今回は卵を使った自由研究のテーマを見ていこう。卵は、お酢に溶けたり、熱で固まったり、実に様々な性質がある。その性質を活かして、ぷよぷよな不思議な卵や黄身と白身が逆転した卵を作ってみよう。学生時代、獣医学部で動物のことを勉強していたライターみんちが解説してくぞ。

ライター/みんち

学生時代、獣医学部で動物の知識を学んだ。趣味は動物園巡り。ライターとして、初心者にもわかりやすく、質のある情報を提供できるよう、日々奮闘中。

卵を使って自由研究しよう

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冷蔵庫を開ければきっとどの家庭にもあるであろう卵。今回はそんな卵を使った簡単な自由研究のテーマを紹介していきましょう。

1:ぷよぷよなスケルトン卵を作ろう

卵を使った自由研究で有名なものにスケルトン卵を作る実験がありますよ。なんと、卵をお酢につけておくだけで、半透明でぷよぷよな卵ができあがるんです!早速作り方をみていきましょう。

スケルトン卵の作り方は?

まずは卵とお酢500mL程度を用意しましょう。実験がうまくいくように、あらかじめ卵の表面の汚れを落としておくといいですよ。

容器には、観察しやすいように透明なびんがおすすめです。実験が成功すれば、卵は少し大きくなるため、卵の出し入れがしやすいように、十分に口が広いびんだといいですよ。

びんの中に、卵が浸るくらいまでお酢をいれたら準備完了です。卵を入れたとたんに、ぶくぶくと勢いよく泡が出てくるんですよ。びんにふたをしてしまうと破裂してしまう可能性があり危険なので、キッチンペーパーや紙などをフタ代わりにしておくと安心ですね。

時間の経過とともに殻が溶けていく様子や、泡の立ち方などを観察しておきましょう。写真などを撮ってもいいですね。

2、3日たつと殻が溶けきって半透明の卵になります。びんから出して、卵を観察してみましょう。もし、殻がまだついているようなら優しく剝いても大丈夫です。黒い画用紙の上において撮影すると卵の透け具合がわかりやすくなりますよ。

観察するときのポイントは殻の様子、卵の大きさの変化など。

完成した卵は、硬い殻がなくなって、薄い膜の中に卵の本体があるような状態になっています。また、お酢につけていない卵と比較すると少し大きく膨らんでいるように見えますよ。どうしてこのような状態になったのか考察してみましょう。

\次のページで「泡の正体は二酸化炭素!」を解説!/

泡の正体は二酸化炭素!

卵をお酢に入れるとしゅわしゅわと泡を出すのはなぜでしょう?

まず、卵の殻と白身の間には卵角膜と呼ばれる薄い膜があるのをご存じでしょうか?ゆで卵のカラを向いた時、一緒にはがれてくるあの膜です。

卵の殻は炭酸カルシウム(CaCO3)でできており、お酢(CH3COOH)に溶ける性質があります。しかし卵角膜はタンパク質からできているためお酢には溶けないんですよ。そのため、殻だけがお酢に溶け、内側の卵角膜だけで包まれた半透明の卵ができるんですね。

CaCO3+2CH3COOH→(CH3COO)2Ca+H2O+CO2

上の化学反応式を見ると、炭酸カルシウム(殻)と酢酸(お酢)が反応すると水と二酸化炭素が生成されることがわかりますね。つまり、二酸化炭素が泡となって出ていたんですね。

スケルトン卵に塩やしょうゆ、さとうなどをかけてみるとさらに実験が深まりますよ。

2:ゆで卵が固まるのはなぜだろう?

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次のテーマはゆで卵を作る実験です。ゆでる時間によって、ゆで卵の硬さが変わるのはなぜなのでしょうか?この実験ではその謎を解いていきますよ。

まずは卵を4つ用意しましょう。そして、油性マジックペンでそれぞれの卵に5分、8分、10分、15分と書いておきます。卵が水にしっかり漬かるように鍋に水を入れたら、中火にかけて沸騰させましょう。

沸騰したら弱火にして、タイマーで時間を図り始め、時間になった卵から順に取り出していき、水を張ったボウルに入れてよく冷ましてから皮をむきます。剝き終わった卵の硬さや、白身と黄身の色や火の通り具合などをそれぞれ見比べてみましょう。

タンパク質は熱で固まるため

ゆで時間が短い卵は、中身が半熟だったり、黄身がまだ柔らかい状態だったりしますよね。一方で、長い時間ゆでていた卵は黄身が黄色っぽくて固めに仕上がっていますよね。なぜこのような違いが生まれるのでしょうか?

