この記事では「共鳴」と「共振」の違いについてみていきます。この2つの言葉には"振動を伝える"イメージがあるよな。違いはずばり、"どの事象に関係する"かなのですが、調べてみると他にも色々とあるみたいなんです。
今回はそんな2つの言葉の違いや意味を、英語や例文などを交えながら、少女向け作家兼ライターのさらささらと一緒に解説していきます。

ライター/さらささら

少女向け作家兼ライター、神社や名所を訪ねるのが趣味。お話のネタにするため様々な雑知識を集め、わかりやすい言葉で説明。

「共鳴」と「共振」の違いとは

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皆さんも、漫画やライトノベルなどで、こんな台詞を耳にしたことがありませんか?「俺と貴様の剣が共鳴している!」、「この波動、それはお前の技が大地神ガイヤと共振したのだ」……などなど。盛り上がるシーンで使われていることが多い言葉ですよね。

そんな「共鳴」と「共振」ですが、この2つの違いとは一体なんなのでしょうが?こちらでは、その違いや意味について色々と調べてみたいと思います。

共振とは物体の固有振動数

外部から力を加えなくても、その物体自身が振動を続ける現象を「固有振動」と言います。物体にはそれぞれ固有の振動数があり、1秒間に物体が振動する回数が「固有振動数(単位=Hz・ヘルツ)」。つまり、1秒間に30回振動すると30Hzになるのです。

例として、同じ重さの重しを付けた振り子が、A~Dの順番で4つあるとします。この4つの振り子は、1本の棒に等間隔で吊るされており、重しを付けた糸の長さは順に、Aは4㎝、Bは3㎝、Cは4㎝、Dは5㎝です。ここで、振り子Aを振動させる(=揺らす)と、実は隣のBではなく、触ってもいない振り子Cも徐々に振動を(=揺れ)始めます。

このように、それぞれ(個々)の物体が持つ「固有振動数」と同じ振動数(=揺れ)を外から加えることで、物体が振動を始める現象を「共振」と言うのです。

例)
・テーブルの上に、100Hz の固有振動数を持つ物体Xと、110Hz の固有振動数を持つ物体Yと、120Hz の固有振動数を持つ物体Zを置きます。
・3つの物体が置かれたテーブルに 110Hz の振動を与えると、直接触れていない物体Yだけが振動(=揺れ)を始める。
・これが共振です

共鳴は音に関する共振現象

前述した「共振」現象のうち、"音"に関するものを「共鳴」と言います。

例えば、同じ固有振動数を持つ共鳴箱付き音叉(おんさ)AとBの2つを並べ、Aを鳴らすとBも鳴り始めてしまうのです。
※共鳴箱については以下の引用を参照。

原理は次の通り。

1.叩かれたAの音叉→Aの共鳴箱を揺らす。
2.空気を伝わってBの共鳴箱が揺れる→Bの音叉が鳴る。

つまり、固有振動数が違う音叉同士では共鳴は起こりません

【ここまでのおさらい】
・電気振動など=共振
・音に関する共振現象=共鳴
……と呼びます。

〘名〙 共鳴器の一つ。一定の振動数の音にだけ共鳴するように作られた中空の箱。音叉(おんさ)の柄に取り付ける木箱など。共振器。共振箱。

(出典:コトバンク,https://kotobank.jp/word/%E5%85%B1%E9%B3%B4%E7%AE%B1-53071)

「共振」は地震と建物にどんな影響があるの?

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実生活で「共振」を感じる例と言えばやはり、日本に住む私たちなら「地震」があげられるかもしれません。

地震と言えば、最も怖いのが爆発的なエネルギーで引き起こされる"揺れ"ですが、これにも共振が大きく関係しているようです。

震源から伝わる揺れ

「地震大国日本」などとも呼ばれていますが、日本で地震が多い理由に複数存在するプレートが関係していると言われています。

地震が起きるシステムを簡単に説明すると、日本周辺には海のプレート(太平洋プレートとフィリピンプレート)や陸のプレート(北米プレートやユーラシアプレート)などが複雑に入り組んでおり、これらのズレや動きにより地震が多発するのだそうです。

そんな日本で地震が起きた時、同じ場所に建っていながら物凄く揺れる建物とそうでもない建物、または倒壊する建物としない建物がありますよね。あれは、建物自体の強度や築年数の差も大きな要因ですが、実は「共振」が関わる場合もあるのです。

