化学を学ぶためには基本中の基本である原子の構造を理解する必要がある。原子の構造は高校受験、大学受験の化学の範囲で頻出する問題です。そこで今回は原子を構成するもの、原子発見の歴史、よく出る問題ついて詳しく学んでいこう。大学で電子の軌道論について学んだ化学に詳しいY.oB(よぶ)と一緒に解説していきます。

ライター/Y.oB(よぶ)

大学・大学院と合成化学を専攻した後、化学メーカーで研究職として勤務。電子軌道論を学び、計算化学も扱っている原子の構造に詳しいライター。

原子の構造を解説!

原子の構造は原子核と電子から成り立っています。原子核の周りに電子が置かれている図を中学校や高校の教科書で一度は見た事がありますよね。それでは原子核、電子とは一体何でしょうか。問題によく出る電子殻とは何か。この章では原子核の正体や電子配置について学んでいきます。

原子核と電子とは?

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原子核は陽子と中性子から成り立っています。その周りに電子が存在。陽子は正の電荷を持っており、電子は負の電荷を持っています。この陽子と電子の数は同じと考えましょう。数が同じにならない状態は存在していますが、基本の原子の状態を考える時は同じ数としています。そして陽子や中性子も複数の素粒子から構成されていますが、高校化学で習うことはありません。安心して陽子、中性子、電子と覚えましょう。

電子殻とは?

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原子を表現するものとして有名なボーアの原子模型があります。この模型の電子の置き場が電子殻です。電子は原子核の周りを飛び飛びの半径で存在している事を表現しています。この電子の置き場(電子軌道)が殻のようになっているため、呼び方が電子殻です。電子殻には決まった個数の電子しか存在できません。この個数は問題によく出るため、次に説明します。

カンタンに電子配置を覚えよう

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各電子殻、各軌道に電子をどのように置いているか、それが電子配置です。電子殻はK殻、L殻、M殻...と名付けられています。それぞれの電子殻に入れる電子の個数は決まっていて、電子の数=2n^2と授業では習います。全てを覚える必要はなく、共通テストレベルであればM殻まで覚えましょう。元素で言うとアルゴンまでです。ルールは原子が持つ電子をKからM殻の順番に配置していきます。

「K殻は電子2個、L殻は電子8個、M殻は電子18個」

まで電子の収容が可能です。例えば酸素(電子8個)を例に挙げると、K殻2個、L殻6個となります。

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原子の発見の歴史について

原子論は歴史が古く、仮説・概念が立てられたのは紀元前400年ととても昔です。レウキッポスやデモクリトスが提唱しました。もちろん当時に観測した訳ではありませんので、長らく忘れられた仮説扱いです。実験手法が精密になる18世紀には科学的に原子の存在を明らかにしてきました。この章では原子論の始まりと電子の発見について学びましょう。

原子の発見:デモクリトスの原子論

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Unidentified engraver - http://www.phil-fak.uni-duesseldorf.de/philo/galerie/antike/demokrit.html, パブリック・ドメイン, リンクによる

デモクリトスは何もない空虚にアトム(原子)が運動していると考えました。このアトムはこれ以上分割できない物質の最小単位と説明しています。当時は違う考え方が主流でしたので、評価はされませんでした。その後、18世紀頃にドルトンが科学的手法による原子論を唱えます。これは2つの物質を反応させた時の前後の重量によって、物質の構成要素を明らかにしていく方法です。水は水素1つと酸素2つで構成されている等、パズルのように構成要素を割り出し、得られた重量から原子量を決めていきました。

電子の発見:J.J.トムソンの陰極線実験

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パブリック・ドメイン, リンク

負の電荷を持つ粒子(電子)を発見したのはJ.J.トムソンです。トムソン陰極線実験は簡単に説明すると、まず電圧をかけると粒子が飛び出して、スクリーンに跡が残るようにします。この飛び出した粒子は電圧をかけなければ真っ直ぐ直進し、電圧をかけると曲がる事が判明。これにより電気的な粒子が原子に含まれていることを明らかにしました。電気的な粒子とは電子の事です。

受験で必須!よく出る問題を解説

原子の構造に関する問題は高校受験、大学受験ともによく出ます。イメージが難しく、なぜ電子はK殻に2つしか入らないのか等の原理・理由が知りたくなるのは仕方のないことです。しかし、どの教科書や参考書にも原理は記載されていないと思います。それは難易度が高すぎるからです。そこを突き詰めるのではなく、こう言うものだとイメージが重要となります。ここでは問題によく出る質量数や同位体について学んでいきましょう。

原子番号と質量数って何?

