この記事ではコチュジャンと豆板醤の違いについてみていきます。どちらもピリッとした辛さをだしたいときに使う調味料だというイメージがあるよな。違いはずばり材料のようですが、発祥地や味など調べてみるといろいろ違いがあるみたいです。
今回はそんなピリ辛料理に欠かせない調味料の違いを、原材料から確認しつつ、料理好きライター田嶋と一緒に解説していきます。

ライター/田嶋あこ

料理好きな食いしん坊ライター。特に辛いものが大好物で、激辛という文字に目がない。日頃の料理経験を活かして違いを分かりやすく解説していく。

コチュジャンと豆板醤のざっくりした違いは?

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ピリ辛料理などに使われるコチュジャンや豆板醤。どちらも辛みそと呼ばれる赤いペースト状の調味料です。見た目は似ていますが、いろいろと違いがあります。

一体どんなところが異なるのか気になりますよね。まずはざっくりした違いから解説していきます。

原材料が違う

コチュジャンと豆板醤の違いのなかで、一番大きな違いは原材料です。それぞれどんな食材からできた調味料であるのか、さっそく確認していきましょう。

コチュジャンの主な原材料
・もち米
・粉唐辛子
・大豆の麹粉
・麦芽の粉
・塩
・砂糖または水飴 など

豆板醤の主な原材料
・そら豆
・麹
・唐辛子
・塩 など

それぞれの主な原材料は上記のものとなります。どちらも麹を使用した発酵調味料であることは共通していますね。

コチュジャンはもち米を使っているため、ペーストに粘り気があるのが特徴です。家庭やメーカーによっては、さらに味噌や香辛料を加えてあることも。日本では味噌の一種に分類され、「唐辛子味噌」と呼ぶこともあります。

豆板醤のポイントとなるのはそら豆です。元々そら豆や麹だけで作られたものを豆板醤と呼んでいました。唐辛子入りのものは「豆板辣醬(トウバンラージャン)」という名前で呼ばれ、区別されていたのです。

ただ現在は唐辛子入りの商品も多く、まとめて豆板醤と呼ばれています。

コチュジャンと豆板醤の違いを詳しくチェック!

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原材料のほかにもコチュジャンと豆板醤には違いがあります。発祥地・作り方・味の3点から、もっと詳しくそれぞれの違いについてチェックしていきましょう。

\次のページで「コチュジャンと豆板醤の「発祥地」の違い」を解説!/

コチュジャンと豆板醤の「発祥地」の違い

それぞれが使われている料理を思い浮かべて気づいた方もいるかもしれませんが、コチュジャンと豆板醤は発祥地である国が違います。

それぞれの発祥地
・コチュジャン:韓国
・豆板醤:中国の四川省

コチュジャンは韓国発祥の調味料です。コチュジャンの「コチュ」は唐辛子を、「ジャン(醬)」は醤油や味噌などの総称を意味します。

コチュジャンは韓国の人々にとって馴染み深い調味料です。1809年頃に書かれたとされる生活百科事典「閨閤叢書(キュハッチョンソ)」にも、既に現在のコチュジャンに近いものが登場しています。

日本人でいう醤油のような感覚にある調味料といえるでしょう。韓国では普段から様々な料理に使われています。

醤油にも「だし醤油」や「薄口醤油」など様々な種類があるように、コチュジャンのバラエティーも豊富です。例えば、コチュジャンに酢や砂糖が入った「チョコチュジャン」や、炒めたひき肉入りの「ポックンコチュジャン」など。

基本のコチュジャンをベースに、アレンジが加えられた商品も販売されています。日本でもネットショッピングなどで購入することができるので、試してみるのもオススメです。

豆板醤は四川料理で有名な中国の四川省が発祥地。登場してから200年以上の歴史がある調味料です。なかでも「郫都区(ひとく)」は豆板醤が作られた最も古い場所と言われています。

そんな豆板醤の名産地でもある郫都区は2016年まで「郫県(ピーシェン)」と呼ばれていました。そのため、郫都区で作られた豆板醤は「郫県豆板醤」という名で呼ばれ、高級豆板醤として料理人などからも愛用されています。

お家で本格的な四川料理を作りたい方はチェックしてみるといいでしょう。

コチュジャンと豆板醤の「作り方」の違い

コチュジャンと豆板醤は、日本の味噌と同じ発酵調味料に分類されます。ただ作り方も同じという訳ではありません。様々な作り方がありますが、人気レシピや伝統的なレシピを元に、ざっくりと作り方の違いについてもご紹介していきます。