例えば、震源地から地面の揺れが伝わった際に、建築物の固有周期と、建築物が建つ地表・地盤の固有周期が同じだった場合、共振によってその揺れが大きく増幅されてしまいます。

ちなみに、マンションなどの説明で免震、耐震、制震などの言葉を耳にするかと思いますが、これらは"地震の揺れ"に対する耐震構造です。

主に以下の3つがあげられます。

\次のページで「建物それぞれが持つ固有振動数と固有周期」を解説!/

■免震(めんしん):地震の揺れを受け流す=建物の揺れが地面より小さくなり、ゆっくり揺れるため最も優れた構造と言われている
■耐震(たいしん):強度を上げて地震の揺れに耐える
■制震(せいしん):地震の揺れを吸収する

建物それぞれが持つ固有振動数と固有周期

「固有振動数」とは、外部から力を与えられなくとも、その物体(※今回の場合は建物)自身が振動を続ける現象(=固有振動)の振動回数を意味します。

つまり、「固有振動数」とは1秒間に振動する回数、「固有周期」は1回振動するのにかかる時間です。

建物には、それぞれ最も揺れやすい「固有振動数」があります。前述でも触れた通り地震の揺れ(=振動数)と建物の固有振動数が一致すると、建物の揺れが増大(=共振現象)してしまうとか。

そのため、現在では建築物などを設計する際、建設予定地の地表地盤と建物自体の「固有周期」をそれぞれ測定し、双方の固有周期が一致しないように設計しているそうです。

「固有周期」=1回振動するのにかかる時間
「固有振動数」=1秒間に振動する回数

タワマンなどの高層階が低層建物より揺れる一因に、高層建物の固有周期が低層と比べると長く、長周期である地震の波(波長)と共振しやすいこともあげられます。

共振と共鳴の英語表現は?

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共鳴が共振に含まれるのは前述しましたが、検索すると主な英語表現(単語)はどちらも「 resonance(リゾナンス)=共鳴、共振、共鳴り 」でした。

そこで、こちらでは2つの英語表記に関してもう少し詳しく調べてみましょう。

\次のページで「実生活に密着した共振と共鳴」を解説!/

■共振 
・sympathetic vibration(シンパセティック・バイブレイション)=共振
・resonance(リゾナンス)

■共鳴
・fellow feeling(フェロウ・フィーリング)=共感、共鳴、同感、共鳴り
・understanding(アンダスタンディング)=共感、共鳴、同調、同情など
・resonance(リゾナンス)
・sympathy(シンパシー)=共感、意気投合、共鳴、以心伝心、同調、同感
・vibrate(バイブレイト)=振動、共鳴、震う、惑うなど
・come across(カム・アクロス)=共鳴、遭遇、見付ける、逢うなど

「共振」と「共鳴」について簡単にまとめてみました。

■共振:物体の固有振動数…電気振動など
    ・固有振動数=1秒間に振動する回数=周波数
    ・固有周期=1回振動るすのにかかる時間
■共鳴:共振現象の中でも音に関するもの

【英語表記】
■共振=resonance、sympathetic vibration 
■共鳴=resonance、fellow feeling、understandingなど

実生活に密着した共振と共鳴

何となく知っていた2つの言葉「共振」と「共鳴」。調べてみると、私たちの生活において様々な場所で関わっているのが分かりました。

かなり専門的な分野のため、本当の意味で詳しく知るのは難しいかと思います。ですが、建物の揺れや地震の伝わり方など理由を知るのと知らないとでは、地震が起きた時や建物の契約時など、様々な場面で対応の仕方が違うはず。

この記事を切っ掛けに、皆さんの生活が少しでも豊かになれば幸いです。

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言葉雑学

共振と共鳴の違いとは?地震や建物との関係なども交えながら少女向け小説家兼ライターが丁寧にわかりやすく解説!

