突然ですが、鳥の耳はどこにあるか知っているか?言われてみれば、耳がついている鳥なんてみたことないでしょう。しかし、鳥の目の後ろあたりにはポカっと穴が開いており、実はこれが鳥の耳なんです。人間やウサギのように外側にでっぱっていないためわかりにくいが、これは風の抵抗を減らすための工夫なんです。今回はそんな鳥の耳について、学生時代、獣医学部で動物のことを勉強していたライターみんちが解説していこう。

ライター/みんち

学生時代、獣医学部で動物の知識を学んだ。趣味は動物園巡り。ライターとして、初心者にもわかりやすく、質のある情報を提供できるよう、日々奮闘中。

鳥にもちゃんと耳がある!

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ぱっと見、鳥には耳がないように見えます。しかし、ちゃんと鳥にも耳がついているのをご存じでしょうか?

鳥の耳の穴「耳孔」とは?

鳥のちょうど目のうしろのあたりをよ~く見るとポカっと小さな穴があいているんです!実はそれが鳥の耳なんですよ。この穴を耳孔(じこう)といいます。

人間やウサギのように耳が外側にでっぱっていないため、普段は見えないようになっているんですね。

風の抵抗を減らす働き

なぜこんなに小さいのかというと、空を飛ぶときに風の抵抗を受けてしまうから

同じ理由で、クジラやイルカなども、私たちと同じ哺乳類なのに耳のでっぱりがありませんよね。これは泳ぐときに水の抵抗を減らすためだったんですね。

人間の耳との違いとは?

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鳥にもちゃんと耳がついていることはわかりましたが、果たしてちゃんと聞こえているんでしょうか?まずは耳の構造についてみていきましょう。

鳥の蝸牛はまっすぐ!

人間やウサギのような外側に飛び出た部分を耳介(じかい)といいます。耳介はあらゆる方向から来る音を集めて鼓膜へと伝える器官です。

そして耳の奥には、音を聞くための器官である蝸牛(かぎゅう)があります。蝸牛はかたつむりのような形をしており、音の刺激を受け取る非常に重要な部位

 

鳥の耳には耳介はありませんが、蝸牛はあるんですよ。鳥の蝸牛はちょっと変わった形をしており、かたつむり状ではなく、ほとんどまっすぐ。蝸牛があることで、鳥はちゃんと音が聞こえていたんですね。

\次のページで「鳥は耳がいい?悪い?」を解説!/

鳥は耳がいい?悪い?

ここまでで、鳥にはちゃんと耳がついていること、そしてちゃんと聞こえていることがわかりましたね。ところで鳥って耳が良いんでしょうか?詳しく見ていきましょう。

鳥は聴覚が鋭い生き物

率直に答えると、鳥は耳が良い動物です。鳥は聴覚が鋭く、なんと上下左右、後ろからでもちゃんと音を聞き分けることができます。そのおかげで、音の出どころなどを敏感に察知することができるんですよ。

思い返してみれば、鳥は鳴き声を使って求愛したり、仲間とコミュニケーションをとる生き物ですよね。音が聞こえるのは当然のことです。

また、フクロウは夜中に狩りをする動物。獲物のわずかな音を聞き取ることで、位置や距離をはかることができるんですよ。

発達した聴覚には頭の形が関係している?!

それにしてもなぜ、鳥は聴覚が発達しているのでしょうか?先に述べたように、鳥には人間やウサギのような耳介はなく、蝸牛はまっすぐな形です。私たちのような耳をもっていないのに、どうしてそんなに耳が良いのか疑問ですよね。

鳥の聴覚が発達している理由は、頭全体で音波が来る方向を検出しているから。これまで鳥は耳介がないため、さまざまな方向から来る音を認識できないと考えられてきました。

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しかし、鳥の聴覚を研究しているドイツ・ミュンヘン工科大学のハンス博士によれば、鳥の頭が楕円形に近い形状をしているおかげで、あらゆる方向からの音を認識できることが判明したのです。

受け取った音の周波数は鼓膜を振動させるのですが、その振動は頭部を通過します。その振動が頭の反対側に抜けると別の周波数となり認識される。

音が頭部を通過する際、「入ってくるときと抜けるときの周波数の違い」によって鳥の脳は音の方向を察知することができるのです。なんと鳥は頭が楕円形であることで、音を吸収・反射することができたのですね。

また、音量の違いを検出でき、その差によって音源の方向を把握することもできるんですよ。これらの機能のおかげで、四方八方からの音波を処理できるのですね。

鳥類の耳の例をみていこう

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ここからはインコとフクロウの耳について解説していきましょう。

インコ:ほっぺ部分に耳孔がある

鮮やかな色合いに、つぶらな瞳とキュートなほっぺが特徴のインコ。

インコの聴覚はどれくらいあると思いますか?諸説ありますが、人の聞き取れる周波数が20~20,000ヘルツなのに対して、インコは200~8,000ヘルツ程度といわれています。人よりもやや劣っているといったところでしょうか。

本来、インコは群れで生活する鳥です。仲間とコミュニケーションをとるために地鳴き、警戒音、さえずりなどさまざまな鳴き声を使い分けます。また、求愛に乗じて人の言葉をマネすることもできますよね。聴覚が人よりも劣っているとはいえ、耳が発達しているのは確かなようですね。

