親は始終、莫大な時間と労力をかけ子どもに向き合っていくものかもしれません。最近では、そんな苦労を背負いこみたくないとして、子どもを持たないことに決めているカップルもいますね。しかし、そんな大変な思いをしてまで子どもを育てるのかというとやはり子どもが可愛いからではないでしょうか。苦労はするのかもしれませんが、子供と一緒に遊び、きちんと育てることにこの上もなく喜びを感じる親も実に多いのです。

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【慣用句】「三界の首枷」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「三界の首枷」について解説する。

端的に言えば三界の首枷の意味は「現在、過去、未来において自由を束縛する物事のこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で7年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「三界の首枷」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な7年目のライター、eastflower。「三界の首枷」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「三界の首枷」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「三界の首枷」(さんかいのかせ)の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「三界の首枷」の意味は?

それでは、まず「三界の首枷」の辞書の意味を見ていきましょう。

1 過去・現在・未来にわたり自由を束縛するもの。また、現世の苦悩のもととなるもの。恩愛の情の類。
2 《「子は三界の首枷」という諺から》子供。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「三界の首枷」

「三界の首枷」(さんかいのくびかせ)の中の「三界」(さんかい)とは、仏教のことばで主に二つの意味で使われる言葉です。ひとつめは、人は「輪廻転生」(りんねてんしょう)していく中で、三つの迷いの世界、具体的には、「欲界」(よくかい)、「色界」(しきかい)、無色界(むしょくかい)という「迷いの世界」を体験するという意味になります。もうひとつは、「過去・現在・未来の自由を束縛するもの」という意味です。一方、「三界の首枷」の「首枷」(くびかせ)とは、「罪人の首や手足にはめて自由を拘束するための刑具(けいぐ)のこと」でしたが、転じて、人間の行動を拘束する邪魔なものの例として使われるようになりました。

ですから、「三界の首枷」は辞書で説明されているとおり、「過去・現在・未来にわたり自由を束縛するもの」という意味なのです。「三界の首枷」を含む言葉でもっともよく使われることわざに「子は三界の首枷」(こはさんかいのくびかせ)があります。「子どもはやっかいな存在だ」という認識は昔からあった認識なのかもしれませんね。

「三界の首枷」の語源は?

「三界の首枷」の「三界」とは仏教用語で、仏教が日本に伝来して以来、過去・現在・未来の自由を束縛するものとして理解されてきました。「首枷」の方も起源は古く、奈良時代に書かれた『日本書紀』の中にも首枷の言葉は登場します。その後も首枷は自由を拘束するための刑具(けいぐ)として明治時代まで実際に使われてきたのです。

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