今回は動物の分類のひとつ「変温動物(へんおんどうぶつ)」について学んでいきます。

諸君は寒い冬でも活動できるでしょうが、変温動物はそうはいかない。また、君たちは「ダイエットのために食事をとらない」と決めても、すぐにお腹が減っておやつを食べてしまうかもしれないが、変温動物はじっとしていることで長期間の断食にも耐えられるんです。そんな変温動物とはどんな動物か、恒温動物との違いや多くの変温動物で見られる冬眠について、具体例を見ながら理解していこう。

高校・大学にて生物専攻の農学部卒ライター園(その)と一緒に解説していきます。

ライター/園(その)

数学は苦手だけれど、生物と化学が得意な国立大学農学部卒業の元リケジョ。動物の中でも特に犬が好きで、趣味は愛犬をモフること。分かりやすく面白い情報を発信していく。

 

体温と外気温との関係から分類される2種類の動物グループ

動物の分類方法はさまざまで、背骨の有無、主食とするもの・呼吸の仕方などがありますが、この章では体温と外気温との関係から分類される変温動物と恒温動物について学習していきましょう。

一般的な変温動物と体温調節の方法と仕組み

image by iStockphoto

変温動物とは、外気温の変化に応じて自身の体温も変化する動物のことです。一般的には、鳥類と哺乳類以外の動物(無脊椎動物・両生類・爬虫類・魚類)が変温動物に分類されます。

変温動物の体温を上げるひとつの方法は日光浴です。例えば、水から上がって池のふちで一休みしているカメ。これは、太陽の光を浴びて体を温め、体温を上げているのです。また、変温動物の体温が下がるときの仕組みとして、冬眠があげられます。冬眠については、多くの面白い研究がなされているので、別の章で詳しく解説しますね。

一般的な恒温動物と体温調節の方法と仕組み

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恒温動物とは、外気温の変化に影響されず体温を一定に保つことができる動物のことです。一般的には、鳥類と哺乳類が分類されます。

恒温動物の体温を上げ過ぎないようにする方法は発汗です。汗をかくことによって体の表面の水分が蒸発し熱エネルギーが奪われ、体温を下げます。発汗以外にも体温が上がりすぎないようにする仕組みはいろいろあるので、気になった方は調べてみてください。また、恒温動物の体温を下げすぎないようにする仕組みとして、鳥肌や血管収縮があげられます。さらに、寒いときに体がブルブル震えるのも体温を維持するための仕組みです。

\次のページで「例外的な変温動物」を解説!/

例外的な変温動物

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ナマケモノは、哺乳類では珍しい変温動物です。体温維持のためにエネルギーを作り出さなくてもよいこと、筋肉量がほかの哺乳類に比べて少なく移動がゆっくりであることなどから1日に食べる量が少なくてすみます。

変温動物・恒温動物の分類は間違い?

上記に示したように、これまでの変温動物・恒温動物という分類方法では例外となる動物が報告されてきたので、最近は外温性・内温性・異温性という分類が用いられてきました

陸生爬虫類であるトカゲは,日光浴することで体温を気温より高めることができる.この特徴を表すには,体温を左右する機構に着目した外温性(ectothermy)という言葉が相応しい.太陽放射エネルギーなどの外部熱源に頼って環境温度よりも体温を高める動物のことを外温動物と呼び,体内で生み出される代謝熱を主に利用して環境温度より体温を高めている性質を内温性(endothermy)と呼ぶ.

出典:佐藤克文,木下千尋.バイオロギングで明らかになったウミガメ類の内温性海棲大型爬虫類の体温は水温より高く保たれていた,(参照 2022/3/1)

変温動物(外温性)のメリットとデメリット

変温動物のメリットは、恒温動物に比べて食料不足に対する適応度が高いこと。つまり、食料不足になったとき、恒温動物より変温動物のほうが長生きできるということです。なぜなら、恒温動物は食事によって体温を維持しているから。恒温動物が自身の意思でエネルギー消費の少ない低体温に維持できれば、食料不足にも対応できるかもしれません(例:冬眠)。しかし、基本的に体温維持は無意識下で行われるので、食事をとれなければ体温維持の方にエネルギーが使われ動けなくなってしまいます。逆に変温動物は、体温を維持するためのエネルギーが必要ないため、動かなければエネルギー消費は抑えられるのです。

一方デメリットは、恒温動物に比べて寒い環境への適応度が低いこと。変温動物は、外気温が下がれば体温も下がります。体温が低いと活動できなくなり、凍死したり天敵に襲われたりするのです。逆に恒温動物は、体温を維持できるので寒くても活動できます

\次のページで「クマの冬眠とカエルの冬眠は異なる」を解説!/

クマの冬眠とカエルの冬眠は異なる

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冬眠は動物における休眠の1つで、多くの変温動物と一部の恒温動物に見られます。活動停止・体温低下・呼吸数減少などにより消費エネルギーを極力抑えることで、寒さが厳しい冬でも乗り越えられるのです。冬眠は、一般的な恒温動物と変温動物では少し違いが見られるので紹介しますね。

冬になり食べ物が少なくなると、恒温動物のクマは、体温維持に必要な分だけの食事をとれなくなってしまうでしょう。これに備え、たくさん食べ物がある暖かい季節に意識的にたくさん食べ脂肪を蓄えます。冬眠の間はその蓄えた脂肪のエネルギーを少しずつ使って冬を乗りきるのです。

一方、カエルは変温動物で、外気温が下がるのとともに体温も下がってしまいます。その結果、活動できなくなるので自分の意思に反して冬眠するのです。

人に活用できるかもしれない冬眠

2006年、登山中に遭難した人が、冬眠のような状態となったことで命が助かったという報告がありました。このように、人の冬眠が実現すれば多くのメリットが考えられます。

冬眠のメカニズムを人に利用した場合に期待できる効果について、以下にまとめました。まだまだ正確には分かっていない冬眠の研究は今後もさらに進み、以下に示したことが近い将来実現するかもしれません。

image by Study-Z編集部

爬虫類の恐竜は変温動物(外温動物)ではなかった?

現在地球上で生きている生物は、体温計やサーモグラフィーなどを使って直接体温を測ることができます。しかし、もう骨しか残っておらず直接検温できない恐竜。そんな「恐竜の体温は何度だったのか」、「恐竜は内温性か外温性かどちらなのか」。そう疑問に思った研究者は多く、その疑問を解消するべく数多くの研究が行われています。そして、恐竜の卵の化石を調べることで、「主な恐竜は内温性と外温性の中間だったのではないか」という研究結果が2015年に発表されました。これはつまり、「外温性の動物のように外気温に体温が依存するのではなく、内温性の動物のように自身で体温を上げることはできたが、常に体温を高くキープすることはできなかっただろう」ということを示しています。

もし恐竜が冬眠できていたら、絶滅を免れ、今でも動物園や水族館などで見られたかもしれませんね。

イラスト使用元:いらすとや

" /> 「変温動物」ってどんな動物?恒温動物との違いや冬眠についても農学部卒ライターが徹底わかりやすく解説! – Study-Z
理科環境と生物の反応生物生物の分類・進化

「変温動物」ってどんな動物?恒温動物との違いや冬眠についても農学部卒ライターが徹底わかりやすく解説!

今回は動物の分類のひとつ「変温動物(へんおんどうぶつ)」について学んでいきます。

諸君は寒い冬でも活動できるでしょうが、変温動物はそうはいかない。また、君たちは「ダイエットのために食事をとらない」と決めても、すぐにお腹が減っておやつを食べてしまうかもしれないが、変温動物はじっとしていることで長期間の断食にも耐えられるんです。そんな変温動物とはどんな動物か、恒温動物との違いや多くの変温動物で見られる冬眠について、具体例を見ながら理解していこう。

高校・大学にて生物専攻の農学部卒ライター園(その)と一緒に解説していきます。

ライター/園(その)

数学は苦手だけれど、生物と化学が得意な国立大学農学部卒業の元リケジョ。動物の中でも特に犬が好きで、趣味は愛犬をモフること。分かりやすく面白い情報を発信していく。

 

体温と外気温との関係から分類される2種類の動物グループ

動物の分類方法はさまざまで、背骨の有無、主食とするもの・呼吸の仕方などがありますが、この章では体温と外気温との関係から分類される変温動物と恒温動物について学習していきましょう。

一般的な変温動物と体温調節の方法と仕組み

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変温動物とは、外気温の変化に応じて自身の体温も変化する動物のことです。一般的には、鳥類と哺乳類以外の動物(無脊椎動物・両生類・爬虫類・魚類)が変温動物に分類されます。

変温動物の体温を上げるひとつの方法は日光浴です。例えば、水から上がって池のふちで一休みしているカメ。これは、太陽の光を浴びて体を温め、体温を上げているのです。また、変温動物の体温が下がるときの仕組みとして、冬眠があげられます。冬眠については、多くの面白い研究がなされているので、別の章で詳しく解説しますね。

一般的な恒温動物と体温調節の方法と仕組み

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恒温動物とは、外気温の変化に影響されず体温を一定に保つことができる動物のことです。一般的には、鳥類と哺乳類が分類されます。

恒温動物の体温を上げ過ぎないようにする方法は発汗です。汗をかくことによって体の表面の水分が蒸発し熱エネルギーが奪われ、体温を下げます。発汗以外にも体温が上がりすぎないようにする仕組みはいろいろあるので、気になった方は調べてみてください。また、恒温動物の体温を下げすぎないようにする仕組みとして、鳥肌や血管収縮があげられます。さらに、寒いときに体がブルブル震えるのも体温を維持するための仕組みです。

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