この記事では「共鳴」と「共振」の違いについてみていきます。この2つの言葉には”振動を伝える”イメージがあるよな。違いはずばり、”どの事象に関係する”かなのですが、調べてみると他にも色々とあるみたいなんです。
今回はそんな2つの言葉の違いや意味を、英語や例文などを交えながら、少女向け作家兼ライターのさらささらと一緒に解説していきます。

ライター/さらささら

少女向け作家兼ライター、神社や名所を訪ねるのが趣味。お話のネタにするため様々な雑知識を集め、わかりやすい言葉で説明。

「共鳴」と「共振」の違いとは

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皆さんも、漫画やライトノベルなどで、こんな台詞を耳にしたことがありませんか?「俺と貴様の剣が共鳴している!」、「この波動、それはお前の技が大地神ガイヤと共振したのだ」……などなど。盛り上がるシーンで使われていることが多い言葉ですよね。

そんな「共鳴」と「共振」ですが、この2つの違いとは一体なんなのでしょうが?こちらでは、その違いや意味について色々と調べてみたいと思います。

共振とは物体の固有振動数

外部から力を加えなくても、その物体自身が振動を続ける現象を「固有振動」と言います。物体にはそれぞれ固有の振動数があり、1秒間に物体が振動する回数が「固有振動数(単位=Hz・ヘルツ)」。つまり、1秒間に30回振動すると30Hzになるのです。

例として、同じ重さの重しを付けた振り子が、A~Dの順番で4つあるとします。この4つの振り子は、1本の棒に等間隔で吊るされており、重しを付けた糸の長さは順に、Aは4㎝、Bは3㎝、Cは4㎝、Dは5㎝です。ここで、振り子Aを振動させる(=揺らす)と、実は隣のBではなく、触ってもいない振り子Cも徐々に振動を(=揺れ)始めます。

このように、それぞれ(個々)の物体が持つ「固有振動数」と同じ振動数(=揺れ)を外から加えることで、物体が振動を始める現象を「共振」と言うのです。

例)
・テーブルの上に、100Hz の固有振動数を持つ物体Xと、110Hz の固有振動数を持つ物体Yと、120Hz の固有振動数を持つ物体Zを置きます。
・3つの物体が置かれたテーブルに 110Hz の振動を与えると、直接触れていない物体Yだけが振動(=揺れ)を始める。
・これが共振です

共鳴は音に関する共振現象

前述した「共振」現象のうち、“音”に関するものを「共鳴」と言います。

例えば、同じ固有振動数を持つ共鳴箱付き音叉(おんさ)AとBの2つを並べ、Aを鳴らすとBも鳴り始めてしまうのです。
※共鳴箱については以下の引用を参照。

原理は次の通り。

1.叩かれたAの音叉→Aの共鳴箱を揺らす。
2.空気を伝わってBの共鳴箱が揺れる→Bの音叉が鳴る。

つまり、固有振動数が違う音叉同士では共鳴は起こりません

【ここまでのおさらい】
・電気振動など=共振
・音に関する共振現象=共鳴
……と呼びます。

〘名〙 共鳴器の一つ。一定の振動数の音にだけ共鳴するように作られた中空の箱。音叉(おんさ)の柄に取り付ける木箱など。共振器。共振箱。

(出典:コトバンク,https://kotobank.jp/word/%E5%85%B1%E9%B3%B4%E7%AE%B1-53071)

「共振」は地震と建物にどんな影響があるの?

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実生活で「共振」を感じる例と言えばやはり、日本に住む私たちなら「地震」があげられるかもしれません。

地震と言えば、最も怖いのが爆発的なエネルギーで引き起こされる“揺れ”ですが、これにも共振が大きく関係しているようです。

震源から伝わる揺れ

「地震大国日本」などとも呼ばれていますが、日本で地震が多い理由に複数存在するプレートが関係していると言われています。

地震が起きるシステムを簡単に説明すると、日本周辺には海のプレート(太平洋プレートとフィリピンプレート)や陸のプレート(北米プレートやユーラシアプレート)などが複雑に入り組んでおり、これらのズレや動きにより地震が多発するのだそうです。

そんな日本で地震が起きた時、同じ場所に建っていながら物凄く揺れる建物とそうでもない建物、または倒壊する建物としない建物がありますよね。あれは、建物自体の強度や築年数の差も大きな要因ですが、実は「共振」が関わる場合もあるのです。

例えば、震源地から地面の揺れが伝わった際に、建築物の固有周期と、建築物が建つ地表・地盤の固有周期が同じだった場合、共振によってその揺れが大きく増幅されてしまいます。

ちなみに、マンションなどの説明で免震、耐震、制震などの言葉を耳にするかと思いますが、これらは”地震の揺れ”に対する耐震構造です。

主に以下の3つがあげられます。

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