この記事では「何の面下げて」について解説する。

端的に言えば何の面下げての意味は「なんの面目があって」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「何の面下げて」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「何の面下げて(どのつらさげて)」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「何の面下げて」の意味や語源・使い方を一覧でご紹介していきます。またその他「何の面下げて」は分類としては日本語の慣用句であるという点も抑えておきましょう。

「何の面下げて」の意味は?

「何の面下げて」というキーワードを辞典・辞書・事典、ネット上の無料データベースサービス「コトバンク」で用語検索してみると、次のような記載があります。こちらの引用をまず確認していきましょう。

1.なんの面目があって。よくも恥ずかしくなく。「何の面下げて帰れようか」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「何の面下げて」

「何の面下げて」はなんの面目があって・よくも恥ずかしげもなく、という意味をもつ慣用句です。面目とは人に合わせる顔・世間に対する対面や評価を表す言葉で、何の面下げてはこうした面目が無いくせに、といった意味を表現する言葉となっています。書籍・新聞等のほか、口語でも使用される言葉です。

主に合わせる顔がないような立場の人物が面会に訪れ、その際に相手を罵る意味で使われます。怒気を含んだ攻撃的な言葉となっているため、実際に使用する際はこの点に注意していきましょう。この機会に「何の面下げて」の意味・用法を覚え、自身の語彙力を高めていきましょう。

「何の面下げて」の語源は?

次に「何の面下げて」の語源を確認しておきましょう。残念ながら「何の面下げて」の語源は現在はっきりとはしていません。「何の面下げて」の語源ははっきりとしていないと覚えておきましょう。「何の面下げて」は1746年の浄瑠璃・菅原伝授手習鑑にも「丞相様へどの顔さげて逢ふと思し召すぞ」と登場しています。

この点から見ても、「何の面下げて」は非常に古くから使われている表現であることが分かりますね。「何の面下げて」は古くから使われている表現ですが、現在も書籍・新聞等の文章中のほか口語においても時折使用される言葉となっています。こちらも確認していきましょう。

\次のページで「「何の面下げて」の使い方・例文」を解説!/

「何の面下げて」の使い方・例文

「何の面下げて」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.あれだけのことをしでかした後で、何の面下げて帰れようか。
2.親の金を盗んでおいて、何の面下げて来やがった。
3.あいつが犯罪者だなんて、お前も似たようなことをしでかした事があるくせに、何の面下げて言ってやがる。

「何の面下げて」は例文のように、面目を失った人物が自身を卑しめる形で使う場合、または面目がなく恥を感じる立場の人物が図々しく振る舞う様子を見て罵る場合の2種類があります。基本的には相手を罵る形で使われることが多く、こちらの点についても覚えておきましょう。

本来なら合わせる顔がない立場の人物が、面会を望む。そうした図々しさを罵って使われることが多いですね。言葉をかけられる対象は、面目がない人物であるという点に注意しましょう。例文から実際に使用される場面をイメージし、「何の面下げて」を自身でも使用することができるようにしていきましょう。

「何の面下げて」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

続いて「何の面下げて」の類義語・違いについて確認していきましょう。「何の面下げて」の類義語をいくつかピックアップしました。関連するよく似た表現との違いを確認することで、「何の面下げて」という言葉の機能をより深く理解することができます。

その1「合わせる顔がない」

「合わせる顔がない」は面目なくて、その人に会いに行くことができないという意味をもつ言葉です。こちらも面目がない様子について言う言葉となっており、少し似た意味をもった類義語となっています。罵る意味はない点など、細かい意味・用法に違いがあるため注意しましょう。

\次のページで「その2「面目ない」」を解説!/

その2「面目ない」

「面目ない」は恥ずかしくて顔向けできないという意味をもつ言葉です。こちらも面目がない様子について言う言葉となっており、「何の面下げて」と少し似た意味をもつ類義語となっています。こちらも罵る意味がない点など意味・用法に違いがあるため、注意して使い分けていきましょう。

その3「顔向けできない」

「顔向けできない」は恥ずかしくて人に会えない、面目がないという意味をもつ言葉です。こちらも面目がない様子について言う言葉となっており、「何の面下げて」と少し似た意味をもつ類義語となっています。こちらも細かい意味・用法に違いがあるため、注意して使い分けていきましょう。

