端的に言えば「足を向けて寝られない」の意味は「心から感謝している様子」ですが、なぜ感謝していると足を向けられないのか、実際にどういった場面で使うべき言葉なのか疑問に思ったことはないか?
今回は「足を向けて寝られない」の意味や語源、類語と比較した使い方の違いなどを文学部卒webライターのリカと一緒に見ていきます。
- 「足を向けて寝られない」の意味や語源は?
- 「足を向けて寝られない」の意味は?
- 「足を向けて寝られない」の語源は?
- 「足を向けて寝られない」の使い方は?
- その1.日ごろから世話になっている人への感謝を示す時
- その2.窮地を救ってくれた人への感謝を示す時
- 「足を向けて寝られない」の類語は?違いは?
- 「恩に着る」:恩を受けたことを感謝すること
- 「身に余る」:受けた恩に対して謙遜すること
- 「頭があがらない」:恩を受けた相手に敬意を払うこと
- 「足を向けて寝られない」の対義語は?
- 「後足で砂をかける」:恩を受けた人を裏切ること
- 「足を向けて寝られない」と言われた時の返し方は?
- 過剰な謙遜は失礼にあたる?
- 「足を向けて寝られない」を使いこなそう
この記事の目次
ライター/リカ
文学部卒のwebライター。在学中、様々な言葉について論文を執筆し、卒業後も日常で疑問を持った言葉についてすぐに調べることを習慣付けている。
「足を向けて寝られない」の意味は?
「足を向けて寝られない」を辞書で調べてみると「足を向ける」の項目に次のように記載されています。
1. 相手をないがしろにする意。「足を向けて寝られない」などの形で、恩を受けた人への感謝の気持を表わす。
2. その方向、方面へ行く。
出典:精選版 日本国語大辞典(小学館)「足を向ける」
「足を向けて寝られない」は恩を受けた相手に対しては深く感謝し、その気持ちを忘れない様子を示す慣用句です。また、恩を受けた相手に失礼なことはできないと感じている様子を示しています。
お世話になった相手へ心から感謝している気持ちを伝える慣用句として、かしこまった挨拶やビジネスでのやりとりといった様々な場面で使用することができる言葉なんですね。
ちなみに『足を向ける』の形では1の相手をないがしろにするという意味ではほとんど使用されず、2のその方向へ行くという意味で使用するのが一般的です。
「足を向けて寝られない」の語源は?
次に「足を向けて寝られない」の語源を確認しておきましょう。
足は人の体の中で最下部であり、地面を踏む汚れた部分です。そのため足を人に向けることは失礼にあたり、とりわけ恩を受けた相手にそのような真似はできないということが由来とされています。
また、就寝時には横になるので足がどこかの方角を指しますが、恩を受けた相手の家の方角には足を向けては寝られないと思うほど感謝している様子を表しており、このことから「足を向けて寝られない」は起きている時だけではなく、寝ている時も相手への感謝を忘れないという意味で使用するようになりました。
江戸時代の江戸庶民の生活を描いた滑稽本『浮世床』(1813~23)には「江戸は諸国の為には大切な御得意様だから江戸の方へ足を向けては江戸の罰があたりやす」と記載があります。ここではお得意様への感謝と敬意の表現として使用されており、江戸時代には既に使用されている慣用句であることがわかりますね。
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