これは熱凝固性(ねつぎょうこせい)とよばれるタンパク質が熱で固まる性質が関係しています。タンパク質は、私たちヒトを含め生き物の身体を構成する物質。肉や魚はぶよぶよしていて水分が多いですが、煮たり焼いたりすると硬くなりますよね。卵もタンパク質でできているため、ゆでると硬くなるんですね。

ゆでる時間が短いと半熟になるのは、中まで十分に熱が伝わらず、内部の温度が上昇していないからだったんです。ふつう、卵の白身は55~57℃で白く濁ってきて、57~58℃で固まり始め、80℃で完全に固まります。黄身も70℃になれば完全に固まりますよ。5分、8分の卵の黄身は70℃になっていなかったため、固まらなかったのですね。

温泉卵も同じ仕組みでできている

この白身と黄身の間で固まる温度に差があることを利用したのが温泉卵なんですよ。温泉卵といえば、黄身は十分に固まり切っていない柔らかさなのに、白身はトロトロしているのが特徴ですよね。

温泉卵は卵を70℃くらいのお湯に30分ほどつけておくとできあがるんですよ。これは、白身と黄身の固まる温度の違いを利用して作られているんですね。

3:黄身と白身が逆転した卵を作ろう!

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普通、卵は外側に白身があって中に黄身がありますよね。しかし、卵にある仕掛けをすれば、黄身と白身が反対になった卵を作ることができるんですよ。

まずは、生卵をセロハンテープでぐるぐる巻きにしましょう。このとき、すき間がないようにすることがポイントです。それから卵をストッキングの中に入れ、片側をしばったらもう片側は針金などで止めておきましょう。卵が真ん中にくるようにストッキングの両端を待ったらストッキングごとぐるぐる回して真横に引っ張ってみましょう

ある程度回してから卵を取り出したら、卵をゆでます。このとき、懐中電灯で卵の下から光を当てて、卵の中が暗くなっていることを確認しておきましょう。セロハンテープは貼ったままで大丈夫ですよ。

15分ほどゆで終わったら、殻を剥いて半分に切ってみましょう。黄身と白身が反対になった逆転たまごの完成ですよ。

\次のページで「黄身の方が重いためできる」を解説!/

黄身の方が重いためできる

ストッキングの中でぐるぐる回しただけで、なぜ黄身と白身が反対になるのでしょうか?

これには遠心力が関係しています。遠心力は物質が重いほど力ははたらきますね。卵の中では、白身よりも黄身の方が重いため、黄身の方が遠心力がはたらきます。そのため、黄身が外側にいき、白身が内側に移動してきたんですね。

4:卵の殻でフッ素の効果を確かめよう

4:卵の殻でフッ素の効果を確かめよう

image by Study-Z編集部

よく歯磨き粉に「フッ素配合」と書かれているのを見たことがありませんか?フッ素とはどんな効果があるのか、卵を使って調べてみましょう。

まずは、卵の真ん中に油性マジックで線を引き、半分に〇、もう半分に×をかきます。〇をかいた方にはフッ素入りの歯磨き粉を塗り、×の方にはなにもしません。濡らしたキッチンペーパーにくるんで半日ほどおいておきましょう。

歯磨き粉を拭き取ったら、2倍に薄めたお酢に卵を入れて様子を観察してみましょう。〇では何も起こりませんが、×ではぶくぶくと泡が出てきて殻が溶けていくでしょう。

フッ素は虫歯予防に大切

フッ素を塗った側では何も起きず、フッ素を塗らない方では泡が発生したのはなぜでしょうか。

普通、卵の殻はお酢に溶ける性質があります、しかし、フッ素を塗った方では、フッ素がコーティング剤の役割を果たしてくれたおかげで殻が守られていたんですね。虫歯は細菌によって歯が溶かされることでおきます。歯を守るためにも、フッ素は効果的であることが確かめられますね。

卵は身近な実験材料!

ここまで読んでいただきありがとうございました。

今回は卵を使った自由研究のテーマを4つ紹介してきましたね。スケルトン卵の作成や、ゆで卵の実験、遠心力を使った逆転たまごなど、さまざまなテーマがありましたね。何か興味のあるテーマは見つけられたでしょうか?卵はお酢に溶ける性質や、熱によって固まる性質など実にさまざま特徴があります。そのため、色々な切り口から実験に挑戦できる、身近な実験材料ともいえますね。どれも簡単な実験ばかりなので、ぜひ親子で挑戦してみてくださいね。

画像使用元:いらすとや

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卵に関する自由研究のテーマ!スケルトン卵や黄金返し、フッ素の実験について理系ライターがわかりやすく解説!

