10分でわかる「ワーキングプア」定義や背景・その実態は?現役大学院生がわかりやすく解説
求職者支援制度とは
ここでは国によって2011年から開始された求職者支援制度について紹介します。求職者支援制度とは、職業訓練による技能習得を通して正社員としての就職を目指す制度です。対象となるのは雇用保険を受給できない人で就職を希望している人。主に、前に勤めていた会社で雇用保険に加入していなかった人・再就職先が見つからない間に雇用保険の受給期間が過ぎてしまった人・入社後 1年未満で退職した人・就労経験がない人が対象となります。
以下は、職業訓練中に受けることができる手当です。
・雇用保険の失業給付
雇用保険の受給資格がある・受給中の人は失業給付が支給される。
・職業訓練受講給付金
雇用保険の受給資格がない人(前に勤めていた会社で雇用保険に加入していなかった人)が対象で、一定の条件を満たせば支給される。
・訓練手当
雇用保険の受給資格がない・障がいがある人、母子家庭の母などで一定の要件を満たせば、支給される。
ワーキングプアによる孤立を生まないために
今回は、ワーキングプアについて取り上げ、この問題が生み出された社会背景・実態・支援策に絞って説明しました。新型コロナウィルスの感染拡大により、経済活動が大きく制限される中、非正規雇用の人はとくにシフトカットが相次ぎ、その多くが生活困窮に追いやられました。
今回のような社会的危機で真っ先に影響を受けるのは、社会の中で最も弱い立場の労働者です。ワーキングプアは、貧困から抜け出せず、安定した生活が送れないため、経済的な自立が困難になるだけでなく、結婚など将来の人生展望も描けないこととも結びついています。さらに、ひとり親家庭の母親の場合は、子どもに十分な進学費用を捻出することができず、貧困が次世代にも連鎖することも多く指摘されているのが現状です。
政府による支援を活用しつつ、社会から孤立化しないよう、社会が共助することが必要となるのではないでしょうか。