パラジウムは化学反応の触媒や、それを利用した自動車の排気ガス用触媒として使われている。
工業的にも重要なパラジウムは、高校化学のテストでも時々出題される元素でもあるぞ!
今回は「パラジウム」の特徴と歴史や利用例を化学メーカーの研究員ライターY.oB(よぶ)と一緒に解説していきます。
ライター/Y.oB(よぶ)
大学・大学院と合成化学を専攻した後、化学メーカーで研究職として勤務。白金族元素の触媒反応で製品開発に携わった経験のある化学に詳しいライター。
パラジウムの性質、特徴を解説!
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パラジウムは原子番号46の遷移金属元素で、元素記号はPdと表記します。単体のパラジウムは常温常圧で安定で、銀白色の金属で融点は1555℃と比較的低いです。工業的に非常に重要な金属元素で、主に自動車業界で使用されています。また、化学反応において重要な触媒としてなくてはならない元素です。
この章ではパラジウムの特徴や性質について学びましょう。
性質その1 安定で加工しやすい
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パラジウムの物性で優れているところは融点が白金等と比較すると低く加工しやすい点です。また、常温常圧で安定して存在できるところも優れています。耐食性と柔らかさを持っているため、しばしば合金の素材として利用。合金ジュエリー等の製品として販売されています。
性質その2 触媒反応
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パラジウムは化学反応においては重要な触媒です。水添反応の触媒として利用する事は教科書に載る程有名な反応になります。分子に水素原子2つ付加する反応で、水素を添加したように見えるため名前が水添反応です。白金やニッケルも同様の性質を持っています。
他にも鈴木-宮浦クロスカップリング反応はとても有名です。ホウ素化合物とハロゲン化物をパラジウム触媒にやって炭素-炭素結合を作る事ができます。炭素骨格の構築は有機化学において重要なため、この反応の重要性もとても高いです。
性質その3 水素の貯蔵
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パラジウムは水素を自身の体積の約900倍貯蔵する性質を持っています。これはパラジウムが水素化物になりやすい事が理由です。この性質から水素貯蔵合金の材料や水素の精製に利用しています。水素貯蔵合金はニッケル水素充電池、水素自動車に応用されているため、一度は目にした事があるかもしれませんね。
水素は爆発的に反応するため、扱いが難しい点があります。しかし、反応して排出されるものが水だけです。とてもクリーンなエネルギーとして近年注目されています。水素が注目される時はパラジウムの出番です。
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