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原子番号とはその名の通り原子につけた番号で陽子の数と同じです。質量数は原子の質量を指します。質量数は陽子と中性子の和です。つまり、原子番号がわかると陽子の数がわかります。陽子と質量数から中性子の数が引き算でわかる、という問題の解き方です。原子は陽子・中性子・電子で構成されていますが、電子は質量数には影響しないほど軽いとします。よく出る問題は原子番号か質量数が穴抜けになっており、陽子や中性子の数から答えるものが多いです。よく出る元素(原子番号1~18)を覚えておくと安心できます。

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同位体の考え方

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同じ原子番号ですが、中性子の数が違うものを同位体と呼びます。よく問題には陽子の数と中性子の数を答えるものが多いです。同位体の中には放射線を出すものがあり、これが放射性同位体と言います。ニュースで聞いたことがあるかもしれませんね。放射性同位体は徐々に崩壊していき、元の半分の量になる時間を半減期と呼びます。ちなみに原子力発電所で使用されているプルトニウムの半減期は2万4千年もあり、ウランは7億年です。だからこそ処理が大変なのでしょう。

原子の構成ルールを確認しよう!

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原子の構成について、今までのルールをまとめて確認しましょう。

1.原子は電子殻(陽子と中性子)と電子で構成されている

2.陽子は正の電荷、電子は負の電荷を持つ

3.陽子と電子の数は同じ

4.原子番号は陽子の数

5.質量数は陽子と中性子の数の和

6.電子配置はK、L、M殻に電子が何個入るか覚える

7.原子番号がわかると電子の数もわかる(電子配置もわかる)

8.中性子の数が違うものは同位体(陽子の数は同じ)

ここに記載したルールを覚えれば、問題を解くことができます。実際に化学の共通テストで最外殻電子の数について出題されましたが、このルールを押さえるだけで解ける問題でした。

難しく考えない!覚えてしまおう!

全体通して言えることは原理を理解して答えを導くものではありません。大学では化学反応の基礎として電子軌道を学びますが、量子力学のお話(物理学科の3年生で習う)を1年目で受講し、挫けそうになった記憶が残っています。共通テストもセンター試験の時もそうでしたが、原子番号18までしか出ません。18個の元素を語呂合わせで覚えてしまうと、原子番号から陽子と電子の数がすぐに出ます。電子配置もルールを覚えるだけです。幅広く教えがちですが、テストの事だけを考えるとアルゴンまでで十分な気がします。

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化学原子・元素理科

3分で簡単原子の構造!中学高校でよく出る問題や歴史をわかりやすく解説!

化学を学ぶためには基本中の基本である原子の構造を理解する必要がある。原子の構造は高校受験、大学受験の化学の範囲で頻出する問題です。そこで今回は原子を構成するもの、原子発見の歴史、よく出る問題ついて詳しく学んでいこう。大学で電子の軌道論について学んだ化学に詳しいY.oB(よぶ)と一緒に解説していきます。

ライター/Y.oB(よぶ)

大学・大学院と合成化学を専攻した後、化学メーカーで研究職として勤務。電子軌道論を学び、計算化学も扱っている原子の構造に詳しいライター。

原子の構造を解説!

原子の構造は原子核と電子から成り立っています。原子核の周りに電子が置かれている図を中学校や高校の教科書で一度は見た事がありますよね。それでは原子核、電子とは一体何でしょうか。問題によく出る電子殻とは何か。この章では原子核の正体や電子配置について学んでいきます。

原子核と電子とは?

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原子核は陽子と中性子から成り立っています。その周りに電子が存在。陽子は正の電荷を持っており、電子は負の電荷を持っています。この陽子と電子の数は同じと考えましょう。数が同じにならない状態は存在していますが、基本の原子の状態を考える時は同じ数としています。そして陽子や中性子も複数の素粒子から構成されていますが、高校化学で習うことはありません。安心して陽子、中性子、電子と覚えましょう。

電子殻とは?

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原子を表現するものとして有名なボーアの原子模型があります。この模型の電子の置き場が電子殻です。電子は原子核の周りを飛び飛びの半径で存在している事を表現しています。この電子の置き場(電子軌道)が殻のようになっているため、呼び方が電子殻です。電子殻には決まった個数の電子しか存在できません。この個数は問題によく出るため、次に説明します。

カンタンに電子配置を覚えよう

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各電子殻、各軌道に電子をどのように置いているか、それが電子配置です。電子殻はK殻、L殻、M殻…と名付けられています。それぞれの電子殻に入れる電子の個数は決まっていて、電子の数=2n^2と授業では習います。全てを覚える必要はなく、共通テストレベルであればM殻まで覚えましょう。元素で言うとアルゴンまでです。ルールは原子が持つ電子をKからM殻の順番に配置していきます。

「K殻は電子2個、L殻は電子8個、M殻は電子18個」

まで電子の収容が可能です。例えば酸素(電子8個)を例に挙げると、K殻2個、L殻6個となります。

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