突然ですが、眠いときあくびはどうして出るのでしょうか?プレゼンテーションがあるとき、授業中など、退屈になるとついウトウトしてしまう人も多いでしょう。一般的には、あくびが出る理由として脳に酸素を補給するためという説があげられるが、確かな根拠はない。他にも脳の温度を調節するためなどの様々な仮説が提唱されているが、未だに詳しい正体や効果などは明らかになっていなのです。今回はそんなあくびにまつわる疑問について、学生時代、獣医学部で動物のことを勉強していたライターみんちが解説していこう。

ライター/みんち

学生時代、獣医学部で動物の知識を学んだ。趣味は動物園巡り。ライターとして、初心者にもわかりやすく、質のある情報を提供できるよう、日々奮闘中。

あくびがでるのはなぜ?

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あたたかくなる季節や、お昼ご飯を食べた後など眠いとき、あくびが止まらなくなるときがありますよね。あくびはどうして出てしまうのかご存じでしょうか?

生物学的に、「あくび」は眠気によっておこる生理現象と定義されています。あくびは脳が睡眠状態から覚めるときに出ると考えられているんですよ。

ある実験では、寝起きの人があくびをした時の脳波を測定すると、覚醒を示すβ波が活発になるというデータが観測されたんですよ。起床時にあくびをすると頭がシャキッとするのはこのせいなのかもしれませんね。

あくびは眠いとき以外にも?!

あくびは眠いとき以外にも?!

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あくびは眠いとき以外にも、緊張したときや疲れたとき、寒いときにも出る人がいるそうですよ。寒いときにあくびが出る理由として「口を開けることで頭蓋骨の血行を良くし、体温を上昇させている」という学者もいます。

さらに、空腹なとき、ストレスを感じたときにもあくびが止まらなくなる人がいるそうです。

あくびの正体はわかっていない!

しかし、あくびの効果やその理由について、その詳しいメカニズムは明らかになっていません。ここからはあくびが出る原因についての様々な仮説を紹介していきますね。

脳に酸素を補給する

あくびの理由の一つとして、「たくさん空気を吸い込むことで脳に酸素を補給するため」という説がありました。

しかし実験によると、あくびをして吸い込む空気量は、普段の呼吸で吸い込む空気量とあまり変わらず血中の酸素濃度の上昇もみられなかったそうです。そのためこの説は否定されています。

\次のページで「脳の温度調節を行う」を解説!/

脳の温度調節を行う

また、「あくびは脳の温度調節のために起きる」という仮説もあるんですよ。これはアメリカの心理学者によって提唱されました。

脳は高温状態になると機能障害をもたらす可能性が高まります。そこで大きく口を開けて冷たい空気を吸い込むことで、脳を冷やし、過度な温度上昇を防ぐことができるというのです。

しかし、残念ながらこの説も否定されています。この仮説が本当なら、風邪をひいて熱が出たときもあくびをするはずだからです。熱を出すとあくびが止まらないなんてことはめったに聞かないですよね。

生殖活動にも関係?!

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ちなみにあくびの働きは脳を覚醒させることだけではないんですよ。あくびは、脳の視床下部でオキシトシンという物質が関与することで起きます。

このオキシトシンは、あくびだけでなく、なんと生物の生殖活動にも関係する物質なんですよ。今後研究が進めば、あくびは眠気だけでなくもっと様々な秘密が隠されているのかもしれませんね。

あくびの伝染はなぜ起こる?動物もうつるって本当?

人のあくびを見ると、つい自分もつられてあくびがでてしまう。なぜあくびは伝染してしまうのでしょうか?ここからはあくびが伝染する理由についてみていきましょう。

共感性が関係している

率直に言うと、あくびがうつる原因も詳しくわかっていません。しかし、あくびがうつる原因として有名な仮説があります。それは「共感性」です。

脳には他人の感情を理解する部位が存在しており、それがあくびの伝染に関係があるといわれています。

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あくびの伝染はなんとライオンでも見られるんですよ。ある研究では、あくびの伝染が見られた集団では、その後の“動きが協調する”傾向があることが発表されました。

ライオンのように仲間と協力して狩りを行う動物では、協調性は大変重要です。「あくびの伝染」が仲間との協力を助ける行為になっているんですね。

同じように、犬も調和性が高い生き物。飼い主との信頼関係が築けている犬では、犬にあくびがうつることがありますよ。

\次のページで「あくびをすると涙が出るのはなぜ?」を解説!/

あくびをすると涙が出るのはなぜ?

あくびをすると目から涙がじんわりしみ出したり、ポロポロこぼれてしまうことがありますよね。なぜあくびをすると勝手に涙が出てきてしまうのでしょうか?

顔の筋肉が関係している

あくびをすると涙が出るのは、顔の筋肉が大きく関係しているんですよ。涙は涙腺から常に分泌されており、普段は目と鼻の間にある涙嚢(るいのう)という部位にたまっています。

あくびによって大きく口を開けたり、目をつむったりして顔の筋肉が大きく動かされると、この涙嚢が刺激され涙が出てきてしまうんですよ。

あくびを止めたいときには口を動かそう!

