化学理科

メンデレーエフって誰?周期表を生み出し元素の存在を予言した人物を周期表マニアの科学館職員がわかりやすく解説

よぉ、桜木建二だ。化学を学ぶ上で欠かせない元素周期表。周期表は原子が原子番号の順に並べられていて、周期表をよく見ると縦列や横列で似た性質を持つ元素が並んでいる。この周期表を作りそこに隠れた法則性を発見したのがメンデレーエフだ。

今回はこの周期表の父、メンデレーエフについて解説する。担当はなぜ分子を作る原子と作らない原子がある?という疑問から化学の世界に飛び込んだ化学系科学館職員のたかはしふみかだ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/たかはし ふみか

大学時代は化学者を目指し、留学生が多く国際色豊かな研究室で教授の指導のもと有機化学を学んだ。記事執筆のお供は高校時代の化学の教科書、恩師は高校時代の化学の先生という日々仕事に役立つネタ探しに忙しい化学系科学館職員。

メンデレーエフが生み出したもの

メンデレーエフが生み出したもの

image by Study-Z編集部

ロシア出身の化学者、ドミトリ・イヴァーノヴィチ・メンデレーエフ。メンデレーエフと言えば周期律周期表です。周期表はほとんどの化学の教科書や問題集の最初のページに掲載されているので見たことがある人も多いでしょう。周期律とは元素を原子番号の順に並べると物理的・化学的性質が似たものが周期的に表れるという規則の事です。そして周期表とは原子番号の順に並べた表のことをいいます。

例えば周期表の1番左にある第1族は、水素を除いてアルカリ金属というグループです。アルカリ金属は最外殻電子が1つで、1価の陽イオンになりやすいという特徴があります。

1869年、63種類の元素が発見されていました。メンデレーエフはこの元素を原子量の順に並べた時に、性質が似た元素が周期的に表れることに気が付いたのです。またまだ発見されていない元素の存在し、発見されている元素と性質が似ていることを予想しました。

発表当時はあまり注目されなかった周期表。しかし1875年発見のガリウム、1886年発見のゲルマニウムの性質がメンデレーエフの予想と一致したことで注目を集めます。

メンデレーエフの生涯

ドミトリ・イヴァーノヴィチ・メンデレーエフは1834年2月8日に生まれました。中等学校の教師となったメンデレーエフは後に高等技術専門学校の化学の教授となります。そして1864年、サンクトペテルブルク大学の教授となりました。

メンデレーエフが教授となったころ、ジョン・ニューランズが「オクターブの法則」を発見しました。これは元素の性質の規則性に関する法則で、原子量の順に元素を並べると8番目ごとに性質の似た元素が現れるというものです。そして、同じような意見を持っていたメンデレーエフは1869年に「元素の性質と原子量の関係」と題して学会で発表します。

「元素の性質と原子量の関係」概要

1 元素を原子量の順に並べると、周期性が現れる。

2 科学的特性の類似する元素は原子量が同じくらいか、原子量が規則的に増加する。

3 原子量順に並べた元素の配列は原子価だけでなく、化学的特性が一致する。

4 広範囲に存在する元素は原子量が小さい。

5 原子量の大きさによって元素の性質が決定する。

6 未知の元素の存在が考えられる。例として原子量が65から75の間で化学的特性がアルミニウムに類似する元素とケイ素に類似する元素が存在すると考えられる。

7 元素の原子量は原子番号順で前後する元素の原子量により修正できる場合がある。

8 元素の特性はその原子量から予想できる。

この6で予想されたのがガリウム、ゲルマニウムです。

Mendeleev's 1869 periodic table.png
ドミトリ・メンデレーエフ – このファイルは以下の画像から切り出されたものです, パブリック・ドメイン, リンクによる

上の表はメンデレーエフが作った初期の周期表で、アルミニウムAlとケイ素Siケイ素の横に?がついています。これがメンデレーエフが存在を予想した元素です。上の周期表でアルミニウムの隣に来るのがエカアルミニウムとメンデレーエフが名付けたGaガリウム(現在の周期表では下にきます)。メンデレーエフが原子量が68、密度5.9g/cm3と予想したところ実際は69.72と5.91g/cm3。また、エカケイ素と名付けたゲルマニウム。エカケイ素は原子量72、密度5.5g/cm3と予想していましたが実際は原子量72.63、密度5.37g/cm3。メンデレーエフの予想はほぼ正確だったのです。

ところでこの周期表。元素が少ないだけでなく今とは違う形をしていますね。縦横(族と周期)が反転しています。またメンデレーエフは原子量の順で並べましたが、その後原子番号(陽子の数)に沿って並べられるようになりました。例えば27番のコバルトCoと28番のニッケルNi。コバルトの原子量58.93に対して、ニッケルは58.69。また18番のアルゴンArと19番のカリウムK、90番のトリウムThと91番のプロトアクチニウムPaも逆転しています。他にもあるので周期表を見てみてくださいね。

メンデレーエフについてはこちらの記事もどうぞ。

元素と周期律

周期表を見ると、次のものが周期的に変化します。

イオン化エネルギー

 電子を1個取り除くのに必要なエネルギー

 同じ周期では1族が最小、18族が最大

電気陰性度

 共有電子対を引き付ける力

 同じ周期では1族が最小、17族が最大(18族にはない)

イオン半径

 イオンの大きさ

 同じ族では周期が大きくなるほど(周期表の下に行くほど)大きくなる

原子半径

 原子の大きさ

 同じ族:下に行くほど大きくなる

     原子核から最外殻が遠くなるから

 同じ周期:右に行くほど小さくなる

      陽子が増え、電子を引き付ける力が強くなるから

惜しくも逃したノーベル賞

image by PIXTA / 73371455

1907年1月20日に亡くなったメンデレーエフ。メンデレーエフは亡くなる前年の1906年にノーベル化学賞にノミネートされていました。しかし、フッ素の研究と分離およびモアッサン電気炉の製作の業績があるアンリ・モアッサンに1票差で敗れた受賞を逃したのです。そのため、メンデレーエフはノーベル賞を受賞することがありませんでした。

ノーベル賞といえばこちらの記事をどうぞ。

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