泡の正体は二酸化炭素!

卵をお酢に入れるとしゅわしゅわと泡を出すのはなぜでしょう?

まず、卵の殻と白身の間には卵角膜と呼ばれる薄い膜があるのをご存じでしょうか?ゆで卵のカラを向いた時、一緒にはがれてくるあの膜です。

卵の殻は炭酸カルシウム(CaCO3)でできており、お酢(CH3COOH)に溶ける性質があります。しかし卵角膜はタンパク質からできているためお酢には溶けないんですよ。そのため、殻だけがお酢に溶け、内側の卵角膜だけで包まれた半透明の卵ができるんですね。

CaCO3+2CH3COOH→(CH3COO)2Ca+H2O+CO2

上の化学反応式を見ると、炭酸カルシウム(殻)と酢酸(お酢)が反応すると水と二酸化炭素が生成されることがわかりますね。つまり、二酸化炭素が泡となって出ていたんですね。

スケルトン卵に塩やしょうゆ、さとうなどをかけてみるとさらに実験が深まりますよ。

2:ゆで卵が固まるのはなぜだろう?

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次のテーマはゆで卵を作る実験です。ゆでる時間によって、ゆで卵の硬さが変わるのはなぜなのでしょうか?この実験ではその謎を解いていきますよ。

まずは卵を4つ用意しましょう。そして、油性マジックペンでそれぞれの卵に5分、8分、10分、15分と書いておきます。卵が水にしっかり漬かるように鍋に水を入れたら、中火にかけて沸騰させましょう。

沸騰したら弱火にして、タイマーで時間を図り始め、時間になった卵から順に取り出していき、水を張ったボウルに入れてよく冷ましてから皮をむきます。剝き終わった卵の硬さや、白身と黄身の色や火の通り具合などをそれぞれ見比べてみましょう。

タンパク質は熱で固まるため

ゆで時間が短い卵は、中身が半熟だったり、黄身がまだ柔らかい状態だったりしますよね。一方で、長い時間ゆでていた卵は黄身が黄色っぽくて固めに仕上がっていますよね。なぜこのような違いが生まれるのでしょうか?

これは熱凝固性(ねつぎょうこせい)とよばれるタンパク質が熱で固まる性質が関係しています。タンパク質は、私たちヒトを含め生き物の身体を構成する物質。肉や魚はぶよぶよしていて水分が多いですが、煮たり焼いたりすると硬くなりますよね。卵もタンパク質でできているため、ゆでると硬くなるんですね。

ゆでる時間が短いと半熟になるのは、中まで十分に熱が伝わらず、内部の温度が上昇していないからだったんです。ふつう、卵の白身は55~57℃で白く濁ってきて、57~58℃で固まり始め、80℃で完全に固まります。黄身も70℃になれば完全に固まりますよ。5分、8分の卵の黄身は70℃になっていなかったため、固まらなかったのですね。

温泉卵も同じ仕組みでできている

この白身と黄身の間で固まる温度に差があることを利用したのが温泉卵なんですよ。温泉卵といえば、黄身は十分に固まり切っていない柔らかさなのに、白身はトロトロしているのが特徴ですよね。

温泉卵は卵を70℃くらいのお湯に30分ほどつけておくとできあがるんですよ。これは、白身と黄身の固まる温度の違いを利用して作られているんですね。

3:黄身と白身が逆転した卵を作ろう!

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普通、卵は外側に白身があって中に黄身がありますよね。しかし、卵にある仕掛けをすれば、黄身と白身が反対になった卵を作ることができるんですよ。

まずは、生卵をセロハンテープでぐるぐる巻きにしましょう。このとき、すき間がないようにすることがポイントです。それから卵をストッキングの中に入れ、片側をしばったらもう片側は針金などで止めておきましょう。卵が真ん中にくるようにストッキングの両端を待ったらストッキングごとぐるぐる回して真横に引っ張ってみましょう

ある程度回してから卵を取り出したら、卵をゆでます。このとき、懐中電灯で卵の下から光を当てて、卵の中が暗くなっていることを確認しておきましょう。セロハンテープは貼ったままで大丈夫ですよ。

15分ほどゆで終わったら、殻を剥いて半分に切ってみましょう。黄身と白身が反対になった逆転たまごの完成ですよ。

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