仕事でプレゼンテーションがあるときや運転中など、絶対に寝てはいけないタイミングであくびがでてしまうことはありませんか?あくびが止まらなくなると集中力がなくなったり、相手に失礼だったりしますよね。そんなとき、あくびを止めるためにどうしたらいいでしょうか?

医師によると、あくびがどうしても止まらないときには、深呼吸をしたり、ガムをかんだり、誰かと話してみたりなど、口を動かす動作をするとよいそうですよ。

気分を変えるために、換気をして新鮮な空気を吸いこんだり、場所を変えてみるのもいいそうです。

あくびは病気の可能性も!危険なあくびとは?

当たり前の行為である「あくび」ですが、あまりにも頻繁に起こる場合は注意した方がよいかもしれません。眠くないのにあくびが出るのは、脳梗塞や低血糖、睡眠障害などの病気が疑われます。

脳梗塞は脳の血管がつまり、酸素や栄養が運べなくなる病気。酸素濃度が低まるため、あくびが出る可能性があります。低血糖も同様に、病気が進行すると脳機能が低下し、手足のしびれや歩行困難になってしまう危険があるので注意しましょう。

さらに睡眠障害にも注意が必要です。最近は無自覚の睡眠障害というものが増えてきています。

ストレス社会といわれる昨今。毎日8時間寝ているはずでも、睡眠の質が低下していたり、生活の乱れなどが原因で気づかない間に睡眠負債があることも。

万一のために、ひどく身体を壊したり、事故などを起こさないためにも、日頃から睡眠不足を予防するようにしましょう。それでもあくびが頻発するときには医療機関に受診して、専門家に相談してみるのもいいかもしれませんね。

自分のあくびを意識してみよう

ここまで読んでいただきありがとうございました。今回の記事では、あくびにまつわる様々な疑問について解説してきましたね。あくびの正体については、いまだに研究中で様々な仮説が立てられています。当たり前の生理現象がいまだに未解明だなんて、本当に不思議な現象ですね。

また、あくびは眠いとき以外にも緊張や空腹、ストレス、寒さなどでも引き起こされることがわかりました。このようなあくびの原因には、一貫性がないように思われますね。ただ1つ言えるのは、あくびは今の状態から切り替えたいとき、つまりリフレッシュしたいときに出るのではないでしょうか?あくびを止めたいときには、思い切って別の行動をしてみたり、空気を入れ替えてみるのもいいかもしれませんね。

あまりにもあくびがひどいときには、自分の身体をいたわってあげるのもいいでしょう。無理せず、自分の身体を大切にするためにも、健康のサインとして自分のあくびを意識してみるのもいいかもしれませんね。

画像使用元:いらすとや

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あくびが出るのはなぜ?生殖にも関係する?!涙が出る理由についても獣医学部卒ライターがわかりやすく解説!

突然ですが、眠いときあくびはどうして出るのでしょうか?プレゼンテーションがあるとき、授業中など、退屈になるとついウトウトしてしまう人も多いでしょう。一般的には、あくびが出る理由として脳に酸素を補給するためという説があげられるが、確かな根拠はない。他にも脳の温度を調節するためなどの様々な仮説が提唱されているが、未だに詳しい正体や効果などは明らかになっていなのです。今回はそんなあくびにまつわる疑問について、学生時代、獣医学部で動物のことを勉強していたライターみんちが解説していこう。

ライター/みんち

学生時代、獣医学部で動物の知識を学んだ。趣味は動物園巡り。ライターとして、初心者にもわかりやすく、質のある情報を提供できるよう、日々奮闘中。

あくびがでるのはなぜ?

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あたたかくなる季節や、お昼ご飯を食べた後など眠いとき、あくびが止まらなくなるときがありますよね。あくびはどうして出てしまうのかご存じでしょうか?

生物学的に、「あくび」は眠気によっておこる生理現象と定義されています。あくびは脳が睡眠状態から覚めるときに出ると考えられているんですよ。

ある実験では、寝起きの人があくびをした時の脳波を測定すると、覚醒を示すβ波が活発になるというデータが観測されたんですよ。起床時にあくびをすると頭がシャキッとするのはこのせいなのかもしれませんね。

あくびは眠いとき以外にも?!

あくびは眠いとき以外にも?!

image by Study-Z編集部

あくびは眠いとき以外にも、緊張したときや疲れたとき、寒いときにも出る人がいるそうですよ。寒いときにあくびが出る理由として「口を開けることで頭蓋骨の血行を良くし、体温を上昇させている」という学者もいます。

さらに、空腹なとき、ストレスを感じたときにもあくびが止まらなくなる人がいるそうです。

あくびの正体はわかっていない!

しかし、あくびの効果やその理由について、その詳しいメカニズムは明らかになっていません。ここからはあくびが出る原因についての様々な仮説を紹介していきますね。

脳に酸素を補給する

あくびの理由の一つとして、「たくさん空気を吸い込むことで脳に酸素を補給するため」という説がありました。

しかし実験によると、あくびをして吸い込む空気量は、普段の呼吸で吸い込む空気量とあまり変わらず血中の酸素濃度の上昇もみられなかったそうです。そのためこの説は否定されています。

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