この記事では「罪を着る」について解説する。

端的に言えば罪を着るの意味は「他人の罪を自分の罪として引き受けること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で7年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「罪を着る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な7年目のライター、eastflower。「罪を着る」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「罪を着る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「罪を着る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「罪を着る」の意味は?

まずは、「罪を着る」の辞書の意味を見ていきましょう。

1. 他人の犯罪や失敗などを、自分の罪・責任としてひきうける。

出典: 日本国語大辞典(精選版)「罪を着る」

「罪を着る」(つみをきる)の「罪」(つみ)とは、殺人や窃盗(せっとう)、詐欺(さぎ)を含めて世の中には数えきれないほどの罪があります。辞書では、「罪を着る」は、他人の犯罪や失敗などを、自分の罪・責任としてひきうけることとなっていますが、「失敗」とは、企業などでいえば、例えば、「業績を悪化させた」とか、「賄賂(わいろ)を渡した」とか「不正会計」をしたなど、こちらも世の中に数多くありますね。このような「罪」や「失敗」にあたる行為を実際には自分自身が行ったわけでもないのにその行為を自分の責任として受け、罰を受けることを「罪を着る」というのです。

「罪を着る」の語源は?

次に「罪を着る」の語源を確認しておきましょう。
「罪を着る」の「罪」(つみ)とは、現代社会においては、定められた法律に違反することですが、古来の日本では、「つみ」という言葉は「つつみ」が短縮された言葉だったと言われています。「つみ」とは、現代社会でいう「罪」とは異なり、道徳的な犯罪だけではなく、病気や災い、けがれたものなど人々が嫌うもの、憎むべきものすべての総称のことが「つみ」と言われていたようです。ですから昔であれば「つみを着る」とは、犯罪だけでなく天変地異などが起きた責任まで負うという意味だったのかもしれませんね。

\次のページで「「罪を着る」の使い方・例文」を解説!/

「罪を着る」の使い方・例文

罪を着る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. 「他人の罪を着るケースとは例えばどんな場合があるの?」
「そうだね、例えば、夫の職業がトラック運転手で、家族ドライブに出かけた際に、夫が事故を起こしたとする。そんなとき、助手席の妻が替わって罪を着るという場合なんかあると思うよ。」

2. 「また、代議士の秘書の自殺?」
「議員の収賄(しゅうわい)の罪を着て、自分の一存でお金を受け取ったという筋書きで周りから追い込まれてしまったんじゃないかな?」

現代の社会で考えた場合、近親者の罪を着る場合や組織、例えば、「政治の社会」「企業社会」の上下関係から罪を引き受けなければならない場合などがありますね。

「罪を着る」の類義語は?違いは?

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それでは、「罪を着る」の類義語を見ていきましょう。

 

「濡れ衣を着る」

「罪を着る」は、他人の犯罪や失敗を自分の罪として引き受けるという意味でしたが、類義語のひとつに「濡れ衣を着る」(ぬれぎぬをきる)があります。「濡れ衣を着る」の「濡れ衣」(ぬれぎぬ)とは、文字通り「濡れた着物」という意味でも通じますが、「濡れ衣を着る」という場合、「濡れ衣」とは、「身に覚えのない罪」、あるいは「根拠のないうわさ」という意味になるのです。どうして、「濡れ衣」がこのような意味で使われるようになったのかについては、いくつかの説がありますが、神話の時代の日本では、「濡れた衣服が乾けば無罪、乾かなければ有罪になる」という神事に関わる裁判があったからとも言われていますね。

\次のページで「「罪を着る」の対義語は?」を解説!/

「罪を着る」の対義語は?

次に「罪を着る」の対義語を見ていきましょう。

「疑いを晴らす」

「罪を着る」は、自分が行っていない犯罪や失敗を自分の責任として引き受けることでしたが、対義語は、「自分がやっていないことに対して潔白(けっぱく)を証明する」ということになるでしょう。そんな意味を持つ言葉のひとつに「疑いを晴らす」(うたがいをはらす)があります。多くの人は自分が実際にやっていない犯罪や失敗に対して疑われたら潔白を証明したいと思うのが自然なことだと思いますね。「疑いを晴らす」とは、疑われた誤解に対して、疑った人に対して、事実や真意をわかってもらい、相手の誤った理解を修正することです。

「罪を着る」の英訳は?

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次に「罪を着る」の英訳を見ていきましょう。

「Take the blame」

「罪を着る」を英訳する場合によく使われる表現のひとつに「Take the blame」があります。
「Take the blame」の場合、「blame」(bléɪm)は、「非難」や「罪」、「とがめ」などの意味を持つ名詞として使われていますが、動詞でもよく使われる単語です。「Take」は、中学校のころからおなじみで良くでてくる言葉ですね。「手で取る」「つかむ」などと覚えている人も多いかと思いますが、元々も意味は「自分のところに取り込む」になります。「Take the blame」で「罪や非難を自分のところに取り込む」、つまり、「罪を着る」という意味で使われているのです。

「罪を着る」を使いこなそう

この記事では、「罪を着る」の意味や使い方を見てきました。「罪を着る」は、他人の罪や責任をを自身の罪として引き受けることでしたね。正論で言えば「親子や近親者の関係であっても自分の罪や責任は自分自身で負うべき」であるかもしれません。しかし、上下関係や社会の中の強者、弱者の関係から「罪を着る」という事件はこれからも起きることでしょう。なぜならば、人間には感情があり、大切なものを守りたいという気持ちがあるからです。「罪を着る」という行為は人間らしい行為のひとつだと言えるのかもしれませんね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「罪を着る」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「罪を着る」について解説する。

端的に言えば罪を着るの意味は「他人の罪を自分の罪として引き受けること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で7年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「罪を着る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な7年目のライター、eastflower。「罪を着る」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「罪を着る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「罪を着る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「罪を着る」の意味は?

まずは、「罪を着る」の辞書の意味を見ていきましょう。

1. 他人の犯罪や失敗などを、自分の罪・責任としてひきうける。

出典: 日本国語大辞典(精選版)「罪を着る」

「罪を着る」(つみをきる)の「罪」(つみ)とは、殺人や窃盗(せっとう)、詐欺(さぎ)を含めて世の中には数えきれないほどの罪があります。辞書では、「罪を着る」は、他人の犯罪や失敗などを、自分の罪・責任としてひきうけることとなっていますが、「失敗」とは、企業などでいえば、例えば、「業績を悪化させた」とか、「賄賂(わいろ)を渡した」とか「不正会計」をしたなど、こちらも世の中に数多くありますね。このような「罪」や「失敗」にあたる行為を実際には自分自身が行ったわけでもないのにその行為を自分の責任として受け、罰を受けることを「罪を着る」というのです。

「罪を着る」の語源は?

次に「罪を着る」の語源を確認しておきましょう。
「罪を着る」の「罪」(つみ)とは、現代社会においては、定められた法律に違反することですが、古来の日本では、「つみ」という言葉は「つつみ」が短縮された言葉だったと言われています。「つみ」とは、現代社会でいう「罪」とは異なり、道徳的な犯罪だけではなく、病気や災い、けがれたものなど人々が嫌うもの、憎むべきものすべての総称のことが「つみ」と言われていたようです。ですから昔であれば「つみを着る」とは、犯罪だけでなく天変地異などが起きた責任まで負うという意味だったのかもしれませんね。

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