理科環境と生物の反応生き物・植物生物

雌性先熟とは?自分の遺伝子をより多く残すために生物がとる戦略について農学部卒ライターが徹底わかりやすく解説!

カクレクマノミ

カクレクマノミ

image by Study-Z編集部

雄性先熟を行う代表例として、カクレクマノミをあげて説明していきます。イソギンチャクで暮らしているカクレクマノミは、外敵から狙われる可能性があるため、イソギンチャクの外には出たくありません。しかしそれでは、自分が住んでいるイソギンチャクに相手がいなければ繁殖をすることができないですよね?そこで、自分が暮らすイソギンチャクの中にいる相手と繁殖をすることでより多くの子孫を残す方法を考えました。それが、繁殖能力の高い個体に子供をたくさん産んでもらうという方法です。繁殖能力が高い個体とは体が大きい個体のことなので、1つのイソギンチャクの中にいるカクレクマノミで1番体が大きい個体がメスへと性転換します。

もし、性転換をせず体が小さいときにメスでいたとしたら、仮にオスと繁殖できたとしても体の大きいメスに比べて産める卵の数は少なくなるでしょう。よって、体が小さいときにメスでいることは最適な方法とは言えません。その後、成長して体が大きくなると繁殖能力が高まるので多くの卵を産むことができるようになります。

1回の繁殖で体の大きなメスは卵を5個、体の小さなメスは卵を2個作ることができ、かつ自分がオスの時とメスの時それぞれで1回ずつ繁殖を行うとしましょう。そうすると、性転換をした場合(図の左側の場合)は自分の遺伝子が入った受精卵を計10個作ることができます。逆に、性転換をしない場合(図の右側の場合)は自分の遺伝子が入った受精卵を計7個しか作ることができません。このように、オスの体の大きさが繁殖機会に影響せず、メスの繁殖能力が繁殖に影響する場合に雄性先熟は有効になります。

双方向性転換

双方向性転換とは、オスメスどちらにも何回でも性転換できることです。

ホンソメワケベラ

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双方向性転換の例として、ここではホンソメワケベラについて解説しますね。ホンソメワケベラの体の小さいオスはなわばり争いで負けてしまうので、体が小さいときはメスとしてハーレムを作っているオスと繁殖をします。そして、そのハーレムのオスがほかの魚に食べられるなどしていなくなった場合、そのハーレムの中で一番大きなメスがオスへと性転換するのです。その後オスになった個体が何らかの理由でこれまでいたハーレムを離れ別のハーレムに入った時、そこに自分より大きなオスがいた場合は、またメスに性転換します。

雌性先熟は本当に最善の戦略なのか

今回は性転換をする魚について学習してきました。性転換をする生物の中で一番多く発見されている雌性先熟とわずかしか発見されていない双方向性転換。双方向性転換と分かった種の多くは雌性先熟だと思われていたものだったということから、雌性先熟とされている生物はすべて双方向性転換をするかもしれないと私は考えました。ライバルが多い環境でオスやメスのどちらにでも自由に変われることは、自分の遺伝子をより多く残すという目的のために重要なことです。性転換はできませんが、私たち人間においても2つの選択肢のどちらにも柔軟に対応できるというのは大切なことなのかもしれませんね。

イラスト使用元:いらすとや

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