今回は「チョコレートの銀紙」をテーマに学んでいきます。

チョコレート好きの君は、1度は板チョコを食べたことがあるでしょう。その時に、透明な袋に入ったお菓子もあるのに、なぜ板チョコは銀紙で包装しているのか不思議に思わなかったでしょうか?実は、その銀紙は食品包装に革命をもたらしたと言ってもよいアルミ箔なんです。では、なぜチョコレートの包装にアルミ箔が利用されるのか?アルミニウムの特性から学習していこう。

高校・大学にて化学も専攻していたチョコレート大好きライター園(その)と一緒に解説していきます。

ライター/園(その)

数学は苦手だけれど、生物と化学が得意な国立大学農学部卒業の元リケジョ。動物の中でも特に犬が好きで、趣味は愛犬をモフること。分かりやすく面白い情報を発信していく。

チョコレートの銀紙はアルミ箔

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板チョコの包装に使われている銀紙の正体は、アルミ箔に紙をはりつけたもの。アルミ箔とはアルミニウムを薄く伸ばしたもののことです。

アルミニウムとは

アルミニウムとは銀白色の金属で、電気をよく通す・リサイクルしやすいなど様々な特性があり、私たちの生活に欠かせないものになっています。

アルミニウムの6つの特性

アルミニウムには多くの特性がありますが、ここではチョコレートの銀紙に使われている理由を考えるうえで重要な特性だけを紹介しますね。


  1. きれい

  2. 加工しやすい

  3. 毒性がない

  4. 耐食性がある

  5. 光や熱を反射する

  6. 水分や気体を通しにくい

チョコレートの成分

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銀紙で包装されているチョコレートの基本的な成分も知っておきましょう。一般的なチョコレートは、主に以下に示すものからできています。

\次のページで「アルミニウムの特性とチョコレートの成分から考えるアルミ箔の利点」を解説!/

・カカオマス…チョコレートの主原料で、焙煎したカカオ豆から分離したカカオ豆の胚乳部(カカオニブ)をすりつぶすと液体状のカカオリカーができる。それを、加工しやすいように固体化させたもの。

・ココアバター…カカオリカーを搾油してできるカカオ豆の油脂分。

・砂糖…カカオマスだけでは苦いので、甘さを加えるために使われる。

アルミニウムの特性とチョコレートの成分から考えるアルミ箔の利点

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それでは、チョコレートの銀紙にアルミ箔が使われている理由を解説していきます。それを一言でいうと、「チョコレートの品質を守るため」です。

1. きれい

銀白色のアルミ箔はきれいですよね?もし、アルミニウムが銅のような茶色だったなら、ここまでチョコレート包装に利用されていなかったかもしれません。

2. 加工しやすい

アルミニウムは、柔らかく伸びやすい性質があります。そのため、アルミ箔のように薄く加工することができるのです。

3. 毒性がない

アルミニウムは無味・無臭で無害なので、万が一チョコレートと一緒に体の中に入っても重金属のように健康を害することはありません。

\次のページで「4. 耐食性がある」を解説!/

4. 耐食性がある

アルミニウムは、空気に触れると自然に酸素と結合して酸化被膜を作ります。これが、金属を腐食から守る効果があるのです。もし銀紙が腐食(いわゆるさび)しやすい物質だったなら、包装が破けやすくなったり、チョコレートの味を落としたりしたでしょう。

また、何もしなくても酸化被膜ができるというのは利点なのですが、自然にできる酸化被膜は非常に薄いため腐食してしまうこともあります。そこで、アルマイトと呼ばれる人工的に被膜を厚くして耐食性を高める処理方法が開発されました。

5. 光や熱を反射する

5. 光や熱を反射する

image by Study-Z編集部

純度が高いアルミニウムは、赤外線や紫外線などの光や輻射熱(離れたところにある温度の高いものから温度の低いものに伝わる熱のこと)をよく反射します

銀紙のついたチョコレートを触ると、手の熱が伝わって溶けてしまいますよね。これは、熱伝導性が良いアルミニウムの特性によるものです。ですが、直接触れていない太陽からの熱などの輻射熱は反射するので、銀紙包装はチョコレートを溶けにくくします。

6. 水分や気体を通しにくい

アルミニウムは水分を通しにくい(防湿性)。チョコレートのみならず、食品は湿度が高い場所で保存されるとカビが生えやすくなります。

さらに、気体を通しにくい(非通気性)。チョコレートを冷蔵庫で保存したことがある人は分かるかもしれませんが、チョコレートは他のものの匂いがつきやすいです。せっかく美味しいチョコレートを食べているのに、冷蔵庫の中の匂いがしたら残念ですよね?そこで、アルミニウムの非通気性が発揮されます。また、銀紙包装より外の匂いがつきにくいということは、銀紙包装の中のチョコレートの香りは外に出て行きにくいということです。したがってチョコレートの銀紙は、周りの匂いがつきにくく、リラックス効果もあるチョコレートの匂いを閉じ込めておく役割があります。

\次のページで「アルミ箔ではなく透明な袋を使うことも」を解説!/

アルミ箔ではなく透明な袋を使うことも

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これまでアルミ箔について説明してきましたが、洋菓子店やチョコレート専門店では透明な袋を使っていることもあります。考えられる2つのメリットを考えていきましょう。

きれいな商品を見せられる

有名なお菓子メーカーが販売する板チョコはとてもシンプルで、中を見せても見せなくてもそれほど売り上げにはつながらないかもしれません。しかし、チョコレート専門店などでは目で見て楽しい、カラフルできれいなチョコレートがたくさんあるのです。そのような商品は、銀紙で包むのではなく透明な袋に入れて中を見せることで、消費者の購買意欲を駆り立てると考えられます。

品質を確認できる

チョコレートは時間がたつと品質が変わってしまうことがあるというのは、これまで説明した通りです。そして、その変化は銀紙で包装してしまうと、銀紙をはがして見なければ確認できません。透明な袋に入れて店頭に並べることで、消費者が商品を選ぶ際にチョコレートの品質を自身の目でチェックできます。

チョコレートの銀紙にはさまざまな役割があった

1878年ごろからチョコレートの販売が開始されましたが、その当時はアルミ箔ではなくすず箔が使われていました。ですが、すず箔ではチョコレートに金属臭がうつるなどの問題点もあり、1935年ごろにチョコレートの銀紙はアルミ箔になったそうです。

アルミニウムは、無害・遮光性・遮熱性・防湿性・非通気性など食品を包装するうえでの利点がたくさんあります。

アルミ箔の利点を学習したあなた。もし、手作りのチョコレート菓子を作ったなら、透明な袋で見栄えを重視してもいいですが、アルミ箔で包むと作った時の品質を落とさずにプレゼントできるかもしれませんね。

イラスト使用元:いらすとや

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化学理科食べ物・飲み物

チョコレートの銀紙はアルミ箔!アルミニウムの特性から考えるアルミ箔の利点を農学部卒ライターが徹底わかりやすく解説!

今回は「チョコレートの銀紙」をテーマに学んでいきます。

チョコレート好きの君は、1度は板チョコを食べたことがあるでしょう。その時に、透明な袋に入ったお菓子もあるのに、なぜ板チョコは銀紙で包装しているのか不思議に思わなかったでしょうか?実は、その銀紙は食品包装に革命をもたらしたと言ってもよいアルミ箔なんです。では、なぜチョコレートの包装にアルミ箔が利用されるのか?アルミニウムの特性から学習していこう。

高校・大学にて化学も専攻していたチョコレート大好きライター園(その)と一緒に解説していきます。

ライター/園(その)

数学は苦手だけれど、生物と化学が得意な国立大学農学部卒業の元リケジョ。動物の中でも特に犬が好きで、趣味は愛犬をモフること。分かりやすく面白い情報を発信していく。

チョコレートの銀紙はアルミ箔

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板チョコの包装に使われている銀紙の正体は、アルミ箔に紙をはりつけたもの。アルミ箔とはアルミニウムを薄く伸ばしたもののことです。

アルミニウムとは

アルミニウムとは銀白色の金属で、電気をよく通す・リサイクルしやすいなど様々な特性があり、私たちの生活に欠かせないものになっています。

アルミニウムの6つの特性

アルミニウムには多くの特性がありますが、ここではチョコレートの銀紙に使われている理由を考えるうえで重要な特性だけを紹介しますね。


  1. きれい

  2. 加工しやすい

  3. 毒性がない

  4. 耐食性がある

  5. 光や熱を反射する

  6. 水分や気体を通しにくい

チョコレートの成分

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銀紙で包装されているチョコレートの基本的な成分も知っておきましょう。一般的なチョコレートは、主に以下に示すものからできています。

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