ちなみにインコの耳は、ほっぺに当たる部分にあります。飼っている人はぜひ探してみてくださいね。

\次のページで「フクロウ:耳に見えるのは飾り羽」を解説!/

フクロウ:耳に見えるのは飾り羽

フクロウやミミズクといえば、むっくりした体つきに大きな目。首を180度回転させられることでも有名ですよね。

顔を観察してみると、目の上から2本、耳のようなものが生えています。これは羽角(うかく)とよばれ、耳ではなく飾り羽だったんですよ。

ちなみにミミズクとフクロウの違いは羽角の有無によります。例外もありますが、一般的には羽角があるものがミミズクないものがフクロウに分類されているんですよ。

羽角にどのような役割があるのかは、現在のところわかっていません。一説では、木の葉に擬態するときに役立つのではないかとも考えられています。

さらに面白いことに、フクロウの耳は左右で位置が違うんですよ。フクロウの耳は周囲の音を集められるように、少しくぼんだ形をしているのですが、その傾きや高さが左右で違うのです!

この仕組みによって、獲物のたてた音は左右でわずかにずれて聞こえます。さらに音の強さも違ってきますね。こうした音のずれや強さの違いによって、獲物のいる場所を正確に把握できるんですよ。

鳥の耳を観察できる瞬間とは?!

鳥を観察していると、耳が高確率で見れる瞬間があるんですよ。

それは羽繕いをしているとき!羽繕いとは、くちばしを使って翼や尾の羽をきれいにしている行為なのですが、顔周りをきれいにするときは、くちばしが届かないため脚を使って顔をかきます。

その時がチャンスです!顔の横をかくと、羽毛がめくれて耳の穴が見えることがあるんですよ。家で鳥を飼っている人や、動物園に行った際にはぜひ注目してみてくださいね。

鳥にもちゃんと耳がついている!

ここまで読んでいただきありがとうございました。

今回は鳥の耳はどこにあるのか、そして鳥の耳が発達している理由について解説してきました。鳥の耳は目の後ろ側についていることがわかりましたね。人間やウサギのように発達した耳介はありませんが、楕円形をした頭の形状のおかげで音の距離感をはかったり、方向を認知したりできるのですね。

生き物をみていると、今回のテーマのように「なぜこんな形をしているんだろう?」「なぜ私たちとは違うんだろう?」と疑問に思うことがたくさんありますよね。生き物に対しての疑問にはちゃんと1つ1つに意味や理由がつまっています。こういった知識を知ると、動物園などに行った際や、公園で生き物を見かけたときに、生き物の生きるための工夫や懸命な姿に感動できますよ。ぜひ、この記事で学んだことを頭の片隅においてみてくださいね。

画像使用元:いらすとや

" /> 鳥の耳ってどこにある?インコやフクロウの耳の秘密とは?獣医学部卒ライターがわかりやすく解説! – Study-Z
体の仕組み・器官理科生き物・植物生物雑学

鳥の耳ってどこにある?インコやフクロウの耳の秘密とは?獣医学部卒ライターがわかりやすく解説!

突然ですが、鳥の耳はどこにあるか知っているか?言われてみれば、耳がついている鳥なんてみたことないでしょう。しかし、鳥の目の後ろあたりにはポカっと穴が開いており、実はこれが鳥の耳なんです。人間やウサギのように外側にでっぱっていないためわかりにくいが、これは風の抵抗を減らすための工夫なんです。今回はそんな鳥の耳について、学生時代、獣医学部で動物のことを勉強していたライターみんちが解説していこう。

ライター/みんち

学生時代、獣医学部で動物の知識を学んだ。趣味は動物園巡り。ライターとして、初心者にもわかりやすく、質のある情報を提供できるよう、日々奮闘中。

鳥にもちゃんと耳がある!

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ぱっと見、鳥には耳がないように見えます。しかし、ちゃんと鳥にも耳がついているのをご存じでしょうか?

鳥の耳の穴「耳孔」とは?

鳥のちょうど目のうしろのあたりをよ~く見るとポカっと小さな穴があいているんです!実はそれが鳥の耳なんですよ。この穴を耳孔(じこう)といいます。

人間やウサギのように耳が外側にでっぱっていないため、普段は見えないようになっているんですね。

風の抵抗を減らす働き

なぜこんなに小さいのかというと、空を飛ぶときに風の抵抗を受けてしまうから

同じ理由で、クジラやイルカなども、私たちと同じ哺乳類なのに耳のでっぱりがありませんよね。これは泳ぐときに水の抵抗を減らすためだったんですね。

人間の耳との違いとは?

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鳥にもちゃんと耳がついていることはわかりましたが、果たしてちゃんと聞こえているんでしょうか?まずは耳の構造についてみていきましょう。

鳥の蝸牛はまっすぐ!

人間やウサギのような外側に飛び出た部分を耳介(じかい)といいます。耳介はあらゆる方向から来る音を集めて鼓膜へと伝える器官です。

そして耳の奥には、音を聞くための器官である蝸牛(かぎゅう)があります。蝸牛はかたつむりのような形をしており、音の刺激を受け取る非常に重要な部位

 

鳥の耳には耳介はありませんが、蝸牛はあるんですよ。鳥の蝸牛はちょっと変わった形をしており、かたつむり状ではなく、ほとんどまっすぐ。蝸牛があることで、鳥はちゃんと音が聞こえていたんですね。

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