コチュジャンの作り方の一例
(1)炊いたもち米にヨッキルム(麦芽の粉)を混ぜた水を注ぎ、発酵させる。
(2)発酵したら水を追加してこし器で絞る。
(3)量が半分以下になるまで鍋で煮詰めて冷ます。
(4)塩・大豆麹粉(メジュカル)・粉唐辛子・醤油を混ぜる。
(5)半日以上常温で放置してから壺に入れ、砂糖や塩をかける。
(6)常温で3日ほど置いてから冷蔵庫で1ヶ月以上成熟させる。

豆板醤の作り方の一例
(1)そら豆を発芽させる。
(2)やわらかくなったら皮を剥く。
(3)そのまま麹につけて塩を加える。
(4)半年ほど発酵。
(5)唐辛子や香辛料を加えて1ヶ月以上熟成させる。

豆板醤の方は伝統的なレシピとなります。コチュジャンと違い、作る過程で加熱しないことが特徴です。ただそら豆を発芽させて皮を剥く工程は量産に向かないため、そら豆を蒸して皮を剥く方法での製造が多くなっています。

コチュジャンと豆板醤の「味」の違い

コチュジャンと豆板醤は原材料が異なるため、味も違います。コチュジャンはピリッとした辛さだけでなく、甘味を感じるのが特徴です。

特に日本で売られているコチュジャンは、本場のものより水飴や砂糖が多く加えられていることがあり、甘みを強く感じる場合も。日本人の舌に合うように工夫されているんですね。

辛すぎないため、味噌のように生野菜につけるだけでも美味しく食べられます。ビビンバの味付けにもピッタリです。

豆板醤はコチュジャンよりも辛さを感じます。塩気も強くコクと酸味があるのも特徴です。味に深みをだしてくれますよ。

豆板醤は火を通すとより一層豊かな風味を感じることができます。炒め物などの味つけにもおすすめです。具材と混ぜる前に豆板醤を炒めると、さらに美味しくなるので試してみてください。

\次のページで「コチュジャンや豆板醤に似ている他の調味料」を解説!/

麻婆豆腐を作るなら豆板醤がおすすめ

麻婆豆腐を作るとき、ふとコチュジャンと豆板醤のどちらを使うのか迷うことはありませんか?辛味をしっかりと感じる本場の味に近づけたい場合は、豆板醤を使うのがおすすめです。

ただコチュジャンを使って麻婆豆腐を作ることも可能ではあります。辛いものが苦手な方やお子さんがいる方は、あえてコチュジャンを使ってみるのもいいでしょう。辛さが控えめで食べやすい麻婆豆腐ができますよ。

コチュジャンや豆板醤に似ている他の調味料

コチュジャンや豆板醤のほかにも、実際に使ったことがないと違いがわかりづらい調味料がいくつかあります。特に混同しがちな甜麺醤とXO醬についてチェックしていきましょう。

甜麺醤(テンメンジャン)

甜麺醤は小麦粉・塩・麹・醤油・砂糖・ごま油などでできた発酵調味料。中国の四川省が発祥地です。日本で作られた甜麺醤は小麦粉ではなく、八丁味噌や赤味噌をベースに作られることもあります。

唐辛子が入っていないため甘味が強く、そのまま生野菜などにつけて食べるのもおすすめです。ホイコーローやジャージャー麺の味付けなどにも使われています。

XO醬(エックスオージャン)

XO醬は香港が発祥地の万能調味料です。金華ハム・干しエビ・干し貝柱などの高級食材や、唐辛子・にんにく・生姜・魚の塩漬けなど味に深みがでる食材が使われています。

誕生したのは1980年頃で、コチュジャンや豆板醤に比べるとまだ歴史の浅い調味料です。名前にある「XO」はブランデーの高級品質を表す「XO(extra old)」が由来と言われています。ただXO醬にブランデーは含まれません。

炒め物・煮物・スープの味付けだけでなく、和え物や麺類のトッピングとして加熱なしで使うこともできます。豆腐に乗っけるだけでいつもと一味違う冷奴ができたりと、様々な場面で役立つ調味料です。

コチュジャンと豆板醤の代用方法は?

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コチュジャンや豆板醤はスーパーでも購入できる調味料です。ただ毎日必ず使うような調味料ではないため、いざというときになくて困った経験がある方も多いと思います。

結論を言うと代用は可能です。しかし近い味になるだけで、全く同じ味にすることはできないという点は注意しておいてください。ここでは「どちらかだけがある場合」と「どちらもない場合」、それぞれどのように代用すればいいのか解説していきます。

コチュジャンしかない場合

豆板醤を使いたいのにコチュジャンしかない場合、下記の材料を合わせると近いものが作れます。豆板醤ならではの独特な酸味やコクはでませんが、風味や辛さを寄せることは可能です。

・コチュジャン
・醤油
・ごま油
・おろしにんにく
・一味唐辛子

\次のページで「豆板醤しかない場合」を解説!/

豆板醤しかない場合

コチュジャンを使いたいけれど豆板醤しかないという場合です。コチュジャンに寄せる方法は2通りあります。

甜麺醤が家にある方は甜麺醤を使った方法を試してみてください。豆板醤より少し多めに甜麺醤を混ぜるだけで、簡単に代用コチュジャンが作れますよ。

(1)家に甜麺醤がある場合
豆板醤と甜麺醤を混ぜる。

(2)甜麺醤がない場合
下記の材料を混ぜる。
・味噌
・砂糖
・醤油
・一味唐辛子

コチュジャンも豆板醤もない場合

コチュジャンや豆板醤がない場合でも、それぞれの代用調味料を作ることはできます。本物を使ったときに比べると、どうしても料理のクオリティーは少し下がりますが、買いに行けないときなど緊急時に便利ですよ。

代用コチュジャン
・味噌
・醤油
・砂糖
・一味唐辛子

代用豆板醤
・味噌
・醤油
・ごま油
・おろしにんにく
・一味唐辛子

料理に取り入れてみよう!

コチュジャンと豆板醤はどちらも唐辛子が含まれている調味料です。料理にアクセントを加えてくれるだけでなく、食欲増進・代謝アップなど嬉しい効果もあります。

またいろいろな料理に合うので取り入れるのも意外と簡単です。いつもの野菜炒めに少しコチュジャンや豆板醤を足すだけでも、マンネリも回避できますよ。

チューブタイプの手軽に使える商品も販売されているので、ぜひ料理に取り入れてみてください。

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雑学食べ物・飲み物

コチュジャンと豆板醤の違いは何?原材料や味、代用できるかなど料理好きライターが詳しくわかりやすく解説

この記事ではコチュジャンと豆板醤の違いについてみていきます。どちらもピリッとした辛さをだしたいときに使う調味料だというイメージがあるよな。違いはずばり材料のようですが、発祥地や味など調べてみるといろいろ違いがあるみたいです。
今回はそんなピリ辛料理に欠かせない調味料の違いを、原材料から確認しつつ、料理好きライター田嶋と一緒に解説していきます。

ライター/田嶋あこ

料理好きな食いしん坊ライター。特に辛いものが大好物で、激辛という文字に目がない。日頃の料理経験を活かして違いを分かりやすく解説していく。

コチュジャンと豆板醤のざっくりした違いは?

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ピリ辛料理などに使われるコチュジャンや豆板醤。どちらも辛みそと呼ばれる赤いペースト状の調味料です。見た目は似ていますが、いろいろと違いがあります。

一体どんなところが異なるのか気になりますよね。まずはざっくりした違いから解説していきます。

原材料が違う

コチュジャンと豆板醤の違いのなかで、一番大きな違いは原材料です。それぞれどんな食材からできた調味料であるのか、さっそく確認していきましょう。

コチュジャンの主な原材料
・もち米
・粉唐辛子
・大豆の麹粉
・麦芽の粉
・塩
・砂糖または水飴 など

豆板醤の主な原材料
・そら豆
・麹
・唐辛子
・塩 など

それぞれの主な原材料は上記のものとなります。どちらも麹を使用した発酵調味料であることは共通していますね。

コチュジャンはもち米を使っているため、ペーストに粘り気があるのが特徴です。家庭やメーカーによっては、さらに味噌や香辛料を加えてあることも。日本では味噌の一種に分類され、「唐辛子味噌」と呼ぶこともあります。

豆板醤のポイントとなるのはそら豆です。元々そら豆や麹だけで作られたものを豆板醤と呼んでいました。唐辛子入りのものは「豆板辣醬(トウバンラージャン)」という名前で呼ばれ、区別されていたのです。

ただ現在は唐辛子入りの商品も多く、まとめて豆板醤と呼ばれています。

コチュジャンと豆板醤の違いを詳しくチェック!

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原材料のほかにもコチュジャンと豆板醤には違いがあります。発祥地・作り方・味の3点から、もっと詳しくそれぞれの違いについてチェックしていきましょう。

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