今回は水に関する自由研究のテーマを紹介しよう。水はとても身近なものです。冷やせば氷になり、火にかければ水蒸気にもなる、実に変幻自在な物質です。そんな水の性質を活かした自由研究のテーマを5つ紹介していこう。学生時代、獣医学部で動物のことを勉強していたライターみんちが解説します。

ライター/みんち

学生時代、獣医学部で動物の知識を学んだ。趣味は動物園巡り。ライターとして、初心者にもわかりやすく、質のある情報を提供できるよう、日々奮闘中。

水で簡単に自由研究をしよう!

image by iStockphoto

日本は水に恵まれた国。海があり、きれいな川が流れ、蛇口をひねればいつでもきれいな水が飲めますよね。今回はそんな身近な水を使った自由研究の例を紹介していきましょう。

水は化学式で表すとH2O2つの水素原子(H)と1つの酸素原子(O)からできています。水は液体のイメージがありますが、冷凍庫で冷やせば氷になり、お湯を沸かせば水蒸気にだってなりますよね。

思い返してみれば、きれいな雪の結晶も、ふわふわ浮かんで見える雲も実はみんな水なんですよ。水は変幻自在で、実に不思議な物質なんですね。

1:水の力でマーブルおえかき

image by iStockphoto

水に絵の具のついた筆を入れると、もやもや~と絵の具が水に溶けていく様子が観察されますよね。逆に、ちょっと筆を水面に付けただけで輪ができることもありますね。これはどうして起こるのでしょうか?

まずはバットに水を張り、筆先にマーリング用絵の具をつけたら水面につけてみましょう。するともやもや~と絵の具が水面に溶けていく様子が観察されますね。

続いてつまようじの先に水でうすめた洗剤を付け、水面に広がっている絵の具につけてみましょう。すると一瞬で絵の具が輪になって広がっていく様子が観察できますよ。

最後に何色かの色を混ぜて水面に模様をつくったら、紙を水面に乗せて模様を写し取り、マーブル模様の不思議なアートが完成です。

えのぐを水につけると輪ができる秘密とは?

水は水分子がたくさん集まってできています。水分子同士は表面張力という力によって小さくまとまろうとお互いに引っ張っているんです。

ふつうの水の状態だと、表面張力がはたらくため、絵の具は小さくまとまろうとするため、もやもや~っと沈んでいきます。しかし、洗剤を入れると、洗剤に含まれる界面活性剤(かいめんかっせいざい)という物質のはたらきによって水の表面張力が弱くなるんですよ。

そのため、絵の具は表面張力が強いバットの方に引っ張られてしまい、結果的に輪のような形になるんですね。

2:ジュースで簡単シャーベット!

ジュースを何本か冷凍庫に入れたら、そのまま数時間冷やしてみましょう。時間がたったらゆっくり取り出し、思いっきり振ってみてください

するとどうでしょう。ジュースをコップに注いだ瞬間にシャーベットのような状態になることがあるんですよ。

\次のページで「過冷却のしくみを利用して一瞬でシャーベットを作る」を解説!/

過冷却のしくみを利用して一瞬でシャーベットを作る

ついさっきまで液体だったジュースがシャーベットになるのはどうしてなんでしょうか。答えは、ジュースに過冷却という現象が起きているからなんですよ。

過冷却は本来、凍るべき温度になっても凍らずに液体のままでいる現象のことです。水は、液体のときは水分子が自由に動ける状態になっていますが、凍って固体になると水分子が規則正しく並んだ状態になります。このとき、規則正しく並ぶにはほんの少しのエネルギーが必要なんですよ。

しかし、ゆっくりと温度を下げていくとエネルギーがかからないため、本来凍るはずの温度になっても液体(ジュース)のままでいることがあるんです。そこで強く振るなどして強いエネルギーがかけられたことで一気にシャーベット状に凍るというしくみだったんですね。

3:人工雲を作ってみよう!

フワフワと空に浮かぶ雲。子どもの頃に、触ってみたいな~と思ったことがある人もいるのではないでしょうか?実は雲は、身近なもので簡単に作ることができるんですよ。

はじめに1.5リットルの炭酸用ペットボトルぬるま湯を100mLほど入れます。線香に火をつけたら、ペットボトルの中に入れて10秒くらい待ちましょう。中に煙が入ったら、フタをしめて数回ふった後、両手でペットボトルをぎゅっと押してへこませ、ぱっとゆるめるのを繰り返してみましょう。すると次第に、中に白い雲ができあがりますよ。

雲は水蒸気と小さなゴミでできている

このときペットボトルの中では何が起きていたのでしょうか?まずは雲のできる仕組みを理解しましょう。

雲は空気中の水蒸気とチリのような小さなゴミによってできています。雲ができる時、空は気圧が低いです。気圧が低いと、空気は上にあがっていき急に膨らみ始め、温度が下がり、空気中の水蒸気が冷やされるんですよ。するとゴミに水や氷の粒が集まります。これが雲の正体だったんですね。

ペットボトルの中ではお湯が水蒸気線香のけむりがゴミの役割を果たしています。ペットボトルをぎゅっとおしこませると中の気圧は高くなりますが、ゆるめると急に気圧が低くなるため、中の温度が下がり、線香のけむりに水や氷がくっつくことで雲として見えるようになったわけですね。

4:水中でシャボン玉を作ろう!

空中でフワフワ浮かんでパチッと消えてしまうシャボン玉。そんなシャボン玉を水の中でも作ることができるんですよ。まるで人魚の世界みたいですね。

まずはプラコップに水を8分目まで入れたら、食器用洗剤を10滴ほど垂らしてシャボン液をつくりましょう。ストローの先を少しだけシャボン液の中に入れ、上側を指でふさいでシャボン液から出します。

液の上から、ストローをふさいでいた指を離すと、ストローの中に入っていたシャボン液が落ちて、液の中でシャボン玉ができあがるんですよ。

水とシャボン液の表面張力の違いによって起こる

水とシャボン液の表面張力の違いによって起こる

image by Study-Z編集部

これは水とシャボン液の表面張力の違いによって起こっているんですよ。

普通のシャボン玉は、“液の膜の中に空気が入った構造”になっています。一方で水中シャボン玉は“空気の膜の中にシャボン液が入った構造”なんです。

ふつう、水に水滴を落としてもシャボン玉がはできませんよね。これは水分子の間に表面張力が働いているせいなんですよ。そのせいで、玉ができる前に壊れてしまうんですね。しかし、洗剤が入っていると界面活性剤の力で表面張力が小さくなるため、空気の膜が破れにくくなるため水中でもシャボン玉ができるんですよ。

\次のページで「5:近所の川を調査しよう!」を解説!/

5:近所の川を調査しよう!

image by iStockphoto

日本にはいたるところに川が流れていますよね。地方に住んでいれば、源流が近くにあるかもしれませんし、都会の川では、川幅が広いため比較的調査もしやすいでしょう。

 

水質を調べるにはpH試験紙CODというものを使います。比較的安く、簡単に購入できるため、自由研究にもおすすめですよ。

pH(水素イオン濃度)は水の性質である酸性、中性、アルカリ性を示す指標のこと。pHは7が中性で、7以下が酸性、7以上がアルカリ性です。通常の川の場合、水はpH6.5~8.5の範囲内ですが、湿原や鉱山の排水、温泉水では例外もあるため、これらが近くにある地域では測ってみると面白い結果が期待できそうですね。

COD(化学的酸素消費量)は有機物が酸化されるときに消費する酸素量をあらわしたもの。CODが高いほど、水中に有機物(腐るもの)が多く含まれている=汚れているということです。これらの検査キットを使って次のような調査をしてみましょう。

上流と下流の水質の違いを確かめる

実験用具の準備ができたらさっそく川に行って水を採取してきましょう。空のペットボトルに、どこの川の水なのかのラベリングをして、川の水を入れてくれば採取完了です。

川の上流と下流ではどれくらい水質が違うのかを調べてみると面白いでしょう。また、温泉や工場がある地域では、ある起点をさかいに水質が大きく変化する場合もあります。水質が変化する地点を知ると、その地域の産業などに関しても意外な発見があるかもしれませんね。

水の身近な疑問を解明しよう!

今回は水の性質を使った自由研究のテーマを紹介してきました。表面張力の性質を使ったおえかきや水中シャボン玉、凍る性質を利用したシャーベット作りなど、身近なものを使って簡単にできる実験がありましたね。さらに、人口雲の創作実験や川の調査など、自然にも目を向けたテーマもありましたね。気になるテーマはあったでしょうか?機会があれば、ぜひ親子で挑戦してみてくださいね。最後まで読んでいただきありがとうございました。

画像使用元:いらすとや

" /> 水を使う自由研究のテーマ5選!身近なもので簡単にできるものを理系ライターがわかりやすく解説! – Study-Z
理科生活と物質

水を使う自由研究のテーマ5選!身近なもので簡単にできるものを理系ライターがわかりやすく解説!

今回は水に関する自由研究のテーマを紹介しよう。水はとても身近なものです。冷やせば氷になり、火にかければ水蒸気にもなる、実に変幻自在な物質です。そんな水の性質を活かした自由研究のテーマを5つ紹介していこう。学生時代、獣医学部で動物のことを勉強していたライターみんちが解説します。

ライター/みんち

学生時代、獣医学部で動物の知識を学んだ。趣味は動物園巡り。ライターとして、初心者にもわかりやすく、質のある情報を提供できるよう、日々奮闘中。

水で簡単に自由研究をしよう!

image by iStockphoto

日本は水に恵まれた国。海があり、きれいな川が流れ、蛇口をひねればいつでもきれいな水が飲めますよね。今回はそんな身近な水を使った自由研究の例を紹介していきましょう。

水は化学式で表すとH2O2つの水素原子(H)と1つの酸素原子(O)からできています。水は液体のイメージがありますが、冷凍庫で冷やせば氷になり、お湯を沸かせば水蒸気にだってなりますよね。

思い返してみれば、きれいな雪の結晶も、ふわふわ浮かんで見える雲も実はみんな水なんですよ。水は変幻自在で、実に不思議な物質なんですね。

1:水の力でマーブルおえかき

image by iStockphoto

水に絵の具のついた筆を入れると、もやもや~と絵の具が水に溶けていく様子が観察されますよね。逆に、ちょっと筆を水面に付けただけで輪ができることもありますね。これはどうして起こるのでしょうか?

まずはバットに水を張り、筆先にマーリング用絵の具をつけたら水面につけてみましょう。するともやもや~と絵の具が水面に溶けていく様子が観察されますね。

続いてつまようじの先に水でうすめた洗剤を付け、水面に広がっている絵の具につけてみましょう。すると一瞬で絵の具が輪になって広がっていく様子が観察できますよ。

最後に何色かの色を混ぜて水面に模様をつくったら、紙を水面に乗せて模様を写し取り、マーブル模様の不思議なアートが完成です。

えのぐを水につけると輪ができる秘密とは?

水は水分子がたくさん集まってできています。水分子同士は表面張力という力によって小さくまとまろうとお互いに引っ張っているんです。

ふつうの水の状態だと、表面張力がはたらくため、絵の具は小さくまとまろうとするため、もやもや~っと沈んでいきます。しかし、洗剤を入れると、洗剤に含まれる界面活性剤(かいめんかっせいざい)という物質のはたらきによって水の表面張力が弱くなるんですよ。

そのため、絵の具は表面張力が強いバットの方に引っ張られてしまい、結果的に輪のような形になるんですね。

2:ジュースで簡単シャーベット!

ジュースを何本か冷凍庫に入れたら、そのまま数時間冷やしてみましょう。時間がたったらゆっくり取り出し、思いっきり振ってみてください

するとどうでしょう。ジュースをコップに注いだ瞬間にシャーベットのような状態になることがあるんですよ。

\次のページで「過冷却のしくみを利用して一瞬でシャーベットを作る」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: