例えば、磁石や触媒、試薬、酸化サマリウムとして光学ガラスなどにも応用されているんだぜ。
今日はその様々な用途もまとめて「サマリウム」について、日米の業界を知る科学者ライター、CDTと一緒に解説していきます。
ライター/CDT
米国と日本の両国の化学メーカーで研究開発を経験。日米の経験を活かし、シンプルでわかりやすい解説を心がけるライター。
「サマリウム」とは何か?
image by iStockphoto
サマリウムは、希土類およびランタノイドの一つの金属です。英語では「Samarium」でSmと元素記号は略されています。
サマリウムは銀白色の柔らかい金属です。地殻には7.9 ppm (0.00079%) ほど存在しています。フランスの化学者ボアボードランはサマルスキー石を研究し、1879年、ジジミウム(参照:プラセオジム)に未知の元素が含まれていることを発見しました。サマリウムが最初に分離された鉱物サマルスキー石は、ロシアの鉱山当局者であるサマルスキー大佐にちなんで名付けられました。
サマリウムの主な鉱石はバストネス石とモナズ石(CePO4)です。サマリウムは磁石の原料として使用されています。サマリウム系磁石はネオジム磁石が開発されるまでは最強の磁石でした。ネオジム磁石は鉄を含んでいるために錆びやすく、熱にも弱いことから、現在でも、サマリウム系磁石は高温で使用できる強力な磁石として、重宝されています。
サマリウムの物性とは?
image by iStockphoto
サマリウムはかなり反応性の高い金属です。それは比較的穏やかな条件下で他の多くの物質と結合する傾向があります。たとえば、水と反応して、水素 ガスを放出しますね。また、 酸素と容易に結合し、約150°Cで発火しますね。
サマリウムは黄色がかった金属で、融点は1,072°C、沸点は約1,900°Cですよ。その密度は1立方センチメートルあたり7.53グラムです。サマリウムは、希土類元素の中で最も硬く、最も脆い元素として認識されていますね。
サマリウムは強力な磁石
image by iStockphoto
磁石の原料として利用されている希土類元素はサマリウム(Sm)とネオジム(Nd)です。コバルト(Co)や鉄(Fe)と混ぜた合金として利用されています。合金内では、コバルトや鉄の持つ力と、サマリウムやネオジムが持つ力が、相互作用で強め合っているのです。サマリウムは室温で常磁性であり、その磁気特性を失うことなく高温に耐えることができます。サマリウムナノ粒子は、高温での機能性が大きな関心事である軽量の電子機器で使用されるのですね。
磁石の強さの目安として、通常の磁石(フェライト磁石)より格段にパワーがあることが証明されているのですね。まず、最初に開発されたのがSmCo5磁石です。次に、Sm2Co17磁石が開発されました。サマリウムは高価なため、サマリウム系磁石は時計などの小さい製品で主に使用されています。錆びにくく、高温に強い磁石です。次に登場したのがネオジム磁石(Nd2Fe14B磁石)で、ネオジムと鉄の他にホウ素(B)を含んだ磁石ですね。ホウ素はネオジム原子と鉄原子の距離を調節し、両原子の相互作用を最大にするために、混ぜられています。製品化されたものでは最強の磁石ですが、鉄を含んでいるため、錆びやすく、熱に弱い磁石です。
酸化サマリウムについて
image by iStockphoto
サマリウムは、酸化サマリウム(Sm 2 O 3 )を バリウム またはランタン金属 と 加熱することによって得ることができるのですね。
サマリウム酸化物は、酸化サマリウムといいます。そして酸化サマリウムはガラスやセラミックに特化した用途がありますね。
酸化サマリウムは、炭酸サマリウム、硝酸塩、シュウ酸塩、硫酸塩を熱分解するか、150°Cを超える温度で空気または酸素中で金属を燃焼させることによって調製されるのです。高純度(99.999%)酸化サマリウム(Sm2O3)粉末酸化サマリウムは、鉱酸に溶解することにより、蒸発および結晶化の際に塩を形成するのですね。
酸化サマリウムは通常、超高純度および高純度の組成物として、光学的品質と科学的基準としての有用性の両方を向上させるのに注目されていますね。赤外線を吸収するためにガラスに添加されることもあるんですね。
\次のページで「酸化サマリウムは電気化学に応用される?」を解説!/