この記事では「彼も人なり予も人なり」について解説する。

端的に言えば彼も人なり予も人なりの意味は「人にできて自分にできないことはない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で7年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「彼も人なり予も人なり」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な7年目のライター、eastflower。「彼も人なり予も人なり」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「彼も人なり予も人なり」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「彼も人なり予も人なり」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「彼も人なり予も人なり」の意味は?

「彼も人なり予も人なり」には、次のような意味があります。まずは、国語辞典の意味を見ていきましょう。

1. 同じ人間なのだから、他人にできて自分にできないことなどない、ということ。自分の奮起をうながす場合や、自分の権利を主張する場合などに用いることば。

出典:故事成語を知る辞典(コトバンク)「彼も人なり、我も人なり」

「彼も人なり予も人なり」(かれもひとなりわれもひとなり)は、中国から日本に伝えられた成語(せいご)だと言われています。「成語」とは、古(いにしえ)より、中国で言われてきた言葉の中で、後人によく引用される語句のことで、日本で言うことわざのことです。「彼も人なり予も人なり」の「予」(われ)は、「我」(われ)と置き換えられて「彼も人なり我も人なり」と書かれることがありますがどちらも同じ意味になります。「彼も人なり予も人なり」の意味は、辞書で説明されているとおり、「他人にできて自分にできないことなどない」と自分を励ます場合に使われる言葉であると共に、自分の権利を主張する場合にも使われることばです。

「彼も人なり予も人なり」の語源は?

次に「彼も人なり予も人なり」の語源を確認しておきましょう。
「彼も人なり予も人なり」は、中国の唐の時代に詩人にして哲学者であった韓愈(かんゆ)(西暦768-824)によって書かれた文章の一節にでてきます。韓愈は、貴族の出身ではありませんでしたが、歴史上最も難しい試験だったとも言われる「科挙」(かきょ)の試験に24歳で合格し、官吏の道をすすむ中で、文人として高い評価を受けた人物です。科挙の試験に合格するには、莫大な時間と努力を要し、当然、試験に合格するまでの財力も必要になりますが、貴族でない一般家庭の出身でありながら、科挙の試験に合格した韓愈には自分にできないことはないと思える自信と実力があったのかもしれませんね。

\次のページで「「彼も人なり予も人なり」の使い方・例文」を解説!/

「彼も人なり予も人なり」の使い方・例文

彼も人なり予も人なり」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

1. 「君が過去にどのような失敗をしてきたのかは知らないけれど、他の人の多くがやれているのだから君もやれるはずよ。彼も人なり予も人なりということわざもあるわ。やる前からあきらめずにまず、やってみなさい。」

2. 「政府が言うように同一労働、同一賃金の考え方も取り入れる必要があるかもしれないな。彼も人なり予も人なりと言われるとおり、同じ仕事をこなせるのに一方が年功序列制度で倍の給料をもらい、片方は半分とは確かに不平等すぎるように思う。」

「彼も人なり予も人なり」は、自分自身を励ますだけでなく、他人を励ますのにもよい言葉であるかもしれません。また、権利を主張する際にも使える言葉なのです。

「彼も人なり予も人なり」の類義語は?違いは?

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それでは、「彼も人なり予も人なり」の類義語を見ていきましょう。

 

「一念天に通ず」

「彼も人なり予も人なり」は、「すばらしいことを成し遂げている人も私も同じ人間であるのだから、他人にできて自分にはできないことはない」という意味でしたね。「彼も人なり予も人なり」と同じように「一心にものごとを成し遂げようとするのであれば達成できる」という意味を表す慣用句に「一念天に通ず」(いちねんてんにつうず)があります「一念天に通ず」の「一念」(いちねん)とは、「ひたすら心に深く思いこむこと」で、「一念天に通ず」とは、全体で「深く思い努力することで成功する」という考え方なのです。

\次のページで「「彼も人なり予も人なり」の対義語は?」を解説!/

「彼も人なり予も人なり」の対義語は?

次に「彼も人なり予も人なり」の対義語を見ていきましょう。

「平家にあらずんば人にあらず」

「彼も人なり予も人なり」は、「同じ人間である以上、他人にできて自分にできないことはない」という意味でしたが、万人が平等で自由である社会ではこの考え方も広く受け入れられるでしょう。しかし、歴史を振り返ると「彼も人なり予も人なり」など考えられない封建的な時代が日本にもありました。

日本初の武士として全国を統一し、政治・経済すべての権力を手中に収めた人物、平清盛(たいらのきよもり)(1118~1181)の時代です。一代で繁栄を築き上げた清盛は、自身の娘を天皇に嫁がせ、娘から生まれた子どもが後に天皇となり、清盛は天皇の祖父にもなりました。「平家物語」には、清盛の義理の弟である平時忠(たいらのときただ)が、次のように話したと言われています。「平家にあらずんば人にあらず」(へいけにあらずんばひとにあらず)と。この言葉をそのまま解釈すると「平家出身でない者は人ではない」となり、「他人にできて自分にできないことなどない」という希望など持てない時代もあったのです。もっとも、平時忠が言いたかったのは、そんな極端なことではなく「宮中に入れたとしても平家出身者でなければ出世などできない」と言いたかったのではという説もありますが、いずれにしても、平家の「おごり」を感じさせる言葉ですよね。

「彼も人なり予も人なり」の英訳は?

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次に「彼も人なり予も人なり」の英訳を見ていきましょう。

「Whatsoever things common to man, that man has done, man can do」

「彼も人なり予も人なり」は、同じ人間なのだから、他人にできて自分にできないことなどないという意味でしたが、英語圏でも同じような意味で次のように語った人がいました。

「Whatsoever things common to man, that man has done, man can do.」です。この文の「whatsoever」((h)wὰtsoʊévɚ)とは、「whatever」の強調で、前半分の「Whatsoever things common to man」は、「人間に共通することはなんでも」という意味になります。後半部の「that man has done, man can do.」は、「かって人が成し遂げたことがあることは現在の人間でもできる」という意味になるわけです。この言葉を発したのは、ジャマイカの国民的な英雄で、黒人民族主義の指導者にしてジャーナリストでもあり企業家でもあったマーカス・ガーベイによってでした。ガーベイは、世界黒人開発協会アフリカ会連合(UNIA-ACL)の創設者としても広く知られています。

「彼も人なり予も人なり」を使いこなそう

「彼も人なり予も人なり」は、「同じ人間である以上、他人にできて自分にできないことはない」という意味でしたね。心がくじけそうなとき、頑張っていてもなかなかゴールが見えてこないときなど、自分を励ます必要があるときに勇気を与えてくれる言葉かもしれませんね。ただ、人には、「得意、不得意」があるため、すべてのことに対して、やみくもに頑張り続けるのではなく、自分の能力を分析した上で向いていると思われることがらに立ち向かっていく方が効果的かもしれませんね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「彼も人なり予も人なり」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「彼も人なり予も人なり」について解説する。

端的に言えば彼も人なり予も人なりの意味は「人にできて自分にできないことはない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で7年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「彼も人なり予も人なり」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な7年目のライター、eastflower。「彼も人なり予も人なり」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「彼も人なり予も人なり」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「彼も人なり予も人なり」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「彼も人なり予も人なり」の意味は?

「彼も人なり予も人なり」には、次のような意味があります。まずは、国語辞典の意味を見ていきましょう。

1. 同じ人間なのだから、他人にできて自分にできないことなどない、ということ。自分の奮起をうながす場合や、自分の権利を主張する場合などに用いることば。

出典:故事成語を知る辞典(コトバンク)「彼も人なり、我も人なり」

「彼も人なり予も人なり」(かれもひとなりわれもひとなり)は、中国から日本に伝えられた成語(せいご)だと言われています。「成語」とは、古(いにしえ)より、中国で言われてきた言葉の中で、後人によく引用される語句のことで、日本で言うことわざのことです。「彼も人なり予も人なり」の「予」(われ)は、「我」(われ)と置き換えられて「彼も人なり我も人なり」と書かれることがありますがどちらも同じ意味になります。「彼も人なり予も人なり」の意味は、辞書で説明されているとおり、「他人にできて自分にできないことなどない」と自分を励ます場合に使われる言葉であると共に、自分の権利を主張する場合にも使われることばです。

「彼も人なり予も人なり」の語源は?

次に「彼も人なり予も人なり」の語源を確認しておきましょう。
「彼も人なり予も人なり」は、中国の唐の時代に詩人にして哲学者であった韓愈(かんゆ)(西暦768-824)によって書かれた文章の一節にでてきます。韓愈は、貴族の出身ではありませんでしたが、歴史上最も難しい試験だったとも言われる「科挙」(かきょ)の試験に24歳で合格し、官吏の道をすすむ中で、文人として高い評価を受けた人物です。科挙の試験に合格するには、莫大な時間と努力を要し、当然、試験に合格するまでの財力も必要になりますが、貴族でない一般家庭の出身でありながら、科挙の試験に合格した韓愈には自分にできないことはないと思える自信と実力があったのかもしれませんね。

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