その4「肩身が狭い」

「肩身が狭い」は他の人・世間に対して面目が立たないという意味をもつ言葉です。こちらも面目がない様子について言う言葉となっており、「何の面下げて」と少し似た意味をもった類義語となっています。細かい意味・用法の違いに注意して使い分けていきましょう。

その5「不面目」

「不面目」は面目を潰すこと、人に顔向けできない状態を意味する言葉です。こちらも面目がない様子について言う言葉となっており、「何の面下げて」と少し似た意味をもった類義語となっています。こちらも細かい意味に違いがあるため、それぞれ注意して使い分けていきましょう。

「何の面下げて」の対義語は?

image by iStockphoto

つづいて「何の面下げて」の対義語についても確認していきましょう。「何の面下げて」には明確に対義語とされている語はありません。しかしその意味から連想してみると次の単語が思い浮かびます。

「面目を施す(めんもくをほどこす)」

「面目を施す」は評価を高める、または体面を損なわずにすむことを意味する言葉です。「何の面下げて」が面目を失った人物が図々しく振る舞う様子を罵る意味であったのに対し、こちらはそうした面目を失わないこと、評価を高めることを意味しています。対義語としてこちらも覚えておきましょう。

\次のページで「「何の面下げて」を使いこなそう」を解説!/

「何の面下げて」を使いこなそう

この記事では「何の面下げて」の意味・使い方・類語などを説明しました。「何の面下げて」はなんの面目があって、よくも恥ずかしげもなく、という意味をもつ慣用句でした。面目を失った人物が恥ずかしげもなく振る舞う様子を見て、罵る言葉として使われている表現となっています。

また類義語には「合わせる顔がない」、「面目ない」、「顔向けできない」、「肩身が狭い」、「不面目」などがありました。それぞれ少しづつニュアンスが違うため、細かい意味や使われる場面を確認しつつ、使い分けていきましょう。今回の記事が皆さんの参考になっていれば幸いです。

" /> 【慣用句】「何の面下げて」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

【慣用句】「何の面下げて」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「何の面下げて」について解説する。

端的に言えば何の面下げての意味は「なんの面目があって」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「何の面下げて」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「何の面下げて(どのつらさげて)」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「何の面下げて」の意味や語源・使い方を一覧でご紹介していきます。またその他「何の面下げて」は分類としては日本語の慣用句であるという点も抑えておきましょう。

「何の面下げて」の意味は?

「何の面下げて」というキーワードを辞典・辞書・事典、ネット上の無料データベースサービス「コトバンク」で用語検索してみると、次のような記載があります。こちらの引用をまず確認していきましょう。

1.なんの面目があって。よくも恥ずかしくなく。「何の面下げて帰れようか」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「何の面下げて」

「何の面下げて」はなんの面目があって・よくも恥ずかしげもなく、という意味をもつ慣用句です。面目とは人に合わせる顔・世間に対する対面や評価を表す言葉で、何の面下げてはこうした面目が無いくせに、といった意味を表現する言葉となっています。書籍・新聞等のほか、口語でも使用される言葉です。

主に合わせる顔がないような立場の人物が面会に訪れ、その際に相手を罵る意味で使われます。怒気を含んだ攻撃的な言葉となっているため、実際に使用する際はこの点に注意していきましょう。この機会に「何の面下げて」の意味・用法を覚え、自身の語彙力を高めていきましょう。

「何の面下げて」の語源は?

次に「何の面下げて」の語源を確認しておきましょう。残念ながら「何の面下げて」の語源は現在はっきりとはしていません。「何の面下げて」の語源ははっきりとしていないと覚えておきましょう。「何の面下げて」は1746年の浄瑠璃・菅原伝授手習鑑にも「丞相様へどの顔さげて逢ふと思し召すぞ」と登場しています。

この点から見ても、「何の面下げて」は非常に古くから使われている表現であることが分かりますね。「何の面下げて」は古くから使われている表現ですが、現在も書籍・新聞等の文章中のほか口語においても時折使用される言葉となっています。こちらも確認していきましょう。

\次のページで「「何